東京オリンピックコースで男女差別が話題になる海外ニュースとの温度差

ご存知の通り、2020年東京オリンピックのロードレースコースが発表された。

が、それを受けて海外で話題になったのは、男女差別とも取れる女子コースに対する不満。

Cycling Weeklyの記事では冒頭から「2020年のオリンピックロードレースコースは、ファンと選手両方から、不満と失望が上がった」と辛辣。

The route for the 2020 Olympic road race has been met with a mixture of discontent and disappointment – both from fans and riders.

Riders respond to women’s Olympic road race route which ‘does not signal equality’

オランダのアネミック・ファン・フルーテンも「失望した!」のツイート。



アメリカのエレン・ノーブルは「平等にしてくれ」と叫ぶ。



マリアンヌ・フォスも「あまりに男女で違うコース設定は男女平等を標榜するIOCの理念にも反する」と批判一色。



遂にはIOCの前ロードコミッショナーで元プロのアイリス・スラッペンデルも「男子のコースは難しすぎでもっとクラシックに近いプロファイルの方がいい」と男子のコースにもダメ出し

つまり、男子は難しすぎ、女子は「易し」すぎということ。

たしかに難しければいいというものでもなく、プロファイルとの闘いとは別に他選手との駆け引きの闘いもあるのでコースだけ難しくして後者や他の醍醐味が薄れてしまっては逆効果である。

ツールやクラシックだってもっと難しくできるのに(例えばラルプ・デュエズを3回上るとか)、今の形に落ち着いているのは100年以上の歴史の中で培われた最適均衡点なのだろう。

ちなみに前回ブラジルで開催されたリオオリンピックでは、女子のコース距離は男子より短かったものの、コースのルートは一緒で、男子は周回数が多くなるだけであった。

ウィグル・ハイファイブの選手も「おそらくロードレースをよく知らない日本人の誰かがコースを作ったんじゃないかしら。男女平等も考慮されてないし。」とコメント。

そして我らが日本チャンピオンの與那嶺選手も「日本では男女平等についてメディアも誰も議論しません」と悲しみのツイート



その言葉を裏付けるように日本のメディア報道を見てみると・・・。

男女とも東京・武蔵野の森公園をスタートし、神奈川、山梨、静岡県内を巡って富士山麓の富士スピードウェイ(静岡県小山町)にゴールする男子約244キロ、女子約147キロのコース。組織委は「起伏の激しい、富士山を望む超難関コース」としている。

開会式翌日の7月25日に行われる男子は武蔵野の森公園を出発後、多摩ニュータウンなどを通過し、町田市から神奈川県相模原市の国道413号へ入る。山梨県の通称「道志みち」を山中湖まで駆け抜け、山中湖や富士山麓などを周回して富士スピードウェイにゴール。同26日の女子は山中湖から先のルートが短くなっている。

富士山望む超難関コース 自転車ロードレース 組織委が発表

男女とも、是政橋の本格スタートから80キロ過ぎの国道413号の「道志みち」(山梨県道志村)は、標高1121メートル。男子の139・2キロ地点、富士山麓(静岡県裾野市)では最高到達点となる標高1451メートルに達する。

終盤の200キロ地点付近には最大斜度20%の急な上り坂が待ち構える。獲得標高(上った坂道の合計)は男子が約4865メートル、女子が約2692メートルで、近年の五輪に比べても高い。日本自転車競技連盟の中野浩一選手強化委員長は「日本選手にとっては厳しいコース。山登りが得意な方が有利」と話した。

自転車、富士山を望む難コース 東京五輪のロードレース

男子の「超難関」に触れたものばかりで、女子のコースはさわり程度、もちろん男女平等について踏み込んだ報道は皆無

さらには「50年前の反省を踏まえたコースに設定した」とインタビューに答える元男子ハンマー投げの選手・・・、と、隣りに立つのは元競輪選手の中野浩一

まさに上記、「おそらくロードレースをよく知らない日本人の誰かがコースを作ったんじゃないかしら。」を裏付けるような状態・・・。

1964年大会の反省を踏まえたコース設定としたとコメントする室伏広治氏

2020年東京五輪ロードレースのコース発表 男子の獲得標高は4865m、女子とともに“超級”難易度に

東京医科大学の問題にしろ、海外の報道は「女性排除のために試験結果を変えた」と日本よりも論調が強いが、ここでも温度差を感じてしまうのであった。

The Japanese university at the center of a sexism scandal apologized for “systematic” manipulation of test scores aimed at keeping female students out, with top officials saying that discrimination against women should never be allowed.

Japan University Admits Altering Test Scores to Keep Women Out


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