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Arduinoで作るサイコンの世界

Arduinoとはいったいなんであろうか。

自分自身、この問いを考えていて、行き着いた答えは・・・


電脳世界と物理現実世界とを繋げるインターフェース


である。

これまで趣味や仕事も含めて数え切れないほどのプログラムを書いてきたが、それはほとんどがパソコンといった電脳の中で動くものばかり。

BASICやC++、JAVAも言語は違えどすべて同じ土俵である（一部組み込み系はむしろArduinoに近いのかもしれないが）。


プログラムは基本的にインプットを元にアウトプットを制御するブラックボックスである。

Javaにおけるメソッドなんてまさに引数というインプットをもとに返り値をアウトプットで返すものであるし、年齢や病歴等を入力して保険料を算出するシステムも同様である。

そしてArduinoとは、そのインプットとアウトプットで物理現実と結びつけるのに適している。


前回ご紹介したポテンショメータの例は、ポテンショメータのツマミを回すことでLEDの光量を調整している。



この「ツマミを回す」というインプットを「人体感知センサー」に、「LEDの光量」というアウトプットを「蛍光灯のオン・オフ」にすれば、部屋に入ると自動的に灯りをつけるシステムが構築できる。




さらに「リモコンの再生ボタン」をインプット※に、「ライトのオン・オフ」をアウトプットにすることで、DVDを再生すると自動で消灯するシステムが作れるし、実際に作っている人もいる。（※具体的にはリモコンから発せられる赤外線をIRセンサーで感知している）

IRセンサーを使えばTVのリモコンを使って直接ライトをつけたり消したりもできる。




さらに複雑なものでは、自動ガーデニング管理システムも作られたりしている。

こちらの例では温度や湿度をセンサーで管理し、植物への光、水を自動管理。そのデータをパソコンに無線転送して自動的にTwitterにツイートするシステムが構築されている。




アウトプットはLEDやライトといった光、スピーカーの音以外にも、スイッチのオン・オフを使えば、火をつけたり消したり、冷蔵庫を動かしたり止めたり、洗濯機を回したりと、ほぼすべての電化製品を制御できる。（中には分解して基盤に手を加える必要があるものもあるが）

インプットに使われるセンサーにも様々なものがあり、この例ではコップを触ったか、握ったか、中の水に触れたかを判別できるようにしている。




感圧センサーを使えば体重計を作ることができるし、逆に体重計のデータを（単に体重計付属のディスプレイに表示させるだけでなく）WiFiで飛ばしたり、パソコンと通信したり、ANT+でアウトプットすることもできる。

実際にANT+の規格で出力結果を飛ばすことで、Garminのデバイスに体重計として認識させ、ANT+対応機器を作っている人もいる。




GPSセンサーを使えば現在位置やスピードも補足できるし、これまたアウトプットではWiFiやANT+といった無線でデータを飛ばすこともできる。

そしてこちらの人は、マグネットの磁力センサーでホイールの回転数を算出し走行スピードと距離を算出する簡易サイクロコンピュータを作っている。



さらに他にもサイコンを作っている人が。

上記の人はディスプレイの代わりにスピーカーからモールス信号で情報を発信し、EEPROMに記録していたというマニアックな仕様に対し、こちらの人はディスプレイに表示しSDカードに記録ということで、よりサイコンっぽく仕上がっている。




よしよし、どんどん自転車の世界に繋がってきた・・・。


が、忘れてはならないことがある。

それは自分がまだシステムエンジニアをしていたころの不文律、

「すでにあるものは作るな」


サイコンはもちろんハートレートモニターだってスポーツ用品店に行けば簡単に手に入る。

すでに市場に溢れているサイコンをゼロから作る必要はない。

数日かけてサイコンを作るなら、その分働けば（マックのバイトでだって）サイコンを買ってお釣りがくるだけ稼ぐことができる。

ということでArduinoに手を出した本当の理由は別のところにあったのである・・・。