秋だ!一番!ダイレクトドライブ固定ローラー祭り


固定ローラー買い替え検討


なぜ夏のクソ暑いこの時期に、固定ローラーなどという汗だくを加速させるものを買ってしまうのか。

初心者ロードレーサーはドMなのか。

ということで、まずは新たな固定ローラーを必要とした背景を簡単にご説明させていただきたい。

ことの発端は以前エントリしたこの衝突事故。

自転車通勤でジョガーと接触&転倒の巻


このときはスピードを出していなかったおかげで両者ほぼ無傷(というか自分だけ少し擦過傷)で済んだのだが、夏になるとハドソンリバー沿いのグリーンウェイも歩行者やジョガー、ローラースケーター、サイクリストなどが大量に出没し、非常に走りにくくなる。

走りにくいだけならまだしも、イヤホンをしながら道の真ん中を走り、左右確認もせずに進路を変えたりUターンするジョガーやサイクリストも多く、はっきりいって普通に走るだけでも危ないと感じることがあり、とてもではないがスピードを出して通勤トレーニングができるような環境ではなくなってしまう。

もちろん相手のマナー違反云々にかかわらずアラームを誰彼かまわず鳴らして自分優先でいけばそんなの気にせずに追い込めるかもしれないが、あくまで自転車歩行者共有道路は歩行者を優先すべきなので自分がマナー違反的な走りをするわけにはいけない。基本的に自転車通勤がベースにあって、その機会に公共の場でトレーニングさせてもらっているという意識を忘れてはいけないと思う。



PC連動型固定ローラーのデメリット


となるとローラー台でのトレーニングに行き着くのだが、現在所有のローラー台はCycleOpsのPowerBeam Pro。



CycleOpsのPowerBeam Proは以前エントリしたとおりPC連動型の自動負荷調整トレーナー

PC連動型に共通するものとしてキャリブレーションがある。

同じ出力が測定できるよう、キャリブレーションするのだが、このキャリブレーションも最低でも2分以上ペダルを回す必要があり、パソコンの立ち上げ、ローラー台との無線接続、キャリブレーションといった手順をこなしていくと10分近くかかる。

さらに接続エラーやソフトウェアのバグがあったときなどは最低で、事実、TacxのMultiplayerというPC連動型トレーナーを使っていたときは、1時間以上ローラーを回したあとでソフトウェアがハングアップし、それまで追い込んだトレーニングログも綺麗さっぱり消えてしまったという意気消沈する出来事があった

私がTacx(Fortius, Genius)からCycleOps(PowerBeam Pro)に乗り換えた理由(ワケ):Tacxのバグとサポートと諦めと


CycleOpsのPowerBeam Proは、TacxのPC連動型に比べれば遥かにバグは少ないが、それでもパソコンを立ち上げて接続しないとローラーを使えないというデメリットはPC連動型トレーナーの宿命として必要になる。

面倒くさがりな自分としてはできるだけローラーに跨ぐまでのハードルは低くしたい。

できればパソコンを立ち上げるどころかタイヤに空気を入れたりする手間も面倒くさい。

ちなみにレースのウォームアップ用にマグネット負荷型の1up USAのローラー台も持っている。

出力を厳密に管理せず、脚を温める程度に回すだけなら正確なセッティングは必要ないが、タイヤを押さえつけて負荷をかける仕組みのローラーでは時間が経つにつれて空気圧も微変動していくので常に同じ負荷環境を実現するのが難しい。


ダイレクトドライブ式固定ローラー


ということで目をつけたのが数年前からいろんなモデルが出始めたダイレクトドライブ式のローラー台。

ダイレクトドライブ式ならチェーンから(文字通り)直接ダイレクトドライブに繋がるので、タイヤの押し付け具合や空気圧といった変数に左右されずに一定の負荷が実現できる

この点、ダイレクトドライブ式として市場に出ている主なものは以下の通り。

  1. レモン レボリューション
  2. Wahoo KICKR
  3. Tacx NEO-T2800
  4. エリート リアルターボムイン
  5. サイクルオプス サイレンサーダイレクトドライブ マグ
  6. エリート ターボムイン

