遡ること8月に起こったStagesパワーメーターの故障。
ステージズのパワーメーターが雨に弱いというのを実体験した話
旅行直前に起こったこの故障で、当初Stagesを日本でのレース用に使おうと思っていた思惑が大きくずれることになった。
Stages直伝、パワーメーターが壊れたら試すべき5つのこと
結局、Stagesのサポートセンターの助けにより事なきを得たのだが、上記エントリの最後で「シマノクランク以外にも対応するために非クランク型のパワーメーターが必要というニーズはまだ満たされることはなく、一度火がついた物欲はとどまるところを知らないのであった・・・。」と思わせぶりなセリフを残した通り、クランクのモデルに縛られないパワーメーターを用意しておきたいというニーズがあった。
というのも、今年の激坂ヒルクライムレースに備えて、105のトリプルクランクにSuginoの28Tインナーリングを取り付けて無理やり低ギア化にしてみたのだが、やはり元々ダブルクランク前提で11速のコンポはできているのか、電動の設定をどんなにいじっても音鳴りを完全になくすことはできず、なにかしら駆動系で抵抗が起きている状態で、変な音を聞きながら走り続けるのも精神衛生上よろしくなかった。
フロント28T化 実装編
平均勾配11%のヒルクライムレース用ローギア化セッティング
そもそも105のトリプルに無理やりせざるを得なかったのはStagesのDura-Ace左クランクとの互換性のためで、クランク型のパワーメーターでなければ、クランクのメーカーやモデルに縛られずに低ギア化をすることができる。
この点、SRMに始まり、SRAM(Quarq)、Power2Max、Pioneerと、クランク型※パワーメーターは今や大海賊時代と言っていいくらいパワーメーターの代表的な測定形式になっており、それ以外の選択肢というと、昔からあるPowerTapのハブ型か、Garmin Vectorのようなペダル型かといった選択肢になる。(※クランク型でも、狭義にはクランクにつけるものとスパイダーアームにつけるものがあるが、ここではクランクのモデルに縛られるという観点で便宜上同カテゴリとして扱っている)
一方で、EliteのTurbo Muinというダイレクトドライブ式のトレーナーでのパワートレーニングに使用したいことを考えると、ハブ型では物理的に測定ができない※ため、ハブ型は選択肢から外れ、さらに出力源(エンジン)に近い方が駆動系の摩擦抵抗等の影響に左右されずにより精度の高い測定が可能になるというこれまた構造上のメリットから、一番出力源に近いペダル型を選択した。(※ダイレクトドライブ式のトレーナーではホイールを使わない)
秋だ!一番!ダイレクトドライブ固定ローラー祭り
ということでCycleOpsのPowerTap P1が到着。
初めてのペダル型パワーメーター。
通勤用のブロンプトンにつけているStagesと違い、今回はロードバイクのパイオニアのSGY-PM910Hを付け替えることになるので、SGY-PM910Hと比較してP1のメリット、デメリットをみていきたい。
PowerTap P1の最大の特徴&メリット
PowerTap P1の最大の特徴&メリットと言われるのが装着の簡単さ。
まずはパイオニアのSGY-PM910Hの装着手順をおさらいしてみたい。
自分の場合は※自分で装着したのでディーラー用マニュアルの以下手順に従って取り付けた。(※日本では既存クランクの持ち込みによる装着も可能で、ショップでの取り付けになると聞いた事があるが、アメリカで買ったときは装着済みのクランクセットが送られてきた)
SGY-PM910H Installation Manual (for dealers) (PDFリンク)
- 既存のクランクを外す
- マグネットをフレームの左右に仮止めする
- SGY-PM910H装着のクランクをつける
- サイコンでベクトルや出力がちゃんと出ているか確認する
- SGY-PM910H装着のクランクを外す
- 確認で問題なければマグネットを本止め。問題があれば2に戻る
- SGY-PM910H装着のクランクをつける
手順2のマグネット装着では、ディーラーズマニュアルにあるように、クランクとの幅をミリ単位で調整しなければいけなかったりと設定がシビア。
ちなみに実際の装着時のエントリはこちら。
パイオニアのペダリングモニターSGY-PM910Hの装着
