アクティブリカバリーと思っていても、自転車に乗って体が暖まってくるとつい出力が上がったりしてしまうことがある。この点、Tacxの機能では、パワー出力が一定になるようにローラー台の負荷を自動調節してくれるので、トルクが上がっても逆負荷がかかってトルク上昇分ペダルが軽くなり、あらかじめ設定したパワーしか継続して出せないようになっている。
ということで、前回の質問の続きから。
これはスペインのニュース、asで当時取り上げられた記事である。
意訳すると、「ランス・アームストロングが世界で最も稼ぐ自転車レーサーだが、なんとその次に名を連ねるのは、Yamada, Koyima, Kamiyama, Tsutsumi, Fushimi, Uchibayashi, Mabuchiといった日本人の競輪選手たちだ。」ということである。
名字だけであるし、ローマ字のスペルミスもあるが、おそらくS級競輪選手から判断してそれぞれ、山田裕仁、小嶋敬二、神山雄一郎、堤洋、伏見俊昭、内林久徳、馬渕紀明(敬称略)の各選手たちのことであろうと思われる。つまり、全世界の自転車プロ選手たちの中で、トップはランス・アームストロングに譲ったものの、それ以外の上位は日本人が独占しているのである。
歴史的に日本の自転車競技はトラック競技メインである。中野浩一氏の偉業もあってか、日本の競輪は有名らしく、アメリカ人のチームメイトからも「日本にはベロドローム(競輪のバンク)がいっぱいあるんだろう?」と言われたことがある。競輪がKEIRINというオリンピック種目になっていることもその証明の1つであろう※。JCF(日本自転車競技連盟)の会長、選手強化委員長、日本代表監督も漏れなく元競輪選手であるし、そもそも日本にスポーツとしての自転車を広めたのは中野浩一氏によるところが大きいので当然かもしれない。
※とはいえ、競輪とオリンピックのKEIRINは別の競技と言ってよいほど違う。日本の寿司がアメリカで人気が出る一方で、アメリカナイズされたために海苔にシャリを巻いて逆になった巻物のようなものか…。そしてそれが日本人の競輪選手がKEIRINで勝てない(勝ちにいかない)原因にもなっている。まずルールが違い、競輪での「勝つためのテクニック」が、KEIRINでは反則技で失格対象になってしまう。さらにバンク周長も違い、一般的な日本のバンクが333m、400m、500mなのに対し、KEIRINのバンクは250m。また、バンク周長だけでなく、バンクの材質も違い、競輪のアスファルト製に対し、KEIRINは木製。日本の中で、250mの木製バンクというと、日本サイクルスポーツセンターに今年できたばかりの伊豆ベロドロームくらいか…。そしてライン(ロードレースでいうところのチーム戦)がないため、競輪の戦略、戦術が役に立たない。
そういえば、「アオバ自転車店」という漫画のスピンオフ作品で「ケイリンチャレンジ編」という漫画がある。簡単に紹介すると、これまでクロモリのロードバイクに乗っていた高校生が競輪選手と出会い、将来、自転車を仕事にするために競輪の道を選ぶというもの。もちろんその高校生は、稼げるから競輪を選んだわけではないのだがその年収は自転車を仕事とするのに十分である。
また、Oddsという競輪漫画では、元々ロードでインターハイ2位の選手だった主人公が、家庭の事情で金銭的な問題から競輪の道へ進むというものである。
もう1つ、かめも☆チャンスという自転車漫画でも、このようなシーンがある。
もちろん、金のためにロードバイクをするわけではないし、そもそもアマチュアレーサーなんて大金をつぎ込んでまでロードに乗っているほど、ロードバイクの魅力にはまってしまっているのだから、ロードとトラックの年収の違いなんて関係ないかもしれない。
だが、そういった金銭的な面も含めた環境、当該スポーツにおける市場規模が、スポンサーやファンのみならず、将来スポーツ選手を目指すこどもたちにも影響を与えることを考えると、日本のロードレース界の底上げにとって関係ないでは済まない。
この点、ロードレースにおける最高峰のツール・ド・フランスでさえ、その賞金は総合優勝者で45万ユーロ(現時点のレート、1ユーロ108円換算で4,860万円)である。
一方、競輪の場合、G1レースのひとつである日本選手権競輪の優勝賞金は6,600万円。KEIRINグランプリに至っては優勝賞金1億円で、1レースの優勝額がギネスに認定されているほどである。
ツール・ド・フランスが、23日間、約3300km走り続けて4,860万円、片や一発勝負のKEIRINグランプリは5分間で1億円であることを考えると、時間単位の賞金額では最早とてつもない差が出てしまう。ロードであれトラックであれ、日々厳しいトレーニングをしていることを考えると、客観的に費用対効果として見た場合、競輪のそれは顕著である。
ということで、次回は、自転車競技以外の他のスポーツとの比較もしてみたいと思う。
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