まず最初のLemond Revolutionは静粛性(というより騒音性)の面で問題外。

巨大な扇風機による爆音は凄まじく、レース会場(屋外の駐車場)のウォームアップでも「あのジェット機のような音は何だ?」と思って見てみたらこのレボリューションであった。

このレビューではカエルの人形が風圧で吹き飛ばされている。



壁に囲まれた室内でこの爆音機を使うだけの気合は自分にはない。

イメージ的にはバーモントの片田舎といったポツンと佇む家の、離れになっているガレージで日中に回すならまだ耐えられるような感じであろうか。


次の2~4は十把一絡げに「PC連動型ダイレクトドライブ式ローラー」としてまとめてしまって問題ないと思う。

ちなみにWahoo KICKRの評価は凄まじく、アメリカの有名レビュアーであるDC Rainmaker氏もお勧めトレーナーのナンバーワンとしているし、eBayに出回っている中古品も少なく、安売りもほとんどないことから人気の高さが伺える。ぶっちゃけPC連動型のダイレクトドライブ式だったら自分もWahoo KICKRの一択だと思う。



次のTacx NEO-T2800は、映画ターミネーターに出てくる型番のような名前だが、9月に発売されたばかり。後発型だけあって、いろんな改善がされているものだと思われる。それに独自のTacx Training SoftwareにこだわってきたTacxであったが、Tacx NEO SmartということでZwiftといったオープンソース型アプリにも対応するようになっている。



Tacx NEO-T2800の利点としては、電源を入れなくてもフルード型トレーナーとして動くということ。つまりPC連動型でありながら、PCと連動しなくてもスタンドアローンで使うことができる。まるで片面SPD、片面フラットペダルのような一粒で二度美味しい状態でありこの点は評価できる。

だがこの動画を見ていただくと分かる通り、Wahoo KICKRと比べてかなりでかい。



さらに、上述したとおり、Tacxには散々辛酸を舐めさせられてきた経緯があり、「Tacx = 広告通りに動かない」というイメージが出来上がってしまっているのでハッキリ言って今回の新モデルもかなり警戒している。


最後のElite Real Turbo Muinも、「広告通りに動かない」という点ではあまりいい噂を聞かない。



エリートの公式サイトのフォーラムで、実際に使っている人のエラー報告を見ることができ、多数の人がソフトウェアなりハードウェアのバグに苦しんでいるのがわかる。

Problems with new Real Turbo Muin | elite-real.com


結局、PC連動という時点でハードウェアに加えて接続のインタフェースやソフトウェア上のバグというリスクを抱えることになり、走り出すまでの準備とともに利便性を妨げるネックとなっている。

Tacx Geniusを買ったときは、サポートとのやりとりや国際便での送り返し、ドイツ税関で差し止めをくらったりで結局PC連動型トレーナー環境を再実現するまでに2ヶ月以上かかった経験があり、高機能になればなるほどそういったリスクが高くなることに不安を抱いている。

言わずもがなだが、時間をかけるべきはローラーを回すトレーニングセッションであり、そのための設定ではない。それこそ短いセッションであればセッティングをしている間に終わってしまうので、トレーニングをするためのセッティングに時間がかかってトレーニングの時間を削ってしまっては本末転倒である。

また、そういったバグがあることを考えると、キャリブレーションで負荷が正しく設定されているかどうかというのも疑わしくなり※、それならばシンプルな機構の方がよっぽど信頼できるということになってしまう。(※実際に、Tacxで20%までの勾配再現に対応しているはずが、10%の勾配再現を越えると負荷が同じになってしまっていた)


5と6が最後に迷ったモデルである。

どちらも静粛性に優れており、さらにPC連動ではないのでインタフェースやソフトウェアのバグリスクからも解放される。

この点、Eliteは使ったことがないが、CycleOpsに対するハードウェアの信頼性は高い。

繰り返しになるが、TacxではFortius, Geniusとあれほどバグに悩まされ、Geniusはオンラインサポートまで受けても駄目で国際便でクソ重いローラーを送り返すということまでしたのだが、CycleOpsのPowerBeam Proはハードウェアエラーは皆無でその堅牢さには感心したものである。

そのため最後までどちらにするか迷ったが、CycleOpsのSilencer Direct Drive Magは負荷変速の調節機能があり5段階まで調整することができる。



一方のTurbo Muinは調整機能がなく、普通に考えると調整できた方が高機能でいいのかもしれないが、自分としてはできるだけシンプルでブレのない負荷をかけてくれる方を優先したい。負荷調整はギアを変えることでも対応可能なので、負荷調整の機能は「ローラー側で常に一定の負荷を実現させ、負荷変動リスクのある要素は取り除く」という観点から見ると、むしろデメリットに感じてしまう。

以上を総合するとEliteのTurbo Muinに。



ということで、「エリートにしよう」→「でもPC連動はアレだから無印(むじるし。「むいん」ではない)のターボムインにしよう」という流れではなく、「シンプルで測定誤差の少ないトレーナー」というアプローチでエリートのターボムインに白羽の矢を立てたのであった。



5 件のコメント :

  1. いつも拝見しております。
    今回の検討には、GTローラーやミノウラからの新しいGTローラーに似たやつとかは、検討されなかったのでしょうか?

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    1. いつもご訪問ありがとうございます。
      今回の検討のポイントは「ローラーにおける変数を如何に少なくするか」でしたので、タイヤ(ホイール)を回転させる機構のGTローラー系は対象外にしていました。

      パワートレーニングをしていて、PR(自己記録)を1W更新できたとします。この点、他の駆動系の抵抗等で違いが出てしまうと、この1Wが純粋に自分のパフォーマンス向上の結果であるかどうかがわからなくなってしまいます。

      例えばチェーンラインで、39-11Tと53-15Tはほぼ同じギア比(前者は3.55、後者は3.53)ですが、前者はインナートップのため、後者に比べて2.8Wほど駆動系でのロスが生じます。タイヤの空気圧もしかりで、クリンチャーでも日々空気圧は微減していきますし、毎回乗る前に空気を入れたとしてもわずかな空気圧の違いが1Wの誤差を生み出すかもしれません。パワーが1W、2W上下しても、こういった他の変数が多くなればなるほどどれが原因でパワーの上下が生じてるのかわからなくなります。

      トレーニングの成果を把握するためにはMarginal Gainの正確な定量化が必要で、エンジン以外の変数を出来る限り排除したいというのが背景にあり、その結果駆動系による変数が最も少ないと思われるダイレクトドライブ式の選択となりました。

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  2. 初めまして。ロードバイク初心者ですが、ローラー台について検索しているうちにこちらへたどり着きました。EliteのTurbo Muinを含め検討しようと考えているのですが、実際購入された後の使用感はいかがでしょうか。またレビューしていただけると幸いです。

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    1. 初めまして、コメントありがとうございます。

      私としてはもうローラーは買い換える必要はないかなと思うくらい、かなり満足しています。これまでTacx, CycleOps等々試してきましたが、一番安定感はあると思います。静音性も高く、通常強風で回す扇風機の音の方がうるさいという状態です。

      ローラーでは日々のパフォーマンス管理のため、一定の負荷が望ましいと思いますが、その点でもダイレクトドライブは信頼性が高いです。タイヤ接触型では、タイヤの空気圧や削れ具合、トレーナーとの接地圧力次第で負荷が代わってしまうので、例えば同じギアで90rpmで回したとしても、それらの外部環境要因によって微妙に必要な出力が変わってしまい、精緻なトレーニング管理が難しくなってしまいます。

      と良いことばかりのようですが、やはりデメリットは固定式であることで、実走で重要になる慣性や重力、フレームのしなりを出力に換える走り方は(固定されている構造上)再現性が低いので、どうしても実走にはかなわないと思います。ただ、それは他のローラーにも言えることですので、純粋に足腰、心肺の筋肉トレーニング用として、雨や夜といった実走しにくいときの代替手段としては有用だと思います。

      参考になりましたら幸いです。

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    2. 詳細に教えていただきありがとうございます。大変参考になりました。購入を検討しようと思います。

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