ヒルクライム決戦用軽量ホイールを求めて

ヒルクライム決戦用軽量ホイールの条件としては以下で考えている。

  • 軽いこと
    ヒルクライムメインということもあり、高速巡航のエアロ効果よりも登坂における軽さを重視。

  • リムハイト(ディープリム云々)は気にしない
    軽さを重要視するのでエアロ効果は二の次。

昨日のエントリで書いた通り、クリンチャーかチューブラーかも含めて検討したいので、両方カバーしてみたいと思う。


■候補を絞る ~ 軽量ホイールリスト

まずは、以前にエントリしたロードバイク用ホイール一覧(2010年モデルまでカバー)をご参考いただきたい。といっても市場に流通しているもの全てを網羅しているわけではないが、このうち、一部2011年モデルを加えつつ軽い方から順に並べてみたのがこちらである。

ランキングメーカーモデルタイヤ種類総重量フロント重量フロントスポーク数リア重量リアスポーク数リムハイト
1ReynoldsRZR46 TTubular900162046
2LightweightVentoux 190 IIITubular9954352056024
3Fast ForwardF2R - 190Tubular999449205502420
4Fast ForwardF2R - 190 WETubular1040470205702420
5ReynoldsMV32T ULTubular1040202432
6Fast ForwardF2R - 240sTubular1050460205902420
7TokenT33Tubular1050202433
8LightweightVentoux 240 IIITubular10604552060524
9ReynoldsThirty TwoTubular1066202432
10Fast ForwardF2R - 240s WETubular1090480206102420
11ZIPP202Tubular1095484186112432
12LightweightSandard IIITubular11255002062520
13CorimaWinium+Tubular1150465186852024
14ReynoldsDV 46T ULTubular1155202446
15ZIPP303Tubular1171519186522444
16RitcheySuperLogic Carbon 46mmTubular1171491206802446
17EastonEC90 SLXTubular1175182424.9
18MavicCosmic Carbone UltimateTubular1185520206652040
19BontragerRace XXX LiteTubular11904921869824-
20Fast ForwardF4R - 190Tubular1195550206452438
21FulcrumRacing Light XLRTubular12265462268024
22CampagnoloHyperon Ultra TwoTubular12315362269524
23EastonEC90 SLTubular1232182438
24American ClassicCarbon 38Tubular1242512187302438
25Fast ForwardF4R - 240sTubular1245555206902438
26ShimanoWH-7850-C24-TUTubular1254527167272028/24
27Fast ForwardF4RTubular1260535207252438
28American ClassicMagunesiumClincher12755402873532
29ZIPP404Tubular1278582166962058
30DT SwissRRC 1250Clincher12905801871024
31MavicR-Sys SLTubular1295545167502022/25
32ZIPP202 PowerTapTubular1309484188252432
33Fast ForwardF5R - 190Tubular1310601207092450
34Fast ForwardF5R - 190Tubular1310601207092450
35CampagnoloBora Ultra TwoTubular1310565187452150
36Fast ForwardF4C - 240sTubular1315580247352838
37ReynoldsDV3K TTubular1320202446
38ReynoldsMV32C ULClincher1320202432
39BontragerRace XXX LiteClincher13205571876324-
40ReynoldsThirty TwoClincher1399202432
41CorimaWinium+Clincher1400580188202024


こうして見ると、軽さとしてはやはりチューブラーが圧倒している。WO※による構造上の違いが反映されているともいえる。

��※クリンチャーのこと。Wired Onの略で、ホイールのリムに引っ掛けて固定するためタイヤにワイヤーが入って(Onして)いる。単にタイヤが乗っかっているだけのチューブラーと違い、その分が重量に反映して重くなる。)

まず目安として2,000ドル(16万円)以下のホイールを候補にしておきたい。航空券や宿泊費、レンタカー代、コンパクトクランクやTT装備など、ベルギー行きでかなりの出費が重なっており、費用対効果の点から、軽くてかつリーズナブルなものを抽出する。

まずReynoldsのRZR46。高すぎ。Lightweightも手が出せず。Fast ForwardのF2Rはすでに販売停止になっているようで売られていない。定番のZIPPの202だが、これも予算を超えてしまう。

台湾メーカーのTOKENは、性能は問題ないと思いつつもメーカー認知度的に実績不足感は否めない。

となると残るはReynoldsのThirty Twoになる。プロチームでも使われており実績も申し分ない。

もう1つ、American Classicで軽いクリンチャーホイールがある。TOKENと同じで実績不足感はあるが、せっかくなので考察してみる。


■American Classic Magnesiumクリンチャーホイール

クリンチャーの中でも目立つのがAmerican ClassicのMagnesiumである。

スペックを見る限り、1,275グラムでリム重量は300グラムと、クリンチャーホイールの中でも最軽量の部類に入る。価格も1,500ドル前後(12万円)と、スペックの割にはリーズナブルである。

スポークはフロントが28本、リアが32本と多めで、空気抵抗的な不安はあるものの、ヒルクライム専用と考えれば許容範囲内である。

カラー的にも珍しく、ホワイトのリムにブルーのロゴということで自分のロードバイクにピッタリで、審美的にも良い。

ただ、問題はそのレアな素材であるマグネシウムである。このホイールは、その名の通りマグネシウムホイールであり、American Classicの公式ページでは、「マグネシウムはスチールより軽く、カーボンより耐久性に優れている」と謳われている。しかし、マグネシウムは腐食しやすく、公式ページのFAQでも、塩分の付着には注意するように喚起されている。

しかもマグネシウムという素材は振動に弱く、割れやすいので、海外のレビューでも、「Amazingly fast but strictly for smooth roads(驚くほど速いが、良い路面限定)」、「we are reluctant to recommend them for road racing but there is an acceptable level of strength here for time trialling and closed criterium circuits(ロードレースにはお勧めしないが、タイムトライアルやクリテリウムでは許容範囲内の強度)」と評されるほどである。

極めつけは日本のこちらのブログ。マグネシウムリムが割れてタイヤがバースト。大変な目にあったらしい。

公式ページのタイヤ圧の注意書きにも、上記リム割れを想起させるような文言が踊る

American Classic Maximum Tire Pressure for Road Clinchers:
Maximum tire pressure for road clinchers is not to exceed: 120 PSI / 8 BARS.
If your road clincher tires are rated at below 120 PSI / 8 BARS, DO NOT exceed the rated tire pressure.
Even if your tire is rated at above 120 PSI / 8 BARS, DO NOT exceed 120 PSI / 8 BARS.

アメリカンクラシックのロードクリンチャーの最大タイヤ圧:
例えタイヤに書かれている最低気圧が120PSI(8BAR)だったとしても、最大タイヤ圧は120PSI(8BAR)を超えないこと。


つまり、120PSI(8BAR)を超えるとタイヤ圧にリムが耐えられず、上掲のリム割れを招く危険性があるということだろう。ちなみに先日導入したクリンチャータイヤ、VittoriaのOpen Corsa CXに書かれている推奨気圧は、~。タイヤの性能を活かす気圧を使えないホイールという点ではかなりのデメリットである。

さらに使うのは(日本と違い)基本的に荒れた路面が多いニューヨークであり、さらには石畳で有名なベルギーのクラシックコースである。

カラー的にも、軽さ的にも、価格的にも良いのだが、このデメリットが大きく、American Classicのマグネシウムホイールは候補から外さざるを得ない。


■Reynolds Thirty Two

となると、ReynoldsのThirty Twoである。

ちなみに2010年まではMV32T UL(チューブラー)、MV32C UL(クリンチャー)と呼ばれていたモデルの後継にあたる。が、重さは少し重くなっている。

このモデルは、同じモデル名でチューブラーとクリンチャーの二種類が出されており、チューブラーもクリンチャーもそれぞれのタイヤ種別の中で最軽量の部類に入る。

しかし、チューブラーはクリンチャーよりも公称値で333グラムも軽い。旅先での利便性ではクリンチャーが一歩リードだが、「軽いこと」を最重視する以上、この333グラムの差は大きい

Reynoldsは、良く言えば定番、無難悪く言えばありきたり、没個性

もちろん有名メーカーであるし、そんなことを言っては失礼なのだろうが、DT 240SのハブやDT Aeroliteスポークといった汎用性が高い(替えが効く)部品構成や、黒字に白というカラーインパクトが少ないデザイン、(費用対効果がいいことの裏付けなのかもしれないが)使っている人が多いことなどから、「人と同じのには乗りたくない」という人には向かない。9種類のカラーがあり、インパクトの強いAeolus 9.0に比べると審美的な見劣り感はある。



が、同時にそれはメリットにもなり、黒字に白のデザインは、裏を返せばどんなカラーのフレームにも合うということであるし、市販されているハブやスポークを使っているということは、修理等々における垣根も低く、メンテナンス性に優れているということを意味する。

今回は冒頭で述べた通り、ディープリムを求めるわけでもなく、リムハイトが低ければ視覚的なインパクトが低くくもなり、見た目は二の次ならぬ三の次なのでReynolds Thirty Twoで行きたいと思う。


14 件のコメント :

  1. たはまなあか2011年7月30日 5:11

    久々に書き込ませてもらいます。
    corima ウイニウムプラスなんてどうでしょう?
    是非調べて見て下さい。

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  2. すいません。
    さっきの投稿、変な名前で投稿してしまったようです。

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  3. おお、Reynolds Thirty Twoで行くんですね。
    どれぐらい違うものなのか楽しみですねー^^
    しかしAmerican Classicのマグネシウムホイールは使うのが怖すぎます( ;∀;)

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  4. 2000ドル台にすると選択肢はぐっと広がりますよ。Fulcramとかいいなあ。いいものに乗っての気分の高揚はプライスレス。きっと後にUpgradeで買い換えると思うなあ。
    小生は今、車を買うことを考えており、上記Dilemmaに陥ってます。悪魔の囁きでした。

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  5. ところで、Carryingケースですが必要なら近いうちに取りに来てください。小生8月12日にNJに引っ越します。その後、16日ぐらいから日本に出張し、戻りは貴殿のベルギー出発後になると思います。いまだと、貴殿のオフィスから歩きで2ブロックだし。

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  6. ゆういちさん、
    Corimaはノーマークでした。
    追加情報ありがとうございます。早速、一覧に加えさせていただきました。

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  7. はい。ちょっとした感動くらいの違いがあってくれればなぁーと思ってます。まあエンジンありきなのでたいして変わらないかもしれませんが。
    American ClassicのMaginesiumは怖いですね。
    旅先でホイールが割れることを想像すると恐ろしいです。((((;゜Д゜)))
    クリンチャーといえば日常練習用に最適ですが、少なくともマグネシウムホイールはクリンチャーといっても日常用には使えない気がします…。

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  8. まさしく悪魔の囁きですね。(^^;
    Aeolus 9.0が2,000ドル超えだったので、私も2000ドル台になるといいものがとはわかっているのですが最近出費が激しく…。
    車いいですね。一気に行動範囲が広がってNJやアップステートのクライムコースもバリエーションが増えそうで…。こうなったら自転車用にSUV的なやつを買ってしまってはどうでしょうか。複数台積めますし。ということでこちらも悪魔の囁きでした。(笑)
    Sciconはご都合をお聞かせいただければと思いますのでまた連絡させていただきます。

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  9. かめらいだー2011年7月31日 1:22

    オートバイ乗りかつCoupe志向だった小生がまさしくSUVを物色してます。そしたらUpstateのレースにも行けますなあ。その際は一緒に行きましょう。多分買うのは日本出張から帰ってからなので、10月頭ぐらいですが。Sciconは来週のどこかで帰りに寄ってもらうのがいいかと思います。そちらがオフィスを出る30分ぐらい前に連絡してください。そしたら50&6Aveで待ち合わせて一緒に小生アパートに行ってPick Upという感じ。

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  10. 名言に感動させていただきました。まさしく自転車のためですね。
    やはりチームメンバーを見てもSUVが多い気がします。フロアポンプやらなにやら色々入っていてまさしくミニメカニックスペースのよう。ぜひ遠出ライドorレースご一緒させてください。
    お仕事を邪魔してしまわないか心配ですが、Sciconは来週どこかの曜日で電話させていただきますのでよろしくお願いします。

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  11. 白燈アクア2011年8月2日 14:13

    突然のコメント失礼致します。
    当方三十路も後半になってからロード始めたばかりのド素人です。いつもブログ拝見しています&大変勉強になります。
    Reynoldsいいですね。自分もいつかはチューブラー…
    ところでレイノルズのホイールですが、日本国内では没個性どころか相当マイナーな存在だと思います。多摩サイでも月に一度見るか見ないか。
    これは雑誌の記事によるところが大きいと思います。ロードバイク大手3誌、ホイールの記事はしょっちゅう載りますが、走行インプレッションが掲載されるのはシマノカンパマヴィックの御三家以外はまずありません。
    高い買い物ですから、ユーザーはつい安定志向になってしまうのも無理からぬところでしょう。
    ですからブログ主様は安心してReynoldsで勝負していいと思います!自分もいつかはReynolds…いやその前にチューブラー(しつこい)

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  12. 白燈アクアさん、コメントありがとうございます。
    日本ではレイノルズはマイナーな部類なんですね。
    こちらではレースだけじゃなく、ファンライドイベントでもレイノルズをよく見かけます。
    やはり日本のマーケティングではいわゆる大人の事情が介在して流通メーカーが違ってくるんですね…。
    フレームでもこちらはVan DesselやRossettiといった日本ではマイナーなメーカーに乗ってる人もみかけます。

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  13. 確かにレイノルズは、地味なイメージがあると思います。
    私は昨年、購入したMV32UL(TU)で、つがいけ・美ヶ原・乗鞍HCに参加しました。
    体調を崩した乗鞍以外は、各レースとも10分以上、タイムを短縮できました。
    以前はアルミホイールであるキシリウムESで参加しておりました。
    レイノルズの性能は他ブランドのカーボンホイールと同等もしくは優れていると思います。

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  14. 初心者ロードレーサー2012年2月13日 4:27

    ヒルクラピナチャンさん、
    コメントありがとうございます。
    特にこちらのレースではレイノルズを使っている人が多く、定番であると同時に目立たない感じではあります。まあユーザーが多いと言うことはそれだけ信頼がある裏返しでもあり、さらにそのコストパフォーマンスの良さはかなりメリットがあると思ってます。

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