といっても、さすがに自転車2台を輪行するのは厳しかったため、TTバイクは新規購入に至らず、結局DHバー(エアロバー)も買わなかったので、自転車としてはまったくなんのエアロ装備もない、UCIのロードバイク規定と同じロードバイクで走ることになった。
一方、前面投影面積を見ればわかるように、空気抵抗を一番多く受けるもの、つまり、前面に露出している面積が大きいのは、ロードバイクよりも人間本人である。
そこで、今回はライダーとして、ウェアー面からのTT装備に注目して揃えるようにした。
■重量を犠牲にせずに空力を追求する
思うに、ウェアー面でのTT装備は理にかなっていると思う。
その理由のひとつは、先に挙げた通り、空気抵抗を受ける前面投影面積の大半はライダーが占めていることにあるが、もうひとつは、通常のロードバイク装備と比較した場合の重量増加幅が少ないことである。
自転車本体の空力追求の場合、TTバイクにしろ、バトンホイールにしろ、ディスクホイールにしろ、重量面から見た場合重くなる。
もちろん、TTコースは一般的にアップダウンが少い上、ドラフティングできないことから空気抵抗が重要になる場合が多いので、重量よりも空力が重視される。
一方で、今回のベルギーのタイムトライアルでは、平均勾配が11%という峠もコースの中に含まれており、フラットなコースと異なり重量も軽いに越したことはない。
この点、ウェアー面であれば、スキンスーツやヘルメット、シューズカバーなど、重量的にはほとんど重くならずに空力を追求することができるのである。(まあヘルメットは多少重くなるが)
■TT装備その1:スキンスーツ
まず揃えたのはスキンスーツである。スポンサーの関係から、レースではチームジャージーで走らなければならないため、チームメンバーのクレイトンに連絡を取ってチームのスキンスーツを購入。
スキンスーツというと、全身タイツのモジモジ君的なイメージであったが、ジャージ、ビブと同じデザインを上下に施しているため、遠くから見た目にはそこまで変に見えない。
以前、タイムトライアルの空力効果のエントリをしたことがあるが、特筆すべきは、TTバイクやホイールと同じかそれ以上に、スピードスーツやTTヘルメットの効果が高いということであり、その中でもスピードスーツはダントツにタイムを縮める効果を持っている。費用対効果で見た場合でも、TTバイクやディスクホイールを新規購入することに比べればそのパフォーマンスの良さは群を抜いている。
結論から書くと、Must haveなアイテムだと思う。
一番空気抵抗が大きい体全体を覆っているということもあり、空力に対するアドバンテージは群を抜いているし、ジャージ&ビブの組み合わせに比べ、重量的にも(わずかではあるが)軽くなっている。TTバイクやディスクホイールが重さを犠牲にして空力を追求していることに比べると、空力も向上し、重量も軽くなるということで鬼に金棒である。デメリットとしては背中のポケットがないことと、トイレがしにくいことくらいだろうか。
スーツ面からの空力追求についてはサイクリングタイムに興味深い記事があるのでご参考いただきたい。
■TT装備その2:TTヘルメット
実はTTヘルメットは一度購入に失敗している。
それがこちら、Rudy ProjectのWingspanである。
Wingspanは個人的にデザインも気に入っている。
前頭部のアタッチメントを付け替えて、空力重視や通気性重視にスタイルを変えることも可能。
さらにチームスポンサーであるのでかなりのディスカウントが効く。
しかし、ユニサイズでサイズがひとつしかなく、純東洋人型の頭部形状を持つ自分は、側頭部がきつく断念。
次に購入したのがこちら、GiroのAdvantage 2。
Lサイズで無事被ることができた。
ちなみに、TTヘルメットは、その空力もさることながら、耳を塞がれることで、自分の体、心臓の鼓動だったり、息切れ具合だったりが聞こえてくるのでまた違った感覚が体験できる。また、通風性が悪いため、汗をかきやすい特徴もあった。普段ではそんなことはないのだが、後述するスポーツマスクのアイウェアに汗が滴り落ちた。
■TT装備その3:TTアイウェア
TT用というわけでもないし、空力的にもどこまで効果があるのかわからないが、一応用意したのが顔の目付近をスッポリ覆うタイプのアイウェア、Rudy ProjectのSport Maskである。
普通のアイウェアがそれなりに凸凹しているのに対して、スポーツマスクは見事にマスクのように滑らかな表面をしている。
今年ジロ・デ・イタリアでデビューし、プロ選手は使っていたがまだ市販されていないGiroのselectorというバイザー付きのTTヘルメットがあるが、現時点で手に入るAdvantage 2にはバイザーが付いていないので、スポーツマスクでバイザー代わりにしようという思いもあった。
■実走比較
ということで、実際に同じロードバイクで(機材は一緒)、ヘルメット、スキンスーツ、アイウェアだけ変えて走ったときを通常時と比較してみた。
その結果、平均タイムで1周20秒、5周では1分40秒も差が出ている。
これまでのホイールテストエントリ等を見ていただくとわかるが、ホイールではディープリムにしてもチューブラーにしてもたいして違いを感じられなかった。が、ヘルメットとスキンスーツだけで、まったく違う結果を出すことができた。敢えて言うなら、まさしくドラフティングしていないのにドラフティングしているような状態である。
通常装備では、かなり追い込まないと超えられない1周9分の壁を、いとも簡単に越えてしまった空力の高さに脱帽である。
もともと、たいして効果がなければ、重くなるしかさばるからTTヘルメットは持って行かなくてもよいかなと思っていたが、ここまでタイムが縮められるとなると持っていかないわけにはいかなくなった。
自転車乗り以外からすれば十分もじもじ君だと思うなあ。多分。小生の場合、まずは下ハン前傾。ところで、今週土曜日は突風が吹くとの予報で、まさに空気抵抗がテーマになりそうで。
返信削除TT装備、素晴らしい効果ですね!
返信削除これは自分も購入を検討します。
OGKから発売される奴が格好良かったなぁ。
はじめまして、やま~んと申します。
返信削除リンクのリンクで訪問させていただきました^^
かなりページを繰って読ませていただいておりますが、どれも非常に興味深く
面白い内容ですね!
僕もこんな充実したブログを書けるようになりたいですね~。
もしよろしければ僕のブログでリンクさせていただいてもよろしいでしょうか?
これからもよろしくお願いします。
確かにレーパンも一般の人から見れば「もっこりパンツ」なのかもしれません…。アメリカだと他人の目を気にしないのでレーパンのまま街中を歩いたりもしてしまいますが。突風はいつでも体験できるわけではないので良い経験になりそうですね。私はまだ風邪をひきずっているのでちゃんと治さないといけません…。
返信削除OGKのTTヘルメットは私も気になってます。ただ、エアロTPはGiroのそれより数倍高いので手が出にくいですが…。
返信削除私もウェアだけでなくTTバイクやディスクホイールの機材も揃えたいところですが、年に何十回もあるロードレースに比べて、タイムトライアルは年に数回しかないので出番が少ないのが辛いところです。
やま~んさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
返信削除リンク歓迎ですのでよろしくお願いいたします。
こちらからもリンクさせていただこうと思います。