MadoneからEmondaへの換装:パイオニアパワーメーターSGY-PM910Hの装着
一方、PowerTap P1の装着手順は・・・
- 既存のペダルを外す
- パワータップP1をつける
ケイデンス用にマグネットセンサーをフレームにつける必要もなければ、Garmin Vectorのようにバッテリーユニットをペダルとクランクの間に装着してトルクレンチでトルク管理する必要もない。
同じペダル型でもGarmin Vectorは締め付けトルクが36Nm~42Nmとピンポイントで指定されており、少しでもトルクが変わると出力がずれる不安があるが、PowerTap P1の場合は六角レンチで外れないように締めればOK。
幅やトルクといった数字による管理が全く不要なP1はやはり利便性に優れている
Turbo Muinのダイレクトドライブ式にしろ、自分の注目点は「一貫性の高い数値が取れること」で、数値の変動要素はできるだけ排除しておきたいので、設定の僅かなズレによって取れる数値が変わってしまう可能性のあるものに比べてこれは大きなメリットである。
また、自分には関係ないが、楕円リングにも対応しているというのはメリットかもしれない。VectorやSRMでは楕円チェーンリングをサポートしていないし、物理的に取り付けられたとしても楕円の場合は出力が高く出やすいということで、CycleOpsも以下のコメントを発表している。
ペダル重量
重量は電池未装着で右207グラム。
左206グラム。つまりペアでは413グラム。公式ページでは398グラムということだったのでカタログスペックより重い・・・。
基本的にKEO互換だが専用クリートは片方で29グラム。
クリート用ネジは片方で12グラム。
電池は単四乾電池で8グラム。
つまり総重量は、413(ペダルセット)+(29+12+8)x2=511グラム、内、ペダル自体は電池込みで429グラムとなる。
タイムのXpresso12の重量がペア154グラムだったことを考えると、かなり重い部類に入る。パイオニアのSGY-PM910Hの重量が公式ページによると66グラムということなので、Xpresso12+パワーメーターでも220グラム。PowerTap P1にしたことで重量増は209グラムとなる。
Timeのビンディングペダル:Xpresso12とTimeペダルの擦り減り問題
なお、同じペダル型パワーメーターのGarmin Vector2はペアで179グラムなので、Vector2と比べても71グラム重いことになる。
電池について
上掲した通り、電池は単四乾電池で電池寿命は60時間。
パイオニアのSGY-PM910Hが180時間ということを考えるとなんと3分の1。
はっきりいって電池寿命は完全にパイオニアに軍配が上がる。
Garmin Vector2も175時間ということなのでペダル型パワーメーターでもこの短時間はデメリット。
他のパワーメーターと比べても60時間というのは最も短い部類に入る。
ただメリットを上げるとすれば電池の手に入りやすさ。
他のパワーメーターでよく使われているCR2032と比べて、間違いなく単四乾電池は入手のしやすさ、価格の安さという点で圧倒的優位性を保っている。
が、ぶっちゃけCR2032も買い溜めしておけばいいし、予備を持ち運ぶのはサイズ&手間&重量的にも苦ではないのでこのあたりはCR2032だったらよかったのにと思ってしまう。
メリット・デメリットまとめ
ということで、パワーメーター単体として見た場合には、重量、電池持続時間、取れる情報ともにパイオニアのSGY-PM910Hの方が優れている。
PowerTap P1は左右のバランスは取れる一方で、SGY-PM910Hのようにペダリングのベクトルが取れるわけでもなければ、Garmin Vector2のようにプラットフォームセンターオフセット(ペダリングをペダルの中心から左右に何ミリの位置で行っているか)が取れるわけでもない。
他方、PowerTap P1のメリットは、装着の簡単さと、それによる出力変動リスクの少なさ、対応自転車の互換性の高さである。
取り外しを繰り返しても一貫性のある出力結果を得たい場合には大きなメリットになるし、特に今回のように、短い時間の中で日本で別のロードバイク(Madone)に装着する場合に威力を発揮する。
これがSGY-PM910Hだったら、日本に発送したMadoneにもマグネットを取り付けて設定してといった手順を踏まないといけない。
また、ペダル型パワーメーターの特徴として、クランクのモデルに縛られないのもクランク型パワーメーターと比べた場合のメリットになる。自分は激坂ヒルクライムに際してはフロント28Tを実現するためシマノ以外のクランクへの付け替えを考えているが、シマノ以外のクランクや、折り畳みのブロンプトン、それこそママチャリにだって取り付けられるのは圧倒的な互換性の高さでる。
逆に言えば、クランク固定でパワーメーターを自転車間で換装する必要の無い人にとっては敢えてPowerTap P1を選ぶメリットは少ないと言っていいと思う。
お久しぶりです。
返信削除Zwiftをやるためにパワーメーターを買おうかと思う今日この頃。(なんか目的が間違っている気がする)
いろいろなメーカーからいろいろな形のメーターが出てきて迷いますね。
GarminのVectorはよさげだけど日本では20万弱してなかなか手が出ません。
10万以下ぐらいにはなって欲しい。
お久しぶりです。Garmin Vector2の片足バージョン(Vector 2S)であれば699ドルですので日本でも安く買えるのはないでしょうか。Pioneerも片足計測バージョン出してますし。
削除Zwiftをやり込みたいなら負荷自動調整型のローラーが欲しいところです。私はPowerBeam Proでやってましたがやはり画面内の勾配と連動して負荷が変わると臨場感が違うかと。負荷自動調整型の場合、ローラー自体にパワー計測機能がついているのでパワーメーターが別途不要になるという一石二鳥でもあります。
さっそくのお返事ありがとうございました。
削除確かに負荷自動調整型のローラー(スマートローラー)がベストなのですが、E-Motionを買ってしまったので、これ以上ローラーが増えるのもアレなんですよね。(ローラー貧乏やぁ)
NYもだいぶ寒くなったのではないですか?
となるとやはりパワーメーターという選択肢ですね。ちなみにクリート型パワーメーター(まだ発売されてませんが)や、ペダル軸につける300ドル以下のパワーメーターもあったりします。
削除http://nyroadbike.blogspot.com/2015/04/200.html
NYは氷点下になりそうな日もちらほら出てきてもうすぐ雪も降り始めそうなのでますますローラーの季節になってきました。
Garminは日本国内の代理店があまり評判がよろしくなく、また欠品も生じているようです。ネットで調べてもVectorを取扱っているお店はあまりヒットしません。
削除スマートローラーは、TACXで痛い目にあっているのでトラウマがあるのかも(笑。
東京は暖かかったり寒かったりで寒暖の差が激しく、おかげでみんな体調不良です。
なんと。日本国内ではそんな状態なんですね。サポートが問題なければ海外通販という手もありますが・・・。
削除TACXは私もトラウマになってます。あれはリコールレベルだと思います。PowerBeam ProはそんなこともなかったのでTACX特有の問題かもしれません。
寒暖の差が激しいのも辛いですね。私は日々の気温とウェア、その結果をExcelにつけていて、この気温だったらこのウェアという風にして気温差に対応してます。
iOSのアプリでBTのスピードセンサがペアリングできたので、初Zwiftを体験しました。パワーの値が50Wぐらいしか出ず、コレ本当の数値?とガッカリ。却って本物のパワーメーターが欲しくなりました。Power Tap P1が日本でも15万で入手可能です。しかも在庫あり(ヤバイヤバイ)。
返信削除でもZwiftだけを考えればスマートローラーの方が勾配も再現されて楽しいかも知れません。金もないのに、また物欲が。
パワーの値50Wは明らかにおかしいですね。私はこれまでTacx, PowerBeam Pro, iBike, Quarq, Pioneer, Stages, P1とパワーメーターを使ってきましたが、それでもパワーメーターによって20Wくらいずれることもあります。結局は過去の自分と比較できればいいので、絶対値が多少ずれていても一貫性のある数値を表示してくれるパワーメーターがいいパワーメーターだと思います。
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