レースジャージに着替えて外へ。
山奥ということもあって、都市部にあるような不穏な雰囲気(?)もなく、誰もいない静かな駐車場でゆっくりとロードバイクの準備ができた。ちなみに後に書くことになるが、ルクセンブルクシティーではセクシーパブがある通りにホームレスがいて、アントウェルペンに至っては目の前で器物損壊事件が起こったことを考えるとえらい違いである。
今回はルクセンブルクのアルデンヌ地方、ディーキルヒ(Diekirch)をぐるっと回る予定でGarmin Edge 705で昨夜登録しておいたルートをセットする。目玉は昨日のブールシャイト城よりもさらに観光地化されていないブランデンブルク城である。その後シュール川沿いに走ってホテルまで戻ってくる予定。
まずは渓谷の川辺から一気に山の上へ上がっていく。まだ真っ暗で、フロントライトがないこともあって目を皿のようにしてフクロウモード(?)で上る。ホテルから一般道までは荒れて曲りくねった道が続くが、なんとか見えない道を走りきって街灯がある一般道へ。
ここからもひたすら上りが続き、まだ暗い中を走ってリッパーシャイト(Lipperscheid)の町へ。
バス停の前を通り、
そこから山の上を国道7号線沿いに南東へ(これまでのブールシャイト、リッパーシャイトとは逆方向へ)向う。
途中でブランデンブルクへの標識が。
ルクセンブルクのアルデンヌ地方は、小高い山が幾重にも重なっているのが特徴で、山の上と谷で景色が一変するのが特徴的である。
ブランデンブルクに近づくにつれて、道は下りに変わってどんどん進んでいく。
そしてブランデンブルクの町に到着。
町に入ると否や、目の前にブランデンブルク城が見える。
ブランデンブルク城も他の古城と同様に、山の上で城下町を見下ろすように建っている。
いざ城へ向けて坂道を上る。というかここも石畳であったが、ベルギーで既に慣れているので淡々と上る。
が、途中から砂利道に変わる。なんというかパンクが心配である。
そしてブランデンブルク城に到着。
門は閉ざされていて中に入ることはできない。
昨日のブールシャイト城は入城料を取るほど観光用になっていたし、エッシュシュルシュール城も、隠れた観光スポットとして、少なくとも町自体が観光でやっていってる感じであった。ところが、ブランデンブルクは、「観光地化されすぎていない」どころか「そもそも観光地ではない」のである。城自体立ち入り禁止になっているし、町には商店もなければホテルもない。
観光地でもないのに、町の中心に聳える城は当時のまま時が止まっており、城下町は今もその城を頂いたまま生活を続けているというのはなんとも不思議な感覚であった。
ブランデンブルクをあとにして山間の道を走っていく。
道路脇には牛が放牧されていてかなり近かった。
しかも好奇心旺盛で近寄ってくる。
さらに進んでバスタンドルフ(Bastendorf)の町を通過。ここも街中に教会あるくらいで家々が並ぶ田舎町であった。
シュール川に向って走っていると日の出を迎える。
シュール川沿いに出ると大きな道になっており、これまでとはうって変わって交通量が激しくなる。そのまま道沿い(=川沿い)に進んでディーキルヒ(Diekirch)広域行政区の中心都市、ディーキルヒに到着。
ちなみにルクセンブルク大公国は大きく3つの広域行政区に分かれ、ディーキルヒはそのうちの一つであるので、アルデンヌ地方を含めたルクセンブルク大公国の北方は全てこのディーキルヒに属することになる。
の割には、ぶっちゃけたいしたことなく、日本の地方都市の方がよっぽど大きくて栄えているように思えた…。こちらはディーキルヒの中心部らしきところにあった教会。
途中でディーキルヒの駅舎を見かける。
ディーキルヒの町を東から入って西へ抜ける。
シュール川沿いに走ってディーキルヒから遠ざかっていく。
エルペルダンジュ(Erpeldange)の町を通過。
ディーキルヒの周辺に位置する小さな町の一つで、バスを降りて歩いている人も見える。綺麗な家々が並ぶ住宅街である。
この町も教会を中心にこじんまりとした感じにまとまっている。
ちなみにこの町にあるエルペルダンジュ城(Château d'Erpeldange)。
城と言っても邸宅のような感じであって、今はエルペンダンジュコミューンの管理オフィスとして使用されている。
さらにシュール川沿いに進んでいく。
蛇行して流れる川が織り成す景色が美しい。
ちなみにシュール川をずーっと下流へ向かって進んでいくと、モーゼル川に合流して最終的にはドイツのケルンで走ったライン川になる。
1週間ほど前に走ったライン川の幅広い光景を思い浮かべ、ここがその遥か上流だと考えると赴き深い。
所々、川に削られた岩肌が露出している。
ブールシャイト地区に入る。
ミシュロー(Michelau)の町を通過。この町からでも遠く山の上、微かにブールシャイト城が見える。
ホテル手前のシュール川を渡る。
ホテルに到着。
ディーキルヒの地区をぐるーっと一周した感じである。
ホテルの前にはシュール川の流れを見ながらゆったりとできる空間が用意されている。
自分も朝の空気を吸いつつゆっくりと休憩。誰もいない川の畔に設置された椅子。中世の頃から時が止まったかのような川の流れと城を見ながら一息。なんとも贅沢な空間である。
自転車を車に入れてシャワーを浴びてから朝食に。
ヨーロッパの中でもスイス等と比べればマイナーな避暑地であるだけに宿泊客の年齢層も高め。
食事中も窓の向こう、山の頂にはブールシャイト城を見上げることができる。
よく日本で、「隠れ家的なレストラン」的なキャッチフレーズで宣伝してて「どこが隠れ家やねん」とツッコミたくなるような店があるが、ここはまさしくヨーロッパの隠れ家と言えるような場所であった。ちなみにホテル名のコクーン(Cocoon)には「居心地の良い家」「塒(ねぐら)」という意味がある。
朝食を食べた後もしばらくゆっくりと朝の時間を愉しむ。
ハンモックのように揺れる椅子に座って動かない景色を眺めていると気持ちが和む。
ボーッとしていると、川を挟んだ向こう側から中国語の歌が聞こえてくる。
川を挟んで話しをすると、どうやら北京から来た家族旅行中の中国人であった。
ということで後ろ髪を引かれながら、ブールシャイトを発つ。目指すは首都、ルクセンブルクシティーである。
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