欧州遠征記5日目:ドライブ、チェックイン、伝説の峠へ

スタヴロでの2日目。朝起きると雨が降っている。



タイムトライアルを翌日に控え、風邪を引いたり体調を崩しても本末転倒なのでゆっくりと朝食を取る。



これまた豪華な感じで、クラシック音楽がさりげなく響く中、優雅な朝食を頂く。




■タイムトライアルコース下見ドライブ

スタヴロ付近はそこまで観光名所は多くなく、夕方には大会のチェックインがあるので遠出はできない。妻もアルデンヌの景色を見たいということなので、タイムトライアルとロードレースのコースをなぞりながらドライブをすることに。



ゴール地点に差し掛かると、ゲートの設置をしている。



トレーニングに出る他のレーサーも。





走り出してもちらほら練習中のレーサーを見かける。





明日のタイムトライアルは、最初の区間はサイクリングロードになるため自動車では走れない。この橋の上を左手から右手に走り抜けて一般道に合流するルートとなっている。



妻は観光気分だが、タイムトライアルを翌日に、ロードレースを3日後に控える自分はそれどころではなく、上りの勾配を確認したり、下りではコーナーの角度を注視して写真に収めたりしていく







アルデンヌの丘陵はいわゆる酪農地帯で、牛を多くみかけることができる。



レースさえなければ、なんとものどかな丘陵地帯である。



彼女は喜んで牛を写真に撮っていくが、自分は通り過ぎて行くロードレーサーたちを見ながらこんなことしててええんかいと不安になりながら彼らを写真に撮っていくのであった。



とはいえ、やはりロードバイクで走るのと自動車で走るのとは全く感覚が違う。コース下見のみで、実走を一回もせずにぶっつけ本番になってしまうのはかなり心配である。



タイムトライアルとはいえ、4つの峠が控えるのでアップダウンは多い。



というかタイムトライアルってもっとフラット気味なコースが多いはずなのだが。



はっきり言って舗装路としては状態が悪い道も通ることになる。





それが雨で濡れているとなればさらに要注意である。



ところによっては道幅も狭く、車一台がギリギリ通れるようなところもある。



とりあえずタイムトライアルのコース周回を終えてスタヴロに戻ってくる。



その頃には雨が止んでいる。



しかもフィニッシュゲートも完成している。



町中には他のロードバイクもみかけられ、乗りたい気が起こってくる。



旅先で家族を残して1人で走りに行くのは悪いと思いつつも、前日に足を動かしておかないのはコンディション調整的にもまずいと思い、30分で戻ってくるからという条件付で試走の許可をもらう




■伝説の峠へ

喜び勇んでロードバイクで外へ。すると、いきなり荒れた石畳からかなりの振動をくらう。歩きや車では分からなかったが、細いロードバイクのタイヤではここまで振動が酷いとは…。まるで全身マッサージを受け続けている状態である。



タイムトライアルのコースをなぞる時間もないので、近場にある峠、コート・ドゥ・ストッコー(ストッケウ、ストク峠とも)を上ってみることに。3日後のロードレースでゴール手前に設定されている最後かつ最難関の峠である。



このときは勾配等のインフォメーションが掲げられていなかったが、二日後の夜に通りかかったときには勾配情報が掲載されていた。



リエージュ~バストーニュ~リエージュでレースが動くポイントにもなるストク峠は平均勾配12.6%、最大勾配21%。辛いのは上りだけでなく、2010年ツール・ド・フランスの第二ステージに登場した際は、ストク峠のダウンヒルの濡れた路面でカメラバイク含めた大落車が起こったことでも有名。シュレク兄弟や前日ステージ優勝したペタッキが落車、ランス・アームストロングとコンタドールも軒並み遅れ、総合優勝候補者たちが足止めされたシーンであり、ツールの解説者をして「Narrow, slippy, horrible descent」と言わしめたダウンヒルである。



そんなこんなでストク峠に挑戦。平均勾配12.6%は伊達ではなく、10%を超える勾配がひたすら続く。3日後のロードレース、100km走ってボロボロになった状態で上れるんだろうかという不安さえ出てくる。



こりゃあかん、しんどいわー!と思って頭を下げて苦しんでいると、地面にAndyの文字が…。Andyってもしかしてあのアンディ?と思っていると…。



GO GOと激励が来て、



次はFrankの文字が。こりゃ間違いない。知識としてはわかっていたが「シュレク兄弟が走った峠」という証拠が目の前にあり、自分が今その峠を上っているんだと思うと力が沸いてくる。ちなみにここスタヴロからルクセンブルクは自動車で1時間半強でいける目と鼻の先で、会話も同じフランス語どおりでスペインのコンタドールでも、オーストラリアのエヴァンスでもなく、シュレク兄弟の応援が書かれているわけである。



