2015年第1戦:サンディフックタイムトライアル

今シーズン緒戦当日。

雨が止んだばかりで曇り空。事前の予報通り激しい風が吹いている。

朝5時に起きて準備開始。

いつもと違い炭水化物たっぷりの朝食を摂って荷物を車に積み込む。

年々物忘れが激しくなっているので忘れ物がないように持ち物リストを作成。

以下が自分の当日レース用の持ち物リストである。

  • 白湯
  • スポーツドリンク
  • シューズ
  • シューズカバー
  • アイウェア
  • 補給食
  • タオル
  • 替えの靴下
  • ヘルメット
  • 固定ローラー
  • ローラー用ホイール
  • ポンプ

最後、車のエンジンをかける前にGPSで目的地をセットして忘れ物がないかひとつひとつ持ち物リストをチェック。

車で片道1時間以上かかるので忘れ物をしたら最悪レースを走れなくなってしまう。

すべて持ったことを確認してエンジン始動。

走らせてすぐに思ったのはやはり風が強いこと。高速を走っていて窓がどこか少し開いてるんじゃないかと間違えるほどいつもに比べて風の音が強い。時折突風に揺られるほど。

早朝ということもあり、渋滞もなく順調に進む。むしろその分車の流れが早く、周りの車と同じ速度で走っていても80mph(128km/h)を超える。

そんなこんなで予定より早く到着。

高速を走らせていると雲間から太陽の光に照らされた青い海が見えてくる。

海岸の向こうにはニューヨーク湾を挟んでかすかにマンハッタンの摩天楼が見える。




まずは車でコースを試走。

雨が上がったばかりの路面が照り輝いている。



やはり1年経つと忘れていて、コースの流れを頭に叩き込む。



こちらは折り返し地点のフォートハンコック。




風は北西で、海に突き出たコースとあって風の影響をモロに受ける。

行きは地獄、帰りは追い風。



F-ZEROでDeath Windという、単純だが風が激しいコースがあったがそんな感じ(といっても今の若い人はそもそもF-ZEROすら知らないのか・・・)




試走を終えてウォームアップの準備。

ローラーを出してスキンスーツを取り出す…



スキンスーツを…



スキンスーツが…ないっっ!?



青ざめて思い出していくと、たしかに家を出る前に忘れないように取り出しておいたスキンスーツだが、車に積み込んだ記憶がない。

そして忘れ物がないように確認した持ち物リストだが、そもそも持ち物リストにスキンスーツを入れてなかった(爆)

なんたる失態。

タイムトライアルではスキンスーツで走っているので普通のジャージも持ってきていない。

以前ご紹介したが、タイムトライアルでタイム短縮に最も効果があるのがスキンスーツ。しかもそれですら「普通のジャージと比べて」である。

  タイムトライアル用速度テスト

それが普通のジャージはおろか、今日履いてきたのはブカブカのボクサーパンツ。

タイムトライアルで大半を占める空気抵抗のうち、90%は人間のもの。

これではもう試合にならない。

それにとてもではないがこんなみっともない格好で走れない。

今回は残念だがDNS・・・。



ウォームアップの準備を始める人々を横目に車を走らせて帰途ヘ。

朝5時に起きて、1時間以上かけてきて帰るだけというなんともいえない後悔と無念が湧き上がってくる。



車を走らせながら自問自答していく。


自分はなんのために走っているのか。


勝負にならないのはわかってる。

ただ、大事なのは人との戦いだけではなく、自分自身との戦いである。

幸いパワーメーターは問題ないし、普段着だって走ることはできる。

パワーログを見れば、少なくとも去年の自分のパフォーマンスと比較することは可能であるし、超強風という特殊な環境下での経験、ログも今後の参考にできるだろう。


こんなみっともない格好で走れない?

格好つける為にレースしてるわけじゃない。

自分をレーサーたらしめてるのは、決してカッコイイジャージなんかじゃなく、この脚と意志である。

カッコ悪かろうが、周りから浮いていようが、今できるベストを尽くせばいい・・・。




次の瞬間、Atlantic Highlandsまで戻っていたルート36をUターンして再びサンディフックに向けて車を走らせる。

余裕を持ってスケジュールしていたおかげで、まだ間に合う。



再度会場に着いたらチェックインをして準備。

上はそれでも自転車通勤で使ってるジャケットなので襟まですべてジッパーを締める。

問題は下。

レッグウォーマーにボクサーパンツという気の抜けた格好。



なんで自分はよりにもよってこんなダボダボのズボンを履いてきてしまったのかと後悔1秒。

ズボンはたくり寄せてレッグウォーマーの中にしまう。



それでもダボダボだが外に出しておくよりはマシだろう。

急いでウォームアップを開始。



そしてスタートラインに並んでスタート。


去年の成績で自分より2分ほど早かった選手がちょうど自分の2分後にスタートするので、どのあたりまで抜かれずに持ちこたえられるかが参考になる。

スタートして一直線に伸びるコースを走る。

が、風が強い。

平均40km/hは出ても良さそうな平坦のコースであるが、30km/h台にすら届かない。



平坦とは思えないようスローペースで往路の中間地点にある米軍跡地のミサイルを通過。



そしてタイムを見るとすでに去年は折り返しに入っていた時間。



過去のペースは全く参考にならないのでパワーメーターでペース配分。



と、後ろからスタートした選手に拔かれる。



自分はできるだけ頭を低くしてエアロポジションをキープしているのだが、彼はそんな素振りも見せず坦々と踏んでいる。

まるで違う風の中を走ってるようだが、そんなに違うのかと思いながら中間地点に近づくと、2分後にスタートした例の選手に追いつかれる。




まだ中間地点前なのにもう追い抜かれた・・・。

気を取り直して復路に入ると一気にペースアップ。



が、この追い風なら50km/h出てもよさそうなものだが48km/hが関の山。



踏んでも踏んでもスピードに乗らない。



そのままゴール。




その後、リザルトを見ると予想以上に悪い。

去年のアラムチータイムトライアルで2分近く差をつけて勝った選手にすら負けている。

一方でパワー平均では去年よりも高い出力が出ているので、それだけ出力の多くが増大化した空気抵抗のために使われたということだろう。

なにはともあれシーズンは始まったばかり。

これから1〜2週間ごとにレースがあるので反省と教訓を活かしてまた次に向けて進むのみである。


そう考えると気分も晴れてくる。

実際の天気も、帰る頃には雲も晴れて良い天気になっていた。




さらばサンディフック、また来年。



4 件のコメント :

  1. 忘れ物をしないようにするためのチェックリストが裏目にでましたか・・。
    今年1発目のタイムトライアルは自分もあまりいいタイムではありませんでしたが、満足のいくパワーログがとれました。
    同じ出力なのに速度が遅いのを見ると空力って大事だなあって身にしみますね。

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    1. レースから帰宅してすぐにしたことはチェックリストの更新でした・・・。
      風や装備、路面環境等によってもタイムは変わってしまうので、純粋にエンジンのパフォーマンスを評価するにはやはりパワーログは助かりますね。次はリベンジしたいと思います。

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  2. 久しぶりに来ました。
    残念な結果ではありましたが、データとしては大変興味深いですね。
    やはりウェアの効果は大きいということなんですね。

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    1. ご訪問ありがとうございます。確かにパワーログと比較できるので如実にエアロ効果の違いがタイムに反映されて勉強になりました。ウェアをスキンスーツにしたとして、あとはポジショニングとパワーとの最適解を見つける旅になるのだと思います。

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