最近見た映画はどちらも原作漫画からの実写化でした。
セクシー田中さん事件、古くは「いいひと。」事件といい、実写化の難しさが取り上げられる中、どちらも現代社会の闇に生きる主人公で銃を使う、かつギャグとシリアスが混ざっているという点で似ているのですが、実写化という点ではずいぶん違っていました。
ザ・ファブル
まずはファブルから。続編も見たので2本見た上での感想になります。
映画としてはまとまっているのですが、原作を知っていると「あれ」って思いました。
というのも、プロの組織の人間からも「殺しの天才」と言わしめる主人公で、対立する同じくプロの殺し屋と相対するという展開なのですが、映画ではなぜか苦戦しながら大乱闘。原作ではそんなシーンないのに、無印でも続編でも大乱闘シーンが必須のように入っています。
昼間のマンションで一般人が逃げ惑う中、名もなきもモブキャラに柔道技で絞められつつ、工事現場の足場を崩壊させて大乱闘スマッシュブラザーズ。
「あれ、これってファブルですよね?」
大人数相手のアクションですが、追ってきた敵を相手にする場合、ファブルはどちらかといえばランボーⅠ(原題 First Blood)のアンプッシュで一人ずつ消していくやり方の方が近いと思います。
と思って感想サイトを見てみると同じようなコメントをしている人がけっこういたので自分だけではなかったんだなと。
ちなみに原作(ザ・ファブル The second contact)でも大人数を相手にするシーンがありますが、それでも一般人を締め出してクローズドサークルと化した夜の公園という設定なので、真っ昼間のマンションで足場崩壊は違うかと…。尺稼ぎにしても、もうこれは殺し屋じゃなくてジャッキーチェンでしょと思わせちゃうような大乱闘シーンは悪手だったと思います。
とはいえ映画自体を否定しているわけではなく、パラレルワールド版のファブルというか原作とは違うアクション映画として見る分にはいいんではないでしょうか。
シティーハンター
一方でシティーハンター。
ストーリー自体はまあよくある展開で、いわゆるお姫様役のヒロイン(真のヒロインは香なんでしょうが)が誘拐されて助けにいくという流れ。
が、冴羽獠役の鈴木亮平氏も語っている通り、緩急のテンポというかメリハリがすごいです。
それに回想で海坊主がチラっといたり、そのまま実写化したら違和感バリバリの巨大ハンマーも、コスプレ道具という形で登場させて原作とうまく融合していたりと、さりげないけど不自然じゃない演出が上手いというか巧だなと感心させられました。
ラストでエンドクレジットの前から Get Wild が流れ出すなんてアニメ版を見たことがある人からもリスペクトを感じずにはいられないと思います。
そして特筆すべきは前半で出てくるもっこりダンス。
原作そのままじゃない脚本で批判されることもある実写化ですが、原作にないシーンでも原作の世界観と平仄が取れていればむしろプラスに働くことができるという証左になったと思います。
こんなシーン原作にないのにまったく違和感を感じさせない弾けっぷりがすごく、むしろこのシーンを見るためだけに見てもいいと言っても過言ではないほど。
あれ、完成度が高くすぎるせいかなぜか高評価の方が見なくていい結論になってしまいました。
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