が、上の写真を撮るためにロードバイクから降りてしまったため、再出発がめちゃくちゃきつい。これだけの激坂となると停止状態から走り出すのも一苦労である…。

それでもなんとか頂上まで上る。



と、目に飛び込んで来たのは「次の目的地」。写真を撮ってなかったのか写真が出てこないが、「ラルプ・デュエズはこちら」という風に、ラルプ・デュエズのある方角が示されていた。ロードバイク乗りにとってはたまらない路面のグラフィティである。さらに顔を上げて横をみるとそこにはエディ・メルクスのモニュメントが。



525勝を挙げたベルギーならぬ自転車界の英雄。クラシックレース31勝、ツール・ド・フランス5勝、ジロ・デ・イタリア5勝、リエージュ~バストーニュ~リエージュ5勝など輝かしい戦績である。



最初見たときは人類の進化の過程に出てくる原始人の像に見えたが、乗車姿勢のため腰を曲げたエディ・メルクスその人である。

伝説の峠の頂上で一息ついて戻ることに。帰りは雨で濡れたダウンヒル。まさしくツール・ド・フランス大量落車と同じ状況。傾斜具合とコーナーを確かめながらゆっくりと下っていった。路面はでこぼこしていて幅が狭い。ロードレース当日は晴れてくれることを願うのみである。(その願いは打ち砕かれることになるのだが…)


■ロードレースのコース下見

その後ロードレースのコースもドライブしようとする。



Garmin Edge 705に入れてきたコース案内に従って車を走らせる。





今大会のレーサー達ではなさそうだが、サイクリングに興じる団体も。



ひたすらコースを確認。







その途中で自転車屋を見かけたので寄る。



ORBEA中心に扱っている店らしい。



チェーンオイルを持ってくるのを忘れてしまったため購入。本当はウェットが欲しかったのだが、ドライしかなかった。



そしてまたコースに沿って出発。



周辺の小さな町というか村に入っては出ていく。







また雨が降り出してくる。





が、お構いなしに練習している人も。



自動車でもけっこう時間がかかり、「ホントにこのコースを自転車で走るのか」と妻も呆れ気味。



とはいえコース案内が出ているからやはりこの道で正しいのだろう。





2つのループのうち、まだ最初のループも終わっていないのにかなりきつそうである。





天気もさらに悪くなってきた。











まあ、実際のレースも雨になってしまったため、このとき撮った写真と路面状態は似たり寄ったりだった。







スタヴロに戻ってくるが、時間が足りなくて最初のループ(60km分)しかできず。




■大会チェックイン

そのままチェックイン会場へ向かう。







こちらはスイスから参加しに来ているらしい。



会場内でチェックインカウンターに行く。チェックイン終了とともに、国籍の修正手続きをする。事務局側の不手際で、決勝大会の登録時に予選レース国名を記入する欄しかなく、国籍登録できなかったため、予選開催国と国籍が違う場合はここで修正をすることになる。自分の場合はUSAからJapanへ変更。



自分のライセンスは米国内用のライセンスで国際ライセンス登録はしていなかったので、その場で保険に入るため名前等々を記入。



会場には既に来年の大会の案内も。こちらはオーストラリア大会の案内。



その後ジャージを受け取る。





タイムトライアルの出走時間表が貼り出されていたので確認。女子からスタートになっていたので、自分のスタート時間は結構遅く、昼の12時55分から。ホテルのチェックアウトが11時までなので、明日はホテルを先にチェックアウトしなければならない…。ロードレースとタイムトライアルのコースを確認。事前にネットでチェックしておいたものから変更がないようで一安心。

ドーピングルーム等々も設置されている。さすがはUCI管轄の国際レースである。



ということで、翌日のタイムトライアルに備えてホテルに戻る。

新しい味を試すためドイツで買ってきたポテチを少しかじっておく。バルサミコ味のポテチ。かなりの美味であった。



ボロネーゼ味のポテチやその他。



ということで早めに休むのであった。


2 件のコメント :

  1. 名無しさん2011年11月28日 6:07

    エディ・メルクスのモニュメントは顔の角度がなんというか、絶妙ですね

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  2. 初心者ロードレーサー2011年11月28日 21:58

    はい。なんというか、いい感じに上向きです…。しかも車体は一部しか出ていないのでまるで途中まで掘り出された発掘中の化石のような…。

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