PioneerのパワーメーターSGY-PM910Hのペダリングモニター機能を使わなくなったワケと真の効率

2014年4月に発売されたSGY-PM910H。

待ち焦がれた挙げ句、フロリダやカリフォルニアのサイクルショップまで問い合わせし、発売直前の3月時点に手に入れたのは以前ご紹介した通り。

パイオニアのパワーメーター:SGY-PM900は買わなかったのにSGY-PM910Hは買いだと思う3つの理由(ワケ)

パイオニアのパワーメーター:SGY-PM910H探して

パイオニアのパワーメーターSGY-PM910HとSGX-CA500:3年越しの人柱宣言


ところが、昨シーズン使い続けてきた結果、ペダリングモニターを使わなくなってしまった

具体的にはシーズン途中まで使い続けて参考にしていたのだが、後半になるにつれて効率は見なくなり、参考にするのはパワー出力中心になっていった。

極めつけはマウントワシントンの後のカヤックで、サイコンのSGX-CA500をサコリバーの川底に紛失、すでにペダリング効率に頼らなくなっていたこともあり買いなおすことはせず、SGY-PM910HをGarmin Edge 800に接続し、ペダリングモニターではなくパワーメーターとして使い続けることになった。

さらばSGX-CA500、Saco Riverのカヤック川下り


■新たなガラパゴス?

一方で世間の評判を見ると今や猫も杓子もペダリングモニターである。

雑誌でペダリング特集なんかがあったりすると毎回のようにパイオニアのペダリングモニターの図解が載る。(画像はBicycle Clubの12月号より)。



DVDもしかり。





ただしこの傾向は日本国内限定の話しであり、海外の自転車雑誌ではペダリングモニターでペダリングが紹介されているのを見たことがない

もちろん日本がグランツールの総合優勝者を輩出するようなロードレース先進国であれば、ただ単に他国がその技術に追いつけてないだけの話だが、残念ながらそうではない。

一体その温度差はどこから来ているのであろうか?


■「効率」の落とし穴

この点、ペダリング効率について考察した以前の記事を引用したい。

■ペダリング効率とは

米国内のレビューや感想を見ると、そもそもパイオニアのパワーメーターが売りにしている「ペダリング効率」について疑問が呈されている。

これについては自分も同意するところで、あくまでも目的は速く走ることであって、ペダリング効率を高くすることではない。

ではペダリング効率を高くすることが、速く走る目的のための手段となるかというと、必ずしもそうとはいえない。

ペダリング効率とはあくまでクランクにかかるトルクのベクトルから割り出している機械的な効率だけであって、人間の体の使い方についての効率ではないからである。

たとえばエアロポジション。

空気抵抗的に最も効率的なポジションでは、オブリーがやっていたように、腕をできるだけ畳むか真っ直ぐに伸ばし、背筋はまっすぐ、できるだけ前面投影面積を小さくするようにする。

一方で、空気抵抗削減を追及しすぎると、逆に不安定な体勢となってペダリングがしにくくなり、肝心のエンジンの性能を下げてしまう。これが「空気抵抗的に最も効率的なポジション」=「速く走る上での最も効率的なポジション」にならないポイントである。

前者が物理的な効率だとすれば、後者は人間工学も含めた最終的な効率であり、パイオニアのパワーメーターがカバーしているのは前者のみである。

そして世の中に楕円チェーンリングなるものがあるのも、前者の効率が後者の効率とは似て非なるものであるからに他ならない。

ペダリング効率を高めた結果、力を出しにくいフォームになってトータル出力が落ちては意味が無い。

ちなみになおっきさんのこちらのブログエントリでも同様のコンセプトが書かれている。
GIROのデータもあるんだけど、全体のペダリング効率は30%台です。ものすごくTTしている区間でも50%後半。
つまりペダリングモニターを持っている人は注意して欲しいんだけど効率を求めてはアカンということです。
せいぜい60%台前半で十分です。70%80%求めてはいけません。パワーも落ちるし人間工学的には意味のない数字です。
とパイオニアの中の人も口酸っぱく話していましたよ。


じゃあ効率を表示する意味っていったい・・・。


パイオニアの人自体が「効率を求めてはいけません」となると、もはや効率を表示できるというパイオニアのペダリングモニター自身の存在意義に疑問を呈さざるを得ない。


ただここで忘れてはいけないのは、パイオニアの「効率」とはあくまでペダリング効率でしかなく、エンジンも含めたトータルな効率ではないということである。


となると自ずと重要なものも見えてくる。

そう、真のパワー源の効率である。

パワーメーターがロードバイクに装備されてからしばらく経ち、ハブ型、クランク型、ペダル型など様々なパワーメーターが開発されているが、そもそもパワーを生み出しているのはハブでもなければクランクでもなければペダルでもない。

そしてその答えが示唆されているのが、今や日本のロードバイクコーチとしては第一人者になっている栗村修氏のこの本である。


5 件のコメント :

  1. ペダリング効率ってコースプロファイルに対するエンジンの使い方の効率でもないですね。
    例えば平地メインのコースで短い登りが1箇所あるとしたらそこもシッティングで走るのかという点ですね。
    ダンシングして一時的にペダリング効率を落として加速した方がいいこともあります。

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    1. コースプロファイルに対する効率はレース戦略にも通じますね。基本的にアップダウンのあるコースの場合、常に同じ出力を出し続けるより、登坂では出力を上げ、下りではその分休む方が、同じ平均出力でもタイムが伸びるので実際のレースのコースプロファイルに沿った戦略は必須だと思います。

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  2. 白橙アクア2014年12月8日 21:43

    前にも書いたかもしれませんが、パーセンテージを追い求めて持久力のない筋肉を使ってしまっては効率もクソもないという怖さがありますね。ワット数と心拍の組み合わせで、必要十分かもしれません。


    もちろん私のような初心者には、十分すぎるほど有効なのはよーく分かっていますけど。。ていうかやっぱり欲しいw

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    1. 「筋肉」というキーワードありがとうございます。まさしくパイオニアのペダリングモニターの「効率」はパワーを実際に出している筋肉についてはカバーされていないんですよね。それが誤解を生む元になっていると思います。

      ちなみにオブリーはパワーメーターですら、「走った後で見ると面白い。でもUselessだ」と切って捨ててます。パワーメーターまみれの自分としては耳が痛いですが(^^;

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  3. パイオニアの中の人は70%80%求めてはいけませんと言ってるだけで、「効率を求めてはいけません」とは言ってないだろ。
    「便利なモニター」はモニターであり、それ以上でも以下でもない。
    わらかすな。

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