そう、親知らずを抜く日なのである。
歯医者に着いて受付をすると、各種同意書にサインをするよう求められる。
訴訟大国のアメリカでは後から訴えられないように病院側もこういうところは徹底しているようである。
今回抜く歯は上の2本、番号で言うと1番と16番ということだった。
事前にネットで調べてみたところ、親知らずの抜きやすさは上と下とでは天国と地獄らしい。
上の親知らずと下の親知らずでは、抜いたときの痛みは違うものですか?
上と下・・・どっちの親知らずが、簡単?!
親知らず(上)の楽勝さは異常
自分の場合、詰め物が取れて虫歯が進行した親知らずは上側の2本。
下の2本は完璧な状態ではないとはいえ痛みもなにもないので「健康な歯まで抜くのは・・・」という思いと上の記事の内容もあったので今回はやめておこうと思った。
が、実際に処刑台・・・じゃなくて処置台にもたれかかっていたら医師が来てこう言ってのけた
「4本抜いちゃおうぜ」
え”~!
ロシア系の30台後半と思われる彼が言うには、「噛み合わせが悪くなるから抜くなら上下セットで抜く」「レントゲンを見たところ上下とも抜いた方がいい」「上がなくなって下の歯が出てくると他の問題を引き起こす」「1度に4本抜けば、準備や処置、回復時間も1度で済むので効率的だし負担も少ない」「他の人でも俺は抜くときはいつも4本一気に抜いてるから大丈夫だ」ということ。
ネットでは片方だけ抜いている人もいるようだし、同僚でももう何年も上だけない状態で過ごしてきて(自覚上は)何の問題も起こってない人もいる。
とはいえ、彼の言うことはもっともだし、歯は上下揃ってこそ「噛む」という役割を果たすのだから下の歯だけあっても何の役にも立たないというのももっともだし、効率的というのにも同意できる。
となるとネックになってるのは「下の親知らずを抜くのは地獄」という痛みの面だけ。
一時の苦しみで済むならということで受け入れることにする。
上の親知らずは簡単と聞いていたので軽い気持ちで来たが、一気に緊張してくる。
処刑台に横になって待っていると同僚の話しを思い出す・・・
右下の親知らずを1本だけ抜いたそうだが・・・
曰く、3時間以上かかって骨を粉砕して取り出す。
曰く、麻酔も段々効かなくなって途中で何度も打ち直す。
1本でそうなのだから、一気に4本抜く自分の場合はどうなるのだろう・・・
(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
待っていると医師が来て麻酔を打ち始める。
最初は塗り麻酔で皮膚表面の感覚を弱め、次に注射麻酔を左右に4本ずつ、計8本打ち込む。
そこから麻酔が効き始めるまで10分ほど放置。
・・・。
医師再登場。
まずは左下の歯から取り掛かる。
『って簡単な上の歯からじゃないのか・・・。』
各種器具を使いながら歯の様子を確かめつつ、ペンチのようなものでぐいっと力を入れてもぎ取るようにグリグリ歯を左右に動かす。
麻酔が効いているので痛みはないが、ミシッ・・・メキメキッ・・・という骨伝導音が頭に響く・・・。
ボキンーーーーッと抜ける。
あれ、これで抜けたのか?と思っていると矢継ぎ早に左上の歯に。
ところが左上の歯が曲者で、何度も何度もいろんな器具でガリガリメキメキとトライしている。
おまけにドリルまで持って来て、キュイィィィィーーーーンと削られたりしながら、歯根が1本ずつズルッ、ズルッと抜かれる。
そしてなんか糸で縫っている。
これが話しに聞いていた歯茎を縫うやつかーと思いながら2、3本縫われる。
次に右に移って右上に。
今度も手こずってるような気がしたが、麻酔が効きながらも骨伝導でどのくらいミシミシいってるかはわかる。
なので『もう少しで取れそうだよーーー』(大口開けているので言葉には出ない)と思っていると、手を止めて右下の歯に処置を移行し出す。
『いいところまでいったのにー!諦めないで!』と思いながらもなすがままに右下の処置が始まる。
右下も左下同様、ペンチのようなものでグリグリーー!!!っと左右に動かしながら捻り引っこ抜く。
左下のようにミシッ、メキメキッという音はしなかったが、段々とグラグラしていくのがわかり、ズコッと抜けたのがわかる。
『よしっ、あとは後回しにした右上だけだーー!頑張って!』
と思っていると、照明が消え仰向けになっていたシートの角度が元に戻される。
「痛みはあったかい?」と聞かれたので、右手を左右に振って「ないない」と応える。
と、実は右上は既に抜かれていて4本とも抜歯が終わっていたのであった。
綿を左右の奥に入れられて噛むようにし、ポケットサイズの氷嚢(いわゆるアイスノン)をもらって左右を顔の上から交互に押さえるように言われる。
そして助手の人が「目眩とかしないようだったらこれで帰っていいよ」と言うので、「もう終わったのか・・・」と思いながら受付へ。
痛み止めの処方箋をもらって歯医者をあとにする。
親知らずの抜歯は1本で数時間かかったという事前情報があったのに、麻酔を打ち始めてから約40分。麻酔が効くまで待っていた時間があるので実際の処置時間は4本で30分もかからなかった。
アメリカの医者は日本よりも専門化&分業化していて、抜歯専門の医師はひたすら抜歯だけやってるからすごく巧いと聞いたことがあるがどうやら良い医師にあたったらしい。
帰りにスーパー兼薬局によって処方箋の痛み止めをもらう。こちらは保険が効いて自腹は1ドルと3セントのみ。
さらに固形物は食べられなくなるので飲むヨーグルト(いいえ、ケフィアです)を買い込んでおく。
そして今日から2、3日は激しい運動は禁止。風邪と相まってペダルを回せない日々が続く。
さらに数日間は腫れと痛みで眠れないといったことも聞くので今から心配である。
痛そうなエントリでした。
返信削除幸いなことに私は親知らずで困ったことはまだないです。
歯って大事ですから、くれぐれもご自愛ください。
私はまだローラー台で悩んでおります(笑。
それは幸いですねー。親知らずは抜いてしまえば開放感すらありますが、それでも奥歯で噛んで食べるという食の喜びが失われてしまったんじゃないかと少し不安になってます。味覚は舌の味蕾で感じるものだと理屈ではわかっていても、噛んでるときの幸せホルモンが少なくなるような気がして・・・。
返信削除うわぁぁ、読んでるだけで痛くなります(>_<)
返信削除4本いっぺんに抜いた人の話を聞いたことがありますが、抜いてる時より抜いた後が大変だったとの事。
自分も親知らずの辺りが虫歯っぽいので何とかしないとなぁとは思ってるんですが、中々踏ん切りが付かないんですよね・・・。
1本に1時間とか、どんだけスキルのない医者がやったんだろうと疑問に思わざるおえないw
返信削除実は今のところ、これまで痛みも腫れも起こってません。以前痛みはないのに出血は続いてますが、それも大分少なくなってきました。ただ術後二日~三日に腫れが酷くなるというのもあったのでまだ不安ではありますが・・・。抜いてしまうと気分は晴れますが、それでも抜かずに済むなら抜かなくていいと思います。けっこう値も張りますし・・・。あわやパイオニアのパワーメーターが買えちゃうんじゃないかってくらいですし。
返信削除けっこう歯の生え方次第で時間は左右されるみたいですね。横に出てたり歯茎に埋もれてたりすると大変なようです。
返信削除幸い私の歯はどれも真っ直ぐ生えてちゃんと顔を出してたのですんなりいきましたが。