が、どちらも実は自転車と関係ないところがきっかけで実現したという点で面白い。
クランクについては話が長くなるのであとにするとして、まずは体重について。
忌まわしき尿路結石
すべての始まりは忘れもしない2月20日に再発した結石。
あの週は常にズキズキと鈍痛する痛みに悶絶しながら苦しんだ。
ちなみに当時エントリした通り、結石の発症は16年ぶりの2回目。
このときすでに2017年の6月当時からは2kgほど痩せていたし、何も運動していなかった16年前と比べれば比べ物にならないほど運動しているし太ってもいなかった。
が、それでも再発してしまった。
もうあの地獄の苦しみは二度と味わいたくない。
それに今回は手術不要で尿から排出できたが、出てきた石の大きさを見てみるとギリギリ・・・。
尿から排出できない大きさになると、手術が必要なことから、次はどうなるかわからず、はっきりいってもう後がない・・・。
こうして本格的な食生活改善、ひいては肉体改造に半ば強制的に取り組むことになった。
尿路結石の原因
尿路結石は再発しやすい病気として知られている。
日本人男性の7人に1人、女性の15人に1人が一度は経験するという尿路結石。「痛みの王様(king of pain)」の異名を持つほど、激烈な痛みが特徴だ。しかも、約半数の人が再発を繰り返すという、厄介な病気でもある。
なぜ夏に多い「尿路結石」 予防・再発防止のポイント
そもそも16年前に発症して以来、一度も再発しなかったのでもう結石のことなど忘れて生活していた。
ロードバイクを初めてからは体重も一気に下がり、体脂肪率も減り、少なくとも誰から見られても「太っている」と思われることはないような体型であった。
BMI(ボディマス指数)で言えば22前後。
ちょうど普通体重※の真ん中あたりで、肥満とは程遠い(※世界保健機関のWHO基準では18.50~24.99が「普通体重」とされる)。
指標 | BMI | 165cm | 170cm | 175cm | 180cm |
---|---|---|---|---|---|
痩せすぎ | ~16.00 | ~43.6kg | ~46.2kg | ~49.0kg | ~51.8kg |
痩せ | 16.00~16.99 | 43.6~46.3kg | 46.2~49.1kg | 49.0~52.0kg | 51.8~55.0kg |
痩せぎみ | 17.00~18.49 | 46.3~50.3kg | 49.1~53.4kg | 52.1~56.6kg | 55.1~59.9kg |
普通体重 | 18.50~24.99 | 50.4~68.0kg | 53.5~72.2kg | 56.7~76.5kg | 59.9~81.0kg |
前肥満 | 25.00~29.99 | 68.1~81.6kg | 72.3~86.7kg | 76.6~91.8kg | 81.0~97.2kg |
肥満1度 | 30.00~34.99 | 81.7~95.3kg | 86.7~101.1kg | 91.9~107.2kg | 97.2~113.4kg |
肥満2度 | 35.00~39.99 | 95.3~108.9kg | 101.2~115.6kg | 107.2~122.5kg | 113.4~129.6kg |
肥満3度 | 40.00~ | 108.9kg~ | 115.6kg~ | 122.5kg~ | 129.6kg~ |
それでも再発した以上、もう一度危険因子に向き合って改善策を検討する必要がある。
尿路結石とりわけカルシウム結石の5 年再発率は45%と非常に高い。このことより,尿路結石の成分分析に基づいた再発予防は砕石術以上に重要であると考えられる。
尿路結石は多因子疾患であり,さまざまな要因が重なり合って発症する。しかし,残念ながら尿路結石の成因はまだ完全には解明されてはいない。そのなかで,基礎研究の積み重ねから,尿路結石と動脈硬化の発症には極めて類似点が多く「尿路結石はメタボリックシンドロームの疾患である」という概念が提唱されるようになった。この考え方は,2005 年のTaylor らの20 数万人対象の疫学調査でも立証され,以後,同様の報告が数多くみられるようになった。実際,結石関連物質の尿中排泄量と肥満度の関係をみると,結石形成の促進因子である高カルシウム尿症,高尿酸尿症,高シュウ酸尿症の割合は肥満度と相関すると報告されている。
尿路結石の再発予防の基本が①水分の多量摂取,②肥満の防止,③食生活の改善であることは本ガイドライン第1版でも強調されている。
尿路結石症診療ガイドライン 2013年版
そう、やはり肥満の防止と食生活の改善なのである。
そして食生活の改善が肥満の防止へと結びつく。
もともと結石が出来やすい体質なのかはわからないが、「普通体重」のBMI 22でダメなら、「痩せぎみ」に属する18.5未満までやってやろうじゃないか。
ということで肥満との決別を心に決めたのであった。
シュウ酸(蓚酸)対策
まずは結石の原因となるシュウ酸を摂らないこと。
この点、100グラムあたりのシュウ酸含有量ランキングを見ると、ほうれん草に始まりキャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、レタスと葉っぱ物の野菜が続く。
シュウ酸を多く含む食品として,葉菜類の野菜,タケノコ,紅茶,コーヒー,お茶(とくに玉露・抹茶),バナナ,チョコレート,ココア,ピーナッツ,アーモンドなどがある。
尿路結石症診療ガイドライン 2013年版 再発予防
そう、まず避けるべきは野菜!!
「野菜を食うな!」である。
ここで健康雑誌なら「野菜を食べて腸内改善、健康女子!」みたいな文句が踊るところだが、あいにく自分は健康になりたいわけじゃない!石を作りたくないだけなんだ!!
ちなみにシュウ酸は水溶性なので茹でれば減らすことができる・・・が、もちろん茹でることで野菜に含まれる水溶性のビタミンやミネラルも溶け出していく。
よって野菜の恩恵を受けようと思ったらシュウ酸と一蓮托生となることを忘れてはいけない。
そして次に多いのは茶葉。
緑茶も紅茶もアウト。
これまた健康雑誌なら緑茶の抗酸化成分がうんたらかんたらと語りそうなものだが、やはりここでも健康より防石優先の自分は後者を取る!!
そして豆類もダメなのでコーヒーやチョコレート、ナッツ系もアウト。
スイーツ好きとしてはチョコレートは譲れないが、それでも食べる量を抑えるしかない。
自分としては水分は十分に補給していたつもりだったが、補給はお茶やコーヒーが多かったのでシュウ酸的に言えば逆効果だったのかもしれない。
それにお茶やコーヒーは利尿作用もあるため、お茶とコーヒーで水分補給はそもそも効果が薄いのかもしれない。
お茶もコーヒーもダメなら何を飲んだらいいんだって話しになりそうだが、まあシンプルに水を飲めってことなんだろう(といいつつダイエットコーラも飲むのだが)。
酸性食品対策
そして次の対策は酸性食品。
体の中のpHを酸性に傾けないために、梅干といったアルカリ性食品を摂り、逆に酸性食品を避ける。
まずは芋、というかポテト。
ポテトはシュウ酸も高い上に中酸性食品でありダブルパンチ。
これで一気にポテトを食べる量が減り、フライドポテトはもちろん、マッシュポテトもポテチも食べる量が激減した。
ちなみにポテトだけではなく、白米、玄米、小麦、パン、パスタ、とうもろこしも酸性食品。
つまり炭水化物の主食系は全滅なのである。
炭水化物系がダメだといっても、巷で注目されている低炭水化物ダイエットでは、炭水化物を抑えても肉は食べられますという触れ込みだが、結石ダイエットではその肉類がさらなる酸性食品の塊。
結石の元となる「結晶」を尿内に作りやすい人の特徴!
その大きな1つは実は、肉食中心の食生活をしていること!
肉や卵など「酸性食品」と呼ばれるものは、尿が強い「酸性」に傾き、結晶の原因に!
さらに、内臓脂肪も尿を酸性に傾ける犯人であることも分かってきている。
激痛がっ!結石の恐怖 一生苦しまない新鉄則
ここで酸性食品の動物肉系が一網打尽にされる。
牛肉、豚肉、加工肉系のベーコン、ハム、牛乳、チーズ、ヨーグルトもれっきとした酸性食品。
さらに果糖を多く含むフルーツはほとんどが酸性食品!!
フルーツは甘みと適度な酸味があって口あたりがよく、栄養的にはビタミンCを豊富に含んでいるものが多いので、女性に人気です。
「美肌を作るために毎日、欠かさず食べている」という人もいます。しかし、残念ながらフルーツは果糖を多く含んでいるため、ほとんどが酸性食品です。
ほとんどのフルーツは酸性!(若返る食べ方Vol.40)
これでフルーツも食わなくなった。
いや、何が言いたいのかはわかる。
フルーツはむしろ健康だと。
バナナダイエットやりんごダイエットがあるくらいだ。
が、繰り返しになるが健康より防石のために食事改善をする自分にとっては健康は二の次なのだ。
特にバナナなんで100グラムあたりのシュウ酸が500mgと高く、高シュウ酸食品のトップランキングに入ってくるほどの危険物質。
コンタドールが補給食でよくバナナ食ってたことで有名だが、おそらくコンタドールは石持ちじゃないんだろう。うらやましい。
結石ダイエットがもたらすもの
こうしてみると、シュウ酸と酸性食品に該当するのは、米、パン、パスタ、動物肉、乳製品、野菜、フルーツ、豆、お茶、コーヒー・・・。
食えるものなくなるやん・・・!!!
そう、完全にシュウ酸と酸性食品を避けようとすると、そもそも食べられるものを見つける方が難しいのである。
そしてそれらの食品を排除することなど、現代社会で普通に生活している限り付き合いもあるし不可能だといえる。
さらにシュウ酸と酸性食品というのは物事の一面でしかなく、別の面から見れば健康に資する食品も多い。
- 腸内環境を整えるヨーグルトや納豆
- 食物繊維豊富でビタミンミネラルが摂れる野菜
- 抗酸化物質を含むフルーツやお茶、コーヒー
- エネルギーとなる米、パン、パスタ
- 筋肉の元になるタンパク質豊富な肉や豆
むしろこれらを全く摂らないのは逆に寿命を早めてしまうのではないかと心配になるほど。
論語で「過猶不及」と言われている通り、やりすぎは厳禁なのである。
そこで達した結論が、量を抑えること。
「好きなものを好きなだけ食べる」から「好きなものを痩せるだけ食べる」に変える。
シュウ酸を摂り過ぎない、酸性食品を食べ過ぎない。
結局は中庸こそが重要で、いわゆるOverdose、過剰摂取を避けるべきなのである。
結石ダイエットが成功する秘訣
ここまで読んできて肩透かしを食らった方もいるだろう。
「食べる量を抑えて節制するべきなんて頭ではわかってる。わかっててもできないからダイエットに失敗するんだ」と。
ここで通常のダイエットと結石ダイエットの大きな違いは、結石ダイエットには苦痛と恐怖が付きまとうことだろう。
例えば1ヶ月で2kg痩せようと言われる。
本人の決心と行動力にもよるが、痩せられない人も相当数出てくるだろう。
が、1ヶ月で2kg痩せられなかった場合には5本の指をギロチンで切り落とされるならどうなるだろうか。
おそらくほぼ全員が2kg減量を達成するだろう。
結局は決意と意志の問題なのだが、そこに強制力が付きまとうのか否かは大きな違いとなる。
通常のダイエットの場合、失敗しても直接的な苦痛や恐怖がない。
むしろ好きなものをいっぱい食べることで満腹感と幸福感に包まれるので逆方向(太る方)に圧力が働く。
ところが結石となると話しは違う。
King of Painと呼ばれるあの苦しみをもう一度味わうのかと想像するだけで血の気が引く。
この苦痛と恐怖こそ、結石ダイエットが成功する鍵なのだと思う。
え?リバウンドが怖い?
結石の方がよっぽど怖いよ!!
リバウンドによる体重増加が結石に結びつくとなるとリバウンドすらできなくなる。
よって結石ダイエットではリバウンドとも無縁だ。
ということで、2月下旬の尿路結石を境に3月から一気に食習慣を改善して体重を落とし、6月初のヒルクライムレースまでの3ヶ月で8kg減に至った(※冒頭で書いた通り、2月下旬時点で昨年6月からは既に2kg減っていたので、昨年比ではトータル10kg減)。
うーむ、これぞ災い転じて福と成すというか、おそるべし結石ダイエット。
????
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