家庭を預かる身として、仕事を持つ身として、ロードレースを今のペースで続けることに無理が生じてきているのかもしれない。
■事故リスク
日本のレースはどうかしらないが(恐らくこちらよりも行儀が良いとは思うが)、少なくともニューヨーク市のレースではクラッシュが毎回のように発生する。「紳士のスポーツ」でありながら、放送禁止用語の罵声が飛び交うこともある。
今回の事故で最初に診てもらった日本人医師曰く、知り合いで自転車事故によって脊髄損傷の後遺症が残り、1年以上経った今でもリハビリ生活をしている人がいるとのこと。
今年最初のレースでは自分のフィールドで5回もクラッシュが発生、そのうちの一つに巻き込まれて落車し、他のフィールドでは救急車が2台出動して3人が病院に運ばれた。次の週の第3戦では自分が救急車のお世話になり、復帰戦の第4戦ではクラッシュに巻き込まれて再度負傷、そして第6戦ではまた誰かが救急車で搬送されている。
ほぼ毎回クラッシュが起こる中、「たまたま自分は巻き込まれなかった」、「運良く自分は怪我をしなかった」。
でも必ず誰かがクラッシュに巻き込まれて怪我をしている。
前回、前々回は、その「誰か」に自分があたってしまっただけかもしれない。そして次は誰が犠牲者になるかわからない…。
これではスポーツの試合というよりロシアンルーレット大会である。
■ホビーとしての自転車との付き合い方
中にはクラッシュするかもしれないというスリル、ゾクゾク感を楽しんでいるような人もいるが、家族や仕事に迷惑をかける可能性があることをわかってて確信犯的にレースをし続けるのは、もはや「勇敢な行い」ではなく、「無責任な行動」でしかない。
これが学生や独身貴族であれば後先考えずに走れるかもしれない。まだ若くて伸び代がある人は、家族や仕事、健康を犠牲にしてでもツールへと続く道に人生を賭ける価値があるかもしれない。
実際にワウテル・ワイラントのようにプロ選手の遥かなる高みにまで行きながら道半ばにして倒れた選手もいるが、自転車に生き、自転車に死ぬことができてある意味本望だったかもしれない。
が、適齢期を過ぎて、「趣味」として自転車に乗っているホビーレーサーにとっては、家族、仕事と趣味とを天秤にかける必要がでてくる。
扶養家族がいて、仕事もそれなりのポジションにいれば、責任ある大人としての行動をしなければならない。
自分は既に大きい事故を3回起こしており、ロードレースに挑戦できるクレジットを使い果たしてしまったのかもしれない。
「なんで自分から危険なことをしに行くの?」と泣き顔で訴える妻の顔が忘れられない。
心配する家族を無視してレースに没頭する姿は、家族を省みずに酒や博打にのめり込む夫となんら変わりないのではないだろうか。
■ライドライフバランス
ここで想起させるのは自分の周りにいる自転車仲間たちである。
仕事で自分などよりも遥かに重責なポジションにいて、出張続きで練習時間もろくに取れない忙しい身でありながら、ロングライドに、タイムトライアルに、ヒルクライムに、レースにも少し手を出したりと、取れるリスクと取れないリスクを見極めて自転車ライフを実現されている方。
何度もレースで優勝するほどの脚を持ちながら、スプリント中のクラッシュで鎖骨を折った経験を経て、まだ小さい子供がいたり、職人として怪我ができない仕事柄、レースから距離を置いてタイムトライアルやヒルクライムで活躍されている方。
どの方も見事なまでのWork Life Balanceならぬ、Ride Life Balanceを実践されている。
ということで、自分の自転車以外の状況を考慮に入れると、ロードバイク活動の中心をロードレースから別のものに移さざるを得ないと考えている。
ちなみにこれまでも、考察を繰り返しながら自転車趣味人としての方向性を見直してきた。
単なる週末サイクリストからロングライドをするようになり、ロングアイランド480kmの長距離ライドの挙げ句ブルベにまで手を出して、トレーニング期間を経てロードレースに出るようになった。
そしてこれまで我武者羅にレース用のトレーニングを続けてきたわけであるが、今一度、今回の経緯を受けて次の主戦場を考察したいと思う。
確かにこうもクラッシュに巻き込まれると考えますよね。
返信削除日本でヒルクライムイベントが盛んなのは、安全面も考慮されているのだと感じています。
クリテリウムは面白いですが怖さもありますのでね。
自分も今一度考えてみたいと思います。
安全面ではこちらは自己責任の名の下にそこまで計られていない部分もあると思います。
返信削除以前には海岸沿いの風が強いクリテで、立ててあったゴールフラッグのポールが倒れて巻き込まれた人もいましたし。少なくとも運営が原因でそういう状況になるのは理不尽さ倍増だと思います。
ロードレースにも出たいですけど、さすがに2回も鎖骨を折っていると「またやっちゃった」では済まされないですからね。なので、今はロードレースをする時では無い、と自分に言い聞かせています。またチャンスは巡って来るかもしれませんしね。それまではお預けです。
返信削除小生も30代なりで、レースに出るたび(相対+絶対)パフォーマンスが向上していたら、次のRaceが無差別に待ち遠しくなっていたでしょうね。
返信削除今の小生は、自転車に関して相対ではなく絶対パフォーマンス向上、追求が面白いです。それもなくてグルメライドなり、ロングライドを楽しむ手もありますが、そうなると練習はしなくなるでしょうね。
張り合いも必要なので、絶対パフォーマンス向上目指してがんばります。その観点からはTTはなかなかよいですね。TT BikeによるTTだけじゃなくて、GFNYもTTだし、EddyによるものもHCも。そしてNY、NJはその手のイベントがたくさんあって十分に楽しめそうです。
ただ、小生はもう少し皆さんのレベルに近づけるようにがんばらないと。。。。日本滞在1週間で3Kg増。トホホ。
確かに自転車でお金を稼いでいる訳ではないし、「幾つかある趣味の1つ」という事なのですから、家族がいて働いている身ならば無責任な行動は出来ませんよね。
返信削除主さんがどのような選択をされても「それが正解」だと思いますよ(^-^)
真面目なエントリなのに、漫画『エリア88』を思い出している自分はまったくもってダメ人間です…w
返信削除でも本当に、ロードレースは自分の人生をなげうってしまう危険性を秘めた、バクチのようなものですよね。だからこそ熱くもなるのでしょうが…
初心者ロードレーサー様がこれからの戦いの場所を変えるとしたら、それはドロップではなく卒業なんだと思います。
これまで同様に情熱をもって、新しいことにチャレンジしたとき。きっとそこにも素晴らしい出会いがあることでしょう!
やはり怪我の前科?があると無差別にレースに出続けるのは難しいですよね。私もクラッシュで何度も怪我をしてるので、心配する妻に対して「大丈夫だよっ」と答える言葉のなんと説得力のないことかっ!まるでファミコンをし続ける子どもが親から「早く勉強しなさい」と言われて、「今やろうと思ってたのに」と言い訳するかのごとくです。
返信削除これまでNY近郊のレースがほとんどでしたが、みなさんに出会ってから行動範囲も広がったので、また様々な(良い意味での)外的要因でレースに出る機会も出てくるのかと思っています。
確かに普段の練習をするかしないかが張り合いバランスの分かれ目かもしれませんね。私はまさに2009年が張り合いが少なかった頃で週末のサイクリングにときどき参加したファンライドイベントが中心でした。一方でセントラルパークとか、HHDの奥の坂道とか、タイムを計るようになると絶対的な過去の自分との指標ができるので気合が入ります。
返信削除TTも年単位で同じイベントでの成長指標になるのが楽しそうです。GFNYも、お祭りあり、ロングライドあり、TTありで(坂の連続はきつかったですが)充実してたと思います。まあヒルクライムTTやEddyではない純粋な平地TTの場合は、これまでなんだかんだ言って伸ばしてきたTTバイクの購入を検討しないといけなそうですが…。
それにしても日本は誘惑多すぎですね。ラーメン、トンカツ、寿司、刺身、天麩羅、牛丼、鰻丼、しゃぶしゃぶ、スキヤキ、フジヤマ、ゲイシャ…。書いてるだけでももう負けてしまいそうですっ。
ありがとうございます。人生は長くいろいろ選択肢もありますが、そのときそのときで最善と思える後悔しない選択をしていければと思います。
返信削除まあロードレースは傭兵の戦争の世界に比べれば安全この上ないのでしょうねww
返信削除なにはともあれ完全に辞めることはないと思うので、クラッシュリスクがヘッジできる限りはまたちょくちょく出るとは思いますが。さっそく日曜日のクリテリウムに申し込もうと思ったらもう登録が締め切られていて凹んでます。