まだ暗い早朝、準備をしてホテルの外へ出る。
まずは立体駐車場まで歩いてそこでトランクからロードバイクをセットアップ、ライドへ出るといういつもの手順。
ところが立体駐車場へ歩いていく途中で、向かいから酒瓶を片手に持った酔っ払いっぽい男性が歩いてくる。
「酔っ払いかぁ、絡まれるとイヤだなぁ」などと思いながら、だんだん近づいていくと、自分の10メートルほど前で立ち止まり、左を振り向きざま手に持っていたビール瓶を思いっきりガラス扉に叩きつける!!
ガシャァァァァーーン!!!
2メートルはありそうなでっかいガラス扉が砕け散る音が、まだ暗いアントウェルペンの街に響き渡る。
その男はガラスを割るや否や踵を返してもと来た道へ歩いていく。
( ゜д゜)ポカーン
目の前で起こった予想外の出来事に一瞬( ゜д゜)ポカーンとしてしまう。というかもう( ゜д゜)ポカーン以外に表現のしようがない…。
ホテルから立体駐車場まで、たった一分の徒歩の間にそんなことが起こるなんて、どこまでならず者の町なんだここは…。
と、( ゜д゜)ポカーンと((((;゜Д゜)))ガクガクブルブル が一瞬のうちにやってきたが、ここでいきなり逃げ出したりして、通報するつもりなのかと思われてその男に追われたり襲われたりしたらまずい。ということで、こちらも何事もなかったかのように平静を装って引き続き歩く。
もちろんブログをやってるものとして写真を撮りたかったのだが、これまたその男に襲われる結果になりかねないので横目で無残に飛び散った大量のガラス片を見つつ通り過ぎる。
ちなみにライドから帰ってきてから撮ったのがこちら。既にガラス片は掃除されているが、ガラス扉の片方がなくなっているのがお分かりいただけると思う。
■アントウェルペン
その後無事に立体駐車場へ到着。
パーキングチケット兼カードキーを使って中に入ってロードバイクをトランクから出し、エレベーターで外へ。
気を取り直して出発。
まずはアントウェルペンの中央駅から西に伸びる道路を西へ進む。
人通りの少ない中を進む。
昨日訪れたノートルダム大聖堂に、
市庁舎、
ギルドハウス、
そしてスヘルデ川沿いのヘット・ステーンまで出る。
砦の正面に移動。
川辺の高台へ。西を見上げると月が出ている。
東を見るとアントウェルペンの街に朝焼けが訪れている。
■ホーボ-ケン
しばらく高台を走って、
そのまま川沿いを南へ。
ここまでは昨日徒歩で来た範囲と同じだが、今日はここから大きく足を伸ばすことになる。
そう、フランダースの犬の旅である。
ご存知の方もいると思うが、フランダースの犬の舞台はアントウェルペン(Antwerpen)とその南西にある村、ホーボーケン(Hoboken)なのである。
ちなみにニューヨークのハドソン川向かいにあるニュージャージーにもホーボーケン(Hoboken)という同名の地域があるが、これは偶然の一致ではなく、ニューヨーク周辺が元々オランダの植民地であったことに由来する。(ちなみにベルギー独立戦争前は、フランダース地方もオランダの前身であるネーデルラント連合王国の領土であった)
オランダ語由来のニューヨークの地名は多く、ホーボーケンだけでなく、ブルックリン、ハーレム、ブロンクス、フラッシング、スタテンアイランド、コニーアイランドといった地名もオランダ語に由来している。
ということで、スヘルデ川沿いに南下(川から見たら川上だが)してホーボーケンへ向かう。
フランダースの犬の旅である。
ちょうどサイクリングロードもホーボーケンまで延びている。
頭の中に広がるのは、ネロが馬車ならぬ犬車(牽いているのはパトラッシュ)で歩くのどかな田舎の風景である…。
が…。
せ、石油プラント…?!
川沿いの長閑な道はいずこ…、今や近代化した工業地帯である。
気を取り直して前進。
ついにホーボーケン村へ到着。
フランダースの犬の中では、牧場と草原が広がる自然に囲まれた村である…。
サ、サイクルショップ…だと…?
ふぇ、FELTの高級ロードバイク…だと…?
ぶ、分譲マンションのご案内…だと…?
教会も鉄の足場が組まれて改装中。
目の前にある巨大な工場の重機を見ながら、近代化されてしまった村というより町にただただ佇むしかなかった。
だが、最後の希望はホーボーケンにあるというネロとパトラッシュの像である。
が、メイン通りのKapelstraatを注意深く走るがそれらしきものは見当たらない。
肝心のGarmin Edge 705も地図データは入れたはずなのにうまく表示されない。
付近の公園までぐるぐる回る。
観光案内所らしき場所も閉まっている。
ところがその観光案内所らしき場所に気になるものが…。
何かの銅像が根元から折られた跡…
ま、まさか…。これが…。( ̄□ ̄;)
そこで今朝のならず者の一件が浮かび上がってくる。そう、ここはアントウェルペンの近郊、やんちゃな不良少年が遊び半分で銅像を破壊したりしてもおかしくない地域…。
嗚呼、我が心のホーボーケン村は死んだ。(と、そのときは思った)
��※ちなみに後ほど調べてわかったのだが、あと百メートルほど離れたところにちゃんと像は残っているらしい。ミランダ城と同じく、今回の旅で後悔したことである)
そんなところで時間切れ。
一路アントウェルペンへ戻る。
雨が降ったら濡れまくりになりそうな路面電車の駅の屋根。
アントウェルペンへと近づいてくる。
交通量も多くなっていく。
街中の路面電車の道を通る。
ケルンやヘントで体験済みだが、やはりこのロードバイク殺しの路面電車の溝はこわい。
ホテルへ一直線。
次回ご紹介したいと思うが、シェアサイクルが導入されているだけあって、街中でも自転車道の整備が進んでいる。
もちろん自転車用信号機もあり。
ということでホテル近くまで到着。
今日はそのまま首都のブリュッセルへ向かって明日の早朝は空港へ。もうロードバイクに乗る機会はないので輪行袋に詰める。
長かったベルギーとドイツとルクセンブルクのライド、ご苦労様でした。
スゴイ酔っ払いも居たもんですね。
返信削除実際そんな所に遭遇したらどうしたらイイのか分からなくなって「( ゜д゜)ポカーン」となりますな。
さすが外国、ぱねぇっす(笑)
おお、フランダースの犬の話題が。
随分近代化されていますねー。当たり前のことかもしれませんが、何だか寂しい気持ちです。
しかしシンプソンズとは(^_^;)
まさにたった数十メートルの徒歩の間にそんな場面に出くわしたことに度肝を抜かれました…。
返信削除フランダースの犬はやはり昔の話しということもあり、過去と現在のギャップが大きかったです。なんというか今の若者にとってはネロよりシンプソンズということでしょうか(笑)