相次ぐ訃報から早死にリスクを考える

2024年に入って、年初から(平均寿命に比べて)若くして亡くなるケースをよく見かけるようになりました。訃報が世界を駆け巡った鳥山明氏は68歳で急性硬膜下血腫で亡くなりましたし、声優のTARAKOさんも63歳という若さで、個人投資家界隈で有名な経済評論家の山崎元さんは今年の元旦に65歳でお亡くなりになられました。

65歳からの年金受給

2023年現在、日本の年金制度では65歳から年金が受給でき、75歳まで繰り下げることで年金給付額を増加させることができます。ちなみにアメリカでは1960年以降の生まれは67歳が満額受給年齢で、62歳~70歳の範囲で繰り上げ、繰り下げ受給ができます。

しかし70歳前に死んでしまうと、せっかく積み立てた年金を受け取ることができないか、年金保険料を払った分に比べてほとんど貰えずにこの世を去ることになります。平たく言えば払い損です

ニュース等では年金制度の問題も相まって新NISAといった投資の勧めや老後の貯蓄ばかりが取り上げられますが、早死にしてしまった場合の「老後の備えすぎリスク」も考えた方がいいのかもしれません。

昔の年金制度は想定外に長生きしてしまったリスクを補填する保険だった

元々、国民年金ができる前、厚生年金制度が開始された昭和17年(1942年)の労働者年金保険法では、受給開始年齢は55歳からでした。当時の平均寿命は50歳前後だった※ため、今のように大半の人が貰える長年働いた後のご褒美ではなく、平均寿命を超えて長生きしてしまった少数派のリスクを保護する保険という側面が強かったのです。つまり、払っていても貰えない可能性の方が高い「掛け捨てガン保険」に近いものだったことがわかります。

※戦後直後の1947年で男性の平均寿命は50才、戦前はもっと低く、明治時代は40代前半でした。以下のグラフの立命館大学のサイトによれば、当時高かった新生児の死亡率を統計から除外したとしても明治時代の平均寿命は50歳あたりになるとのこと。ちなみに平均寿命の指標は現在の死亡者の平均年齢ではなく現在0歳の人が何歳まで生きられるかという平均余命の指標のため、1947年の平均寿命は戦時中の戦死者数に影響されていないはずです。

2019年頃に金融庁が老後に必要となる生活費が2000万円不足する可能性を指摘して話題になりました。が、それを心配して必死こいて貯めても老後の前に死んでしまう場合を考えると、特に核家族が進行して未婚率も多い今後の日本で、相続者もいなくて国にもっていかれなんてしたら悔やんでも悔やみきれないと思います。

こちらでは日本の厚生年金に該当する401Kの貯蓄もありますが、ペナルティなしで引き出せるようになるのは59.5歳からです。

自分が65歳前に死ぬか健康寿命を迎えて自由に動けなくなる可能性も十分あると思うと、貯めるよりも今日、明日どう使うかを考え始めた方が幸せな人生を送れるんじゃないかと思わされます。


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