■動機(言い訳とも言う)
購入の理由は、これまでヒルクライム専用のホイールを持っていなかったためである。
それもそのはず、ニューヨーク市は基本的に山というものがなく、丘はそれなりに多い(マンハッタンの語源は「丘の多い島」)のだが、レースコースは基本的に平地中心のスプリント勝負になっている。
今年のグランフォンドニューヨークはReynolds SDV66Tで走ったが、66mmのリムハイトはむしろエアロ効果志向であり、1,390gと重くはないものの、それでもオールラウンド向きといえ、ヒルクライム専用にはほど遠い。
ところがUCI World Cycling Tourの最終戦、ベルギーではリエージュ~バストーニュ~リエージュやツール・ド・フランスのコースにもなった峠をいくつも上ることになる。次のグランフォンドニューヨークといったクライミングイベントや、将来的に日本のヒルクライムレースにも出てみたいことを考えると、ベルギー参加前の今が買い時であると思ったわけである。
■チューブラーホイールのデメリット
昨年にReynolds SDV66T、今年の春にBontrager Aeolus 9.0を買ったのだが、どちらもチューブラーホイール。
過去に比較してみて、それなりにReynolds SDV66Tの優位性が認められたものの、結局現在のメインは、その利便性の高さから、Aeolus 5.0のクリンチャーである。
基本的にチューブラーホイールの走りの信頼性は高く、リム打ちパンクも構造上起こらないので安全性も高いかもしれないが、日常的な使用にあたっては効率的でない。
というのも、これはチューブラーホイールというより、チューブラーという構造とチューブラータイヤの特徴からくるものだが、パンクしたらタイヤ毎交換になるためである。
自分の場合、SDV66Tに装着したVittoriaのCorsa EVO CX-IIは、走行距離が1,000kmにすら達しないうちにパンクしてしまい、ほとんど磨り減ってないトレッド面が残ったままのタイヤを破棄する羽目になってしまった。トレッドが磨り減って見えなくなり、タイヤ面が台形になるまで使い潰せたクリンチャータイヤ(Bontrager Race X Lite)とは大違いである。以前は裁縫セットを持ち歩いてチューブラーのパンク修理をすることもあったようだが、現在出回っているチューブラータイヤは基本的に使い捨て用途となっているので、運悪く買ってすぐにパンクしたら、投下資本をまったく回収できずにゴミ箱行きとなってしまう。
もちろん経済的な面でその費用対効果の悪さは響く。クリンチャーであれば、チューブをパッチ修理すれば100円かからずにパンクが直せるし、チューブごと新品に交換したとしても500円~1,000円以内に収まる。一方でチューブラーの場合、それなりのレース用タイヤであれば、5,000円~1万円はする。10回パンクしたとすれば、クリンチャーは1,000円~1万円、チューブラーは5万円~10万円である。その差額でプロテインなり買ってエンジン強化に充てた方がよっぽど速くなるかもしれない。
通常のライドでも、タイヤパッチを持ち歩けば済むクリンチャーと違い、チューブラーではタイヤごと持ち歩かないといけない。もちろんリムテープなり、リムセメントも必要になる。それだけで200グラムほど重くなり、チューブラーホイールの特徴であるせっかくの軽さを相殺してしまう(といっても、回転体の重さと、単なる上物の重さは全く別物だが…)。まあサポートカーがついて、パンクしたらホイールごと交換するプロロードレースでは関係ないが…。
ちなみにパンクする確率なんて走れば走るほど高くなるのだから※、日常的に乗れば乗るほどクリンチャーの優位性は高くなっていく。
��※そもそも全くそのタイヤで走らなければ、パンクする確率はゼロである)
ということで、自分もクリンチャーホイールを日常練習で使っており、決戦用として一応チューブラーホイールを用意しているわけだが、毎週あるレースで履き替えるのも面倒であるし、むしろレースではそれ以外の部分※で勝敗が左右されることの方が多いので、わざわざホイールを交換して臨んだりもせず、結局レースでもクリンチャーホイールで走ってしまっている。
��※実際のところ、ホイールの違いよりもポジションニングだったり、ドラフティングだったり、地脚(エンジン)力だったりの方がレースでは重要である。ITT(個人タイムトライアル)ならともかく、ロードレースではホイールのエアロ効果もドラフティングの強大なエアロ効果の前に霞んでしまう。)
となると、いつ「決戦用」のチューブラーホイールを使うのかであるが、そういえばUCIアマチュアワールドチャンピオンシップのベルギーがあるじゃないかと思うわけである。
ベルギーの世界大会であれば、名目共に決戦用ホイールを使う場としては最適である。
が、しかし。
ベルギーへ輪行して走るにあたり、やはり荷物やメンテナンス性のことを考えると、クリンチャーのメリットが大きい部分もある。
もちろんいきなり本番ではなく、レース前に試走をするつもりであるが、石畳や路面環境が悪いクラシックレースの道路でいつパンクが起きるかわからない。かといって何本もチューブラータイヤを持って行く気もない。
それこそ、代替移動手段(バスや地下鉄、タクシー)に詳しく、土地勘もあるニューヨークと違い、ベルギーの山の中で立ち往生してしまっては大変である。
一方で、やはりチューブラーの軽さは魅力である。特に峠が続くリエージュ~バストーニュ~リエージュのコースであるならなおさらである。
チューブラーかクリンチャーかでかなり悩んでいるがとりあえずいろいろ検討してみたいと思う。
少なくとも、山岳専用のホイールを決勝戦の前に手に入れておきたいものである。
山岳専用のホイールはやはり手に入れておきたいですよねー。
返信削除ZIPP202や303とか、 Reynolds Thirty Twoとかもイイと聞きます。
自分はライトウェイトはさすがに手が出ませんので最初から除外しておりますw
先週自分が参加した鳥海ヒルクライムレースは、予想外の好結果でした!
やはり体重を減らして真面目にトレーニングすると違いますね(*´∀`*)
山岳決戦用ホイール。。
返信削除自分も欲しいです。カンパのハイペロンかライトウェイトのヴァントゥー…。
ハイクラスとなると自然とチューブラーになるんですよね。
クリンチャーもありますが、ホイールの値段がチューブラーより高く重量も重い。
となると、クリンチャーの経済性も必ずしも高いとは言えないと思います。
でもリエージュ~は純粋な山岳コースとも言えないと思いますし、平地や下りもありますよね?
自分だったら50㎜のディープホイールを選択します。
カンパのボーラとか、フルクラムのレーシングスピードですね。
あトレックなので、アイオロスの50ミリのタイプになるかな。。
初めまして、ブログを拝読させていただきまして、かなり勉強熱心で
返信削除感銘を受けました。私は、ロードバイク初心者の域を越えようとしている
ものです。現在は月約800kmぐらい走っております。
そこで、是非ともお返事頂きたいことがあり、質問させていただきます。
以前の記事でプロテインを飲んでらっしゃることが記載があったのですが、
それは、ホエイプロテインですか?私は、日本のメーカーのソイプロテイン
を飲んでおり、いまいち効果が実感出来ておりません。私は、ヒルクライマー
を目指しているので、筋肉モリモリを目指しているわけではありません。
しかし、急こう配(10%以上)の坂などで、アタックが出来ないというより、
時速が10~12km程度まで落ちてしまいます。それを考慮するとやはりプロテイン
をホエイに変えた方が良いのでしょうか?
とはいえ、ソイは体の回復には効果出ていると実感はしております。
ただし、筋力増量については疑問です。
長くなり恐縮ですが、忌憚ないご意見いただきたいです。
ライカさん、
返信削除ヒルクライムレースでの好結果、おめでとうございます。
ホイールの方もさすがピンポイントを突いてきますね。ちなみに私もLightweight系は高くて手が出ません…。経済的に余裕があればRZR46なんてのも買えたりするんでしょうが…。とりあえず費用対効果も考えつつ落としどころを見つけようと思います(笑)。
アウトサイダーさん、
返信削除私もチューブラーとクリンチャーのスペック的な差でどうしてもチューブラーに傾いてしまいます。
同じモデルで重さが数百グラム軽くて、さらに値段が安いとくればパンク時の費用以外は勝負アリですからね。
ちなみに今回のベルギーは、LBLのコースの中間にある峠部分を、Stavelotという町を中心に8の字に回るような形になるので、フラットはなく、上りと下りの連続になる感じです。コースの中には2010年のツール・ド・フランスで、(シュレク兄弟含め)大量落車が発生したストク峠もあるので、ホイールの空力に頼らなければならないほど高速巡航を必要とする区間が(上りに比べて)少ないと見ています。下りは道幅も狭く、ブレーキングやコーナリングがむしろ勝負になると思うので、下りでのエアロ効果よりも上りでの軽さを重要視しようと思っています。
ということでリムハイトは気にせずに軽量を今回は求めてみます。もっとオールラウンドなコースであればReynoldsのSDV66Tでいけると思うのですが…。
rodanさん、
返信削除コメントありがとうございます。本エントリに関係なくても大歓迎です。
プロテインについては特集エントリを設けなければと思いつつまだ設けれていませんが、コメント欄に書くには分量が多く、画像やリンク等々も貼りたいので、明日にでも本エントリの方に掲載させていただきたいと思います。詳しくはそちらをご参照いただければと思いますが、さしあたりポイントだけ回答させていただきます。
・プロテインの取り方は、「トレーニング直後(アナボリック促進用)」と「日常用(カタボリック防止用、回復用)」に分ける。
・トレーニング直後は、ホエイプロテインを、水かそれに準ずるもので飲む。(※牛乳で割らないこと)
・脂肪を抑えたければ、ホエイプロテインの中でも、WPC(ホエイプロテインコンセントレート)ではなく、WPI(ホエイプロテインアイソレート)を選ぶ。
・食間、就寝前など、日常用のプロテインは、カゼインプロテインまたはソイプロテインを飲む。
・食事等で必要量のタンパク質が確保できていれば、日常用はあえてプロテインを飲まなくてもよい。
私もクライマータイプですが、体格の大きい欧米人の中ではクライマーで勝機を見出すしかない一方で、ニューヨーク市内のレースではスプリント勝負になることが多いので速筋も鍛えています。速筋の遅筋化という方法もあるので、ヒルスプリント含めてrodanさんのパフォーマンスが全体に向上されればと思います。