クリート計測パワーメーター登場、時代の流れから紐解く究極のパワーメーターとは

前回のエントリでこんなことを記載した。

パワーメーターがロードバイクに装備されてからしばらく経ち、ハブ型、クランク型、ペダル型など様々なパワーメーターが開発されているが、そもそもパワーを生み出しているのはハブでも、クランクでもなければペダルでもない。


そう、そもそもパワーメーターの歴史を見ると、測定箇所がどんどん出力の中心部へと向かっている

本家のSRMはクランク型だが、その次に市場に出てきたのはリアホイールのハブで測定するPowerTap

ただ、ハブでの計測は、チェーン、スプロケットと駆動系を経由してきているため、パワー出力の源から遠くなれば遠くなるほど正確なパワーの測定が難しくなる

Polarからはチェーンステーで測定するパワーメーターが登場。

ボトムブラケットで計測するErgomoのパワーメーターもあった。

その後、クランクアーム内での測定をするQuarq、Power2Maxが出て(先駆者のSRMもクランクアーム内測定)、クランク自体での測定をするStagesが。

そして自転車という機材の中で最もエンジンに近いペダル測定のパワーメーターがGarmin、Look & Polar、Xpedoから出ている。


世はまさに、大パワーメーター時代!





さらにそれでは飽きたらず、遂には自転車から離れ、史上初の「Wearable Power Meter」としてクリートで測定するパワーメーターZone D·P·M·XがBrim BrothersからInterbikeで発表になった。

クリート測定となるともはや自転車への搭載は不要となり、電池含めてビンディングシューズに装着するパワーメーターとなっており非常に興味深い。

ケイデンスもクリート部分で測定可能ということで、スピードをサイコンのGPSで拾うようにすれば、自転車本体に取り付けるマグネットともおさらばである。

40万円以上する上に電池交換はドイツまで国際配送しなければならなかったSRMや、ハブ測定でホイールを気ままに交換できなかったPowerTapの初期時代からすると隔世の感がある。

クリートにパワーメーターがつけば、それこそ自転車を乗り換えてもパワー測定ができる。

自分の場合、ロードバイクだけでなく通勤で使っている折り畳み小径車のブロンプトンでも(ペダルさえ合わせれば)測定可能になるし、MTBをやる人にとっても幅が広がる。





が、しかし・・・。



それでもまだパワーの中心部には届いていない・・・。



そもそもパワーを発生させている箇所はどこか。


この点、サイクルスポーツ誌の図解でまとめられているが、パワーを出力しているのは股関節と膝関節※、および(図解では書かれていないが)足関節の伸展、屈曲である。(※図解では「ヒザ関節」と書いてあるがAnatomy(解剖学)では「しつかんせつ」と読む)





以下、とあるドイツの研究論文より、股関節、膝関節、足関節それぞれにおける伸展、屈曲時のパワー出力が測定されている



最も出力が高いのは股関節伸展で96ワット、次は膝関節伸展で61ワット、さらには膝関節屈曲が31ワット、足関節も一応計測されているが伸展時に9ワットとほとんど出力が出ていない。

一方でエキセントリック収縮によりマイナスパワーが発生し、出力が一部相殺されてしまっていることも一目瞭然である。


上記論文についてはこのエントリで語りきれないので後日に譲るが、こうしてみると究極のパワーメーターおよび真の効率というのもおのずと見えてくるのである・・・。



4 件のコメント :

  1. これは筋肉の伸縮でパワーを測るしかない!!

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    1. まさしくパワーを出している部分の元ですからね。重力や慣性力といった他の力もある一方でそれを制御してペダルに伝えるのもこれまた筋肉であり如何に体を動かすかでもあるので。

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  2. 路面にどの位パワーが伝えられたかが問題と考えれば、末端で測った方が正確だと思います。いくらパワー出してもメンテナンスしてないチェーンではパワーを食われてしまいますし。また、人間がパワー出していてもクランクを伸ばすことに使っていたら(下死点で下にペダルを踏んでいる)無駄だと思います。自分の出せるパワー自慢をしたいのであれば身体内部の測定で良いと思いますが、どこの位置でパワーを測りたいか目的が大事だと思います。

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    1. コメントありがとうございます。
      おっしゃるとおりどの部分を問題にするか、何の目的でパワーを測定するかで捉え方が変わると思います。自転車も含めた推進力としての「パワー」では末端になればなるほど「正確」になりますし、究極的には後輪と地面の接点部分の推進力を測定できれば一番好ましい数値になるかと。一方でパワートレーニングに代表されるように、人間のパフォーマンス向上のための指標用に筋出力としての「パワー」を測定したい場合には逆に駆動系による影響を排除できた方が「正確」になるとの認識です。FTPやVO2Max向上のトレーニング用に使っているパワー測定値がチェーンのコンディションでぶれてしまっては正確な体力向上分を把握できなくなってしまうので。とはいえ最終目的はできるだけ効率的に速く走ることなので、そのための指標としてはエアロポジション等の空気抵抗も含めた上での速度になるのでしょうね。

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