前回ご紹介した、香港のスーパーで見つけたロードレース映画の広告。
この映画、破風(英語名:To The Fore)についてご紹介したい。
日本未公開で公開される予定があるのかすらもわからないが、ネタバレなので観る予定のある人はご注意いただきたい。
映画の概要
ストーリーの概要としては、台湾のチームにアシストとして加わった仇銘と邱田という2選手の物語。
二人は恋のライバルでもあり、お互い1人の女性選手にアタックする。
チームの勝利には貢献したものの、アシストはアシストでしかないと悟った二人はそれぞれ別々のチームへエースとして移籍。
仇銘は鄭知元のライバルとして勝利を重ねるが、アシストを買収され大事なレースを落としてしまい、そのことで暴力沙汰を起こして半ばリタイア。
一方、邱田はトレーニングを重ねても結果が出ず、禁止薬物に手を出してやっと勝利を掴むものの、それが発覚して表舞台から姿を消す。
その後借金に追われ、マフィアの仲介で韓国競輪で競輪選手として借金を返す日々。
そして紆余曲折を経て、また同じチームとして再会した3人は真のチームワークを発揮するのであった。
みどころ
やはりみどころはロードレースシーン。
自転車映画は数あれど、ロードレースのシーンに限っていえばこれまでにない規模かもしれない。
ちなみに監督は以前本ブログでご紹介した「激戰」の監督でもあった香港人の林超賢だが、主演は台湾、大陸、韓国人と様々で、ロケ地も台湾がメインである一方で、
香港、
上海、
韓国、
イタリア、
スイスのマッターホルンから
トングリ砂漠まで、かなり大規模なものになっている。
チームカーでリアルタイムに選手の状態を管理したり、
風洞実験室やTacxのAlpinistaのようなローラーなど、自転車好きにはたまらないシーンも多い。
スポンサーのMERIDAが全面協力して400台以上の自転車を提供、各国を撮影のために移動した総距離は11万キロを超えるというからすごい。
エキストラには本物のプロレーサーも参加し、映画用のクラッシュシーンだけでなく、撮影中の転倒で実際に怪我を負った事故は80件以上。
台湾の綺麗な風景の中を走るプロトンや、香港、上海の大都市を走る姿、はたまた砂漠の中で砂嵐の中を走る過酷なステージなど、様々な環境で走るロードレースの醍醐味が映像美となって表れている点は高評価である。
さらにルイ・コスタ自身が本人役でカメオ出演。
ルイ・コスタさん・・・、なにしてはるんですか・・・。
中国語でエースは「衝線手」、アシストは「破風手」。
日本語では「風よけ」だが、「風を破る」の方が語感的にかっこいい気がする。
ちなみに日本のロードレース映画といえばシャカリキ!くらいしか観たことないが、これは原作とは全然違う(登場人物の人間関係すら・・・)し、規模も比べものにならないのでちょっと先を行かれた感があって悔しくもある。
なにはともあれ、ロードレースのシーンとしてはこれだけしっかり作り込んでいるのでぜひ日本でも公開して欲しいものである。
一方そのころ・・・現実では・・・
が、それを地で行きつつ赤裸々に語ってくれているのが、ちょうど先週にインドネシアで行われたツール・ド・シンカラの西薗選手のレースレポート。
インドネシアの劣悪な衛生環境の中でレース中に民家でトイレを借り、その際にオートバイに衝突されたりと映画とは比べ物にならない激しさ・・・。
2015ツール・ド・シンカラ その3
やはりロードレースは映画よりも現実の方がドラマになる。
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