2014年第10戦:マウントワシントンヒルクライムレース


マウントワシントン。




"The Toughest Hillclimb in the World"と呼ばれる最難関のヒルクライムレース。





その平均勾配は12%で、ラルプ・デュエズ(平均勾配8.4%)、乗鞍スカイライン(平均勾配7.2%)を遙かに超える。



歴代優勝者はトム・ダニエルソンにタイラー・ハミルトン。

グラン・ツールで総合優勝争いに絡んだり、ステージ優勝を飾るトッププロが記録を残す歴史あるレース。

さらに女子のレコードホルダーはジャニー・ロンゴ。UCI世界自転車選手権で13個の金メダルを獲得、アトランタオリンピックの女子ロード金メダリスト。女子自転車競技史に残るトップアスリートである。

ちなみにランや自動車でのレースも行われており、こちらの動画は自動車でのタイムアタック。



コースの13%は未舗装路となっているため、トラブルも多く、リタイアする車も。






自転車のレースは、トップノッチグループ(チャンピオンクラス)と他の年代別グループで時間差スタート。

トップノッチグループは過去1時間20分のタイムを切ったことがある選手のみということで、今年初参加となる自分は年代別のスタート。

スタート時はブザーが鳴ると思ったら耳を劈くような大砲の爆音とともにレーススタート(おそらく山頂にいる応援の人たちにもスタートが聞こえるようにしているのであろう)。

最初はもともとのレース戦略で予定していた通り、少し抑え気味に入りながらダンシングを織り交ぜながら4.5倍ワット前後を維持していく。

ちょうどいまっちさんも同じ位置にいるので彼とペースを合わせながら進む。

が、パワーメーターを見ながらペースメイクしているといまっちさんを追い越し始める。

いまっちさんはスロースターターということもあって自分はそのままの強度を維持。

1時間を超える長丁場のヒルクライムレースだがペースを維持してコースの半分ほどに差し掛かる。

と、段々と平均出力が落ち気味になり、逆に上がり調子のいまっちさんに抜かれていく。

ここで引き離されてはと思っていると未舗装路区間に突入。

平坦の未舗装路ならいざ知らず、斜度12%の激坂が延々と続く中での未舗装路は初体験

ダンシングで重心を前に移すと滑りそうになるのでサドルの後方に座りながら安全最優先で走るが、ぐいぐい進んでいくいまっちさんからはどんどん離されていく。



未舗装路と行っても車のタイヤが通過する部分は砂利や石が少ないのでそこのあたりを選びながら走る。

とはいえ、考えることは皆同じなので、落ちてきた選手を抜くときには石が多い方へ避けながら抜いていかないといけない。

スローペースであるがゆえに、石に乗り上げたときの影響も大きく、イチゴくらいの大きさの石に乗り上げるだけでペースを乱される。



やっと未舗装路区間を終えるといまっちさんは遙か遠くに。

まだ見える位置にいるものの未舗装路区間での肉体&精神的疲れは大きくてペースを上げられない。

そして3分の2ほどを過ぎたところで右脚が攣り始める。

さらには左脚も攣って危険な状態に。

片方の脚だけで上れるほど12%の勾配は甘くなく、どちらか一方の脚でも動かなくなればそこでリタイヤ。

今回は少なくともトップノッチクラスのタイムを切るのが目標だが、完全に攣ってしまうとそれすら難しくなる。

そこからは攣らさずに走ることを最優先にして、ダンシングはもちろん、攣りそうなペダリングをできるだけ避けてゆっくり、ぐいっぐいっとペダルを踏んでいく。

記憶には残っていないが、おそらくケイデンスは60rpmくらいなんじゃないだろうかと思うほど。

とはいえ、それでも攣らずに回せてさえいればトップノッチクラスのタイムは切れる状態。

そんな状態にも関わらず、ときには落ちてくる選手を抜いて前にでる。

このときほど基礎トルク力(ボロボロでも最低限出せる出力)の重要さが身に染みたときはなかった。

どちらにしろ、今考えればスタート時にもっと抑え気味に入っていてもよかったのだろう。

そしてこのマウントワシントン、なんと最後には22%の急勾配が続いてゴールとなる。



全開ヒルクライム後の最後の急勾配ということもあり、ここで力尽きて転倒したり自転車を降りて走る選手もいるほど。

この区間は気力を絞ってダンシング。

周りの歓声でもはや体力を越えた気力の勝負。





ボロボロになりながらゴール。



ゴールラインを切ると脱水症状に近い状態。

水分補給には気をつけて、予定通り5分毎に口をつけてボトル一本をきちんと飲んだがそれでも足りなかったようである。

トップノッチのタイムは切ったので少なくとも目標は達成。

年代別では5位だが、トップの選手達との差はまだまだ大きい。

いまっちさんは年代別で3位入賞で、レース前に言葉を交わしたプロ選手が総合優勝。

女子の優勝は、3年前に自分も参加したベルギーのアマチュアワールドチャンピオンシップで、タイムトライアル、ロードレースともに金メダルを取ったアマの世界チャンピオン。彼女は数々のヒルクライムレースで優勝しており、ジャージのアルカンシエルが眩しい。

とはいえ、来年以降に繋げるための目標は達成するとともに、今の自分に足りないもの、今後の課題も浮き彫りになったのでかなり収穫のあったレースとなった

3 件のコメント :

  1. ヒルクライムレースに参加してみたくなりましたヾ(☆OωO+)ノ

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    1. 病み付きになりますのでぜひご参加ください。といっても日本に帰ってからになりそうですかね。

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  2. リンクありがとうございます。水分補給はウォーミングアップ時から気をつけていたのですがまだまだ足りなかったようで、脚の攣りの原因と言われる水分、ミネラル、筋肉の3つをそれぞれ改善して臨んだ次のレースでは上手くいくことができました。

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