健康で文化的な最低限度のダイエットに必要な6つのこと

ダイエットといっても競技スポーツをやっている以上、筋肉をできるだけ落とさずに脂肪だけ落とす必要がある。

これが難しい部分で、いわゆる体重を減らすだけなら随分簡単になる。

カギは生化学上のカタボリック(異化)とアナボリック(同化)。

体がカタボリックに傾けば、基本的に全てカタボリックになる。

つまり脂肪が分解されれば筋肉も同じく分解され、全体的にカタボリック優位となる。

よって筋肉を維持する必要がなく、単に体重を落としたいだけならひたすらカタボリックな状態を作り出せばいい。

一方で、筋肉を落とさずに脂肪だけ落とすというのは難しい。

なぜなら体内ホルモン的に見れば、脂肪はカタボリック優位だが筋肉はアナボリック優位という、真逆の状態を作り出せないといけないから。

例えて言うなら右を向きながら左を向けというようなもので、体の局所局所で別の反応を起こさなければいけない。

それを含めて、ダイエットで気をつけたいことは以下の6つ。

  1. 日々の体重増減に惑わされないこと
  2. 食べすぎを防ぐこと
  3. 食べなすぎを防ぐこと
  4. 摂取カロリーのボラティリティをなくすこと
  5. タンパク質を最低限確保すること
  6. 運動を続けること

1. 日々の体重増減に惑わされないこと


自分がこれまでダイエットで失敗してきたのは、体重管理に気が行き過ぎてしまっていたためだと思っている。

体重は、純粋な「真の体重」と、日々の体調&体内環境による「一時変動体重」が混在している。

ここでいう「一時変動体重」とは、むくれていたり、水分量が多かったり、お通じが来ていなかったりすることによる一時的な増減である。

それこそ500mlのミネラルウォーターを飲む前後で体重は0.5kg変わるし、その前後にトイレに行ったかも影響する。

さらに体内ではpHや塩分濃度を正常値に保とうとするため、塩分を多く摂るとその分、水分を蓄えやすくなり、簡単に1kgくらい水分だけで増えてしまう。

具体的には、pHは7.35〜7.45を正常値とし弱アルカリ性に保とうとし、塩分濃度による体重影響は「体重増加量(Kg=L)×食塩水濃度約 8.5(g/L)÷日数=一日あたりの塩分量(g)」として求められるため、塩分を8.5g余計に摂取するとその分水分が排出されなくなり、体重は1kg増えてしまうことになる

例えば運動や食事制限によって「真の体重」は毎日50gずつ痩せているとしても、一日で水分だけで1000g動いてしまうと、体重計の見かけ上の数値では「真の体重」である50gの増減が影に隠れて見えなくなってしまう

もちろん常に同じ時間帯(自分の場合は乾燥体重として寝起きのトイレ後)に体重を測るとしても、塩分濃度は毎朝必ずリセットされるわけではないので日々の塩分摂取量がたった0.5g増減するだけも50gの「真の体重」増減を打ち消してしまうし、毎朝必ず同じ時間に同じ量のお通じが来るとは限らないのでそのタイミング次第でも動いてしまう。

そのブレを例えるなら、前日に塩分の高い麻婆豆腐を食べただけで一発アウトに(=真の体重増減がわからなく)なる。

よって、日々の体重計の数字に一喜一憂しないことが重要である。

幸い、結石ダイエットではぶっちゃけ体重の数字よりも食事制限の方に注力していたので、ひたすらシュウ酸と酸性食品の摂取量を減らすことに注意していた結果、体重の数字をたいして気にせずにダイエットできたというのも大きい。

これが体重計の数字を唯一の指標としていたら、食事&運動量と連動してくれない体重の数値に嫌気がさして続かなかったかもしれない

2. 食べすぎを防ぐこと


次に至極当然だが、食べすぎないこと。

筋肉的にはカタボリックを防ぐために常時エネルギーが体内で枯渇していない状態にしたい。

そのためには1日5食でもそれ以上でもいいからその分1食あたりの暴食を抑え、非満腹状態だが非飢餓状態を保つこと。

とはいえ、夜の飲み会もあるし、ランチで歓送迎会があって大食いすることもある。

そこまで犠牲にしたら健全な社会生活に支障が出るので、せめて1日内では調整をしておきたい。

例えばあらかじめランチやディナーで過剰摂取することがわかっているならその分朝やそれ以外の間食を抑えたりする。

ちなみに間食含めた5食くらいにしていれば、どこかで出目が出てもそれ以外の4食で調整すればなんとかなるというのがこれまでの感覚である。

3. 食べなすぎを防ぐこと


実際、食べ過ぎよりも気をつけたのがこちら。

ダイエットだと思って張り切ると、それこそスタートダッシュで一気に痩せたりということもあるかもしれないが、極端な食べなすぎはリバウンドを引き起こすし三日坊主で終わる可能性が高い

鉄の意志で小食主義を貫いたとしても今度は体が持たなくなって日々のトレーニングや生活そのものに支障が出てしまう。

自分もちょっと食べなすぎかなと思った日もあったが、それが続くと立ちくらみや貧血気味になるので毎日運動している人間にとっては百害あって一利なしである。

ちなみにプロとなるとそれらの「常識」が通用しない別次元になり、私生活や社交活動に支障をきたすレベルの減量が必要になるようである。

タイラー・ハミルトンの自伝である「シークレット・レース」では、トレーニングライド後に炭酸水を飲んで空腹を誤魔化し睡眠導入剤を飲んで寝てしまうことで無理矢理減量したり、友人との会食で食事するフリをしてナプキンに吐き出したり、トイレに行って吐いたり、飼い犬が近くにいる場合は隠れて食べさせたりといった極限状態まで絞っていることがわかる

Bjarne recommended his special technique: come home from a training ride, chug a big bottle of fizzy water, and take two or three sleeping pills.

When I was eating with friends, I would sometimes take a huge mouthful of food and then fake-sneeze, so I could spit my food into a napkin, excuse myself to go to the bathroom, and flush it. Or, if Tugboat was around, sneak bites to him so my plate would look emptier.


どんなに有名な選手でも引退後に太ってしまうプロアスリートがいるのは、プロの食事制限が我々アマチュアの「食事制限」とはかけ離れており、とてもではないが持続可能ではない壮絶な体作りによって、抑圧しすぎたプロ生活の反動が出てしまった結果だと思われる。



食事量が少なすぎないことに加え、タンパク質は一日最低限でも体重の1.5倍は摂るといった感じで意識するようにしている。

その中で非常に強力で役立ったのが、タンパク質割合の高い高タンパク質食品群であったわけだが、長くなるので別エントリに譲りたいと思う。

4. 摂取カロリーのボラティリティをなくすこと


上の2、3ができていれば自然と実現しているかもしれないが、重要なので独立した項目として挙げたいのが摂取カロリーのボラティリティ(乱高下による変動)。

例えば今日は全然食べず、明日はドカ食いし、明後日は全く食べないといったダイエット生活は長くは続かない。

そもそも飢餓状態と満腹状態を交互に繰り返すのは身体機能に不必要な刺激を与え、ホルモン異常を起こす不安もある

ホメオスタシスの観点からも、急激な摂取や飢餓を避け、できるだけ毎日の総摂取カロリー量を安定させることが必要であると思う。

5. タンパク質を最低限確保すること


上記3でも少し触れたが、筋肉を落とさずに減量するための必須条件であるタンパク質は欠かせない。

タンパク質を摂らずに筋肉をつけようとするのは、穴が空いたバケツで水を汲むようなものである。

事実、タンパク質の摂取量の過多によって筋肉減少量に有意に差が出たという研究結果もある。

さらに年齢が上がるほど筋肉合成効率は落ち、より多くのタンパク質が必要となるので意識して摂る必要がある

In healthy, young adults, a meal containing 20-30 grams of quality protein maximally stimulates protein synthesis. Later in life, a much higher amount of protein is required to achieve the same effect.

In healthy young adults, 20 grams of whey protein was sufficient to maximally stimulate protein synthesis following exercise. However, in older adults, 40 grams was required to maximally stimulate protein synthesis.

Older adults may benefit from more frequent feedings as well. By eating a sufficient level of protein, multiple times each day, they can increase the overall anabolic effect on the body.

Basically, as we age, we need more protein, more often.

What You Should Know About Protein and Muscle Mass

目安としてはタンパク質は体重の2倍、体重が50kgだったらタンパク質100g、60kgだったら120g。

十分に摂取できない日でも最低量として体重の1.5倍を下限としつつ、できるだけ朝、昼、晩に分けて平均的に摂るようにする。

6. 運動を続けること


これは習慣的に自転車に載っているアスリートであればわざわざ書くことでもないが、運動を習慣にすること。

運動によって筋肉のアナボリズムを高めることも証明されているので、筋肉を落とさずに痩せるためには運動は必須である。

レジスタンス運動も骨格筋のタンパク質同化を刺激する重要な因子である.一過性のレジスタンス運動を行うと,運動後 1 時間から 2 時間後にタンパク質合成速度が安静時と比較して有意に増加する.

骨格筋量の調節におけるタンパク質摂取の役割(PDFリンク)

ということでこれらの点に気をつけて、ダイエットの失敗や行き過ぎ(拒食症等)を防ぎ、健康的かつスポーツに適したダイエットを実現していきたい。


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