ペダリング考察:押し足中心ペダリングとヒルクライムと楕円チェーンリング

初回インプレで、「これはやめておこう」と思ったOsymetricであったが、その後もRotor Q-Ringsと交互に使い続けていた。

というのも、Rotor Q-Ringsのマニュアル(※PDFリンク)には、「真円から楕円チェーンリングに替える際に、楕円に適応するために最低500kmは走る必要がある」と書かかれている。

さらに歪んでいるOsymetricであればなおさらということで、根気よく使ってみたわけである。

が…、しばらく使っていくと…、Osymetricの方が回しやすくなっている自分がいた…

そして回しながら思ったのは、「タイムトライアルだけでなく、ヒルクライムでも楕円チェーンリングにメリットは大きいのではないか」ということである。


■ヒルクライムのペダリング特性

サイクリスト全般において、ヒルクライムになると平地よりケイデンスが落ちる傾向があると思う。

その理由については、「Whiskey HillClimb & Women」さんのブログですでに考察されているので詳しくはリンク先をご参照いただきたい。

自分のイメージとしても同じで、平地だとモーメンタム(慣性の力)によって推力が得られるため、上死点、下死点部分においてトルクが発揮できていなくてもペダルの回転運動を妨げずにペダリングすることができる

つまり平地の場合、ペダルの各角度において均等なトルクを発揮できていなかったとしても、良く言えばモーメンタムによって高回転を維持することができ、悪く言えばペダリングのムラを誤魔化すことができるのである。

一方、ヒルクライムでは重力によるペダル抵抗が大きく、平地に比べてモーメンタムの慣性力が弱まる。逆方向の力(坂から転がり落ちる力)が働くため、ペダルの各角度(特に上死点、下死点にあたる12時や6時)において誤魔化しが効かず、より均等なトルクを要求される

よって、上死点、下死点においてトルクが発揮できていなければそれがボトルネックとなってケイデンスが落ちると思われる。


■楕円チェーンリングの効果

ただ、ペダリングのムラと誤魔化しというマイナスイメージの文言になってしまったが、「そもそも均等にトルクを発揮する必要があるのか」という問題がある。

以前エントリした通り、真円のチェーンリングの場合、機械の構造上はそうあるのが理想であるが、人間の体の構造上は明らかに自然ではない

その機械の構造と人間の構造のギャップを埋めるのが楕円チェーンリングであり、ギャップを埋める幅の大小が長短径の差に比例している。

つまり、長短径の差が大きい(より楕円な)Osymetricの方がRotor Q-Ringsよりもそのギャップ解消幅が大きいといえる。

この「ギャップ解消幅」は人それぞれであると思うが、自分の場合はOsymetricの方がしっくりきたわけである。

直近のヒルクライム大会で見れば、Rotor Q-Ringsのホワイトフェイスで81rpm、Osymetricのグランフォンドガンクス(未エントリ)で85rpmであり、ホビーレーサーのヒルクライムケイデンスとしては高い方だと思う(もちろん、パンターニやアームストロング、コンタドールと比べる気はさらさらないが…)。

グランフォンドガンクスに至ってはその結果、好成績にもつながったので、自分としては楕円チェーンリングの恩恵によるケイデンスアップは効果があったと思っているのである。


と、考察したわけであるが、人によって違いや向き・不向きがあるのは当然だと思うので、ホビーレーサーの一例としてご参考になれば幸いである。


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