NZではボーダフォンなど通信大手3社が19日、「おぞましい襲撃映像を流している」として、映像を拡散させている複数の掲示板サイトを閲覧できないようにしたと発表。豪州でも大手業者が同様の対応を取った。
タラント被告は、襲撃の直前、これらの掲示板の一つに「これから侵略者への攻撃を実行する」として、襲撃を生中継するフェイスブック(FB)のリンクを投稿。「犯行声明文」が載っているリンクも示して、「拡散してほしい」と書き込んだ。その様子はFB上で17分間にわたって流された。
現地報道によると、NZでは、大手銀行2行が19日、映像の拡散に関係したFBや米動画サイトのユーチューブに出している広告掲載を止めた。さらに大手の50社以上が広告の引き上げを検討しているという。
NZ襲撃映像 拡散につながるサイトをアクセス不能に
ライブ配信のFacebook自体にも「なぜライブ配信をすぐに削除できなかったのか」と批判が起き※、それがさらに拡散されたことも批判されている(※配信開始後29分でユーザからFacebookに何度も連絡が行ったものの、Facebookはニュージーランド警察からの正式連絡を受けるまで削除しなかった)。
英チャンネル4のアナウンサー、クリシュナン・グル=マーティ氏は英デイリー・メールと英デイリー・ミラーを名指しして、「クリック稼ぎにしても最低のやり方だ」と批判し、削除するよう求めた。自分は幸か不幸か動画が削除される前に見てしまったが、むしろ自分が感じた「問題」は映像配信うんぬんよりも別のところにあった。
バズフィードのマーク・ディステファノ記者も、英デイリー・メール・オンラインが、銃撃犯の74ページに及ぶ「犯行声明」を記事からダウンロードできるようにしていたと指摘。デイリー・メールは後にサイト上から文書を削除し、そもそもダウンロードできるようにしていたのは「ミス」だったと発表した。
ニュージーランド銃撃動画とソーシャルメディア、拡散と削除の攻防
ニュージーランド首相のコメントの通り、動画について詳しく述べることは犯人の意に沿うことになってしまうし、特に本エントリの主旨でもないので深堀しない。
アーダーン首相は議会で、「男はこのテロ行為を通じて色々なことを手に入れようとした。そのひとつが、悪名だ。だからこそ、私は今後一切、この男の名前を口にしない」と、気持ちをこめて演説した。
「皆さんは、大勢の命を奪った男の名前ではなく、命を失った大勢の人たちの名前を語ってください。男はテロリストで、犯罪者で、過激派だ。私が言及するとき、あの男は無名のままで終る」
ニュージーランド首相、銃撃犯の名前は今後一切口にしないと誓う
というか、ショッキングな映像という点では、そもそも本物の画像を載せる必要すらない。
そう、自分がショックだったのは、襲撃映像が全然ショッキングじゃなかったということ。
遠目だし、暗いし、血もよく見えないしで、怖いもの見たさでショッキングな映像が見たければ、FPSゲーム※のほうがよっぽど「リアル」でショッキングな映像が見れますよということ(※First Person Shooter、一人称視点のシューティングゲーム)。
あまりゲームをしない自分でもHalf LifeやFar Cry、Operation Flashpoint(どれも10年以上古いものばかりだが)を昔やったことはある。ゲーム以外には戦争映画を見たり、YouTubeでゲーム動画を見たりだが、小さい子供がいることもあってハードなものはほとんど見ていない。
そんなご無沙汰の自分でも大丈夫なくらい、今の世の中はショッキングなゲーム、映像に満ち溢れていて、本物の殺戮動画すらショックに思えないほど耐性ができてしまっているのか・・・。
そしてそれらのFPSゲームの「リアル」さに比べると、襲撃映像の方はよっぽど「偽者」っぽいし衝撃度がない。
何が怖いかって、「実際の襲撃映像よりもよっぽどショッキングな映像が世の中に出回っていて、ゲームとして体験できちゃう」ってことだろう。
規制されて削除されている動画に比べて、シューティングゲームの動画はいくらでも見られるしゲームだって簡単に手に入ってしまう。
さらに最近流行っているというPUBGやフォートナイト※といったバトルロイヤルものでは、コンピュータ相手ではなく、ネットの向こうにいる実際の人間と殺し合うことになる(※フォートナイトは一人称視点ではない)。
限られたフィールドの中で100人同時にプレイして、最後の1人になるまで殺し合うというもの・・・。
年齢制限がかかっているゲームもあるものの、未成年がそういうゲームをやる方法はいくらでもあるし、今や誰もが殺人犯のシミュレーションができてしまう環境にある。
ちなみにフォートナイトの年齢制限はESRB(米国の規制基準)で13歳以上、CERO(日本の規制基準)で15歳以上。
見ようによっては、世界中の青少年が、実際の襲撃事件よりショッキングな殺し合いゲームをやって、夢中になって「殺戮の予行演習」をしているように見える・・・。
それが一番怖い。
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