ツール・ド・フランスを「やってみる」

まずはこの画面を見ていただきたい。ツール・ド・フランスである。











ツール・ド・フランスといっても、今年開催されたツール・ド・フランスではなく、「ツール・ド・フランス」という名前のゲームである。





ヨーロッパのXBOX360とPS3で発売されているとのことで、自分は米国版のXBOX360を持っているのだがリージョンコードの制限があるため非対応。



ところが、そもそもこのゲーム、ロードレースゲームとして古くからあるCycling Managerというパソコンゲームシリーズのコンシューマ機移植版であり、パソコンゲームのPro Cycling Manager 2011と同じものなのである。



実のところ、まだロードバイクに乗り始めたばかりくらいの頃、かなり以前のバージョンをやったことがある。そのときはお世辞にも綺麗とは言えない画面であり、自分自身もレースを始めていなかったことから、そこまで面白さも感じずに、それこそ3日坊主で飽きてやめてしまったものである。



ところが、上記映像を見るとその進歩は目覚しく、ろくにゲームをすることもない最近であったのだが、映像美に惹かれて久しぶりに手を出してみることに。まあ発売から既に半年近く経っているのだが、日本語の情報も少ないこともあり、せっかくなので以下インプレしてみたい。


■ゲーム構成

まず、ロードレースとトラックレースの2種類に分かれている。ロードレースがメインで、ゲームのボリューム比率としては、ロード対トラックで9:1といったところ。

ゲーム操作としては、ロードレースがチームのマネージャー役からレースでの戦略指示がメインなのに対し、トラックでは一人の選手を操作でき、左右に移動させたりスピードを上げたり下げたりといったことができる



つまり、トラックでは、自動車レースゲームで自動車を操作するのに近い感覚でプレイすることができる



これはこれで、クリス・ホイならぬ、クリス・ヘイ(笑)がいたりでそれなりに楽しむことができる。が、1レース