自転車映画レビュー:パンターニ 海賊と呼ばれたサイクリスト


マルコ・ロンダニーニ、じゃなくてマルコ・パンターニを題材にした映画、「Pantani: The Accidental Death of a Cyclist」。邦題は「パンターニ 海賊と呼ばれたサイクリスト」。



去年の5月に公開された映画だが、来週から日本でも公開されるということで、ネタバレにならない程度にご紹介させていただきたい。

といっても、みなさんご存知の通り、マルク・パンターニは実在の人物なので映画の内容は史実通り。



フェスティナ事件から、



ツールの優勝、



そしてドーピング陽性、コカイン中毒になったあとの死まで、この映画はそんなパンターニに焦点をあて、関係者のインタビューと当時の映像とともにパンターニの一生を振り返るドキュメンタリー映画となっている。





ドキュメンタリーフィルムだが、単に当時の映像を見るというだけでもいいと思う。



あの特徴的な下ハンを持ったダンシングクライムは弱虫ペダルの「異様なまでに~」シリーズに引けを取らない。




実は本国イタリアでは、「Il Pirata: Marco Pantani」というタイトルで2007年にテレビスペシャルも放送されている。むしろ邦題にはこっちのタイトルの方が近い。



テレビスペシャルといっても2時間あり、映画のそれと時間的には変わらない。

違うのは、テレビスペシャルの方は俳優がパンターニ役をやり、彼の人生がドラマ化されていること。

もちろん史実通りの展開なので内容は変わらないが、故郷のチェゼナーティコでサッカー好きだった少年時代、おじいちゃんに自転車を買ってもらった頃から、コカインに手を出して自ら命を絶つまでが詳細に再現されている。



少年時代にレースチームに混じってスカウトされる。



ちなみにどちらにも出てくるのがドーピング検査のヘマトクリット値。



50以上は失格というルールの中で、50ギリギリまでドーピングするという手法もとられており、タイラー・ハミルトンがその著書の中で語っている通り、1000円までなら万引きしてもOKと言っているのと変わらない。



とはいえ、様々な場面で「言い訳」としても言われるが、当時の上位陣が軒並みドーピングをしていたのは事実で、ドーピングの話題に触れずに美談だけで終わることは不可能なのはご承知の通り。




ちなみに時折(特にレースシーンで)本物の映像も使われている。



本人と本人役を交互に挟んで違和感なく見せる手法はブルース・リーの死亡遊戯を彷彿とさせる。




ドキュメンタリーとドラマは、マルコ・パンターニという人物に迫っているという点では同じものなので、両方とも見るとさらにじっくり楽しめるであろう。





0 件のコメント :

コメントを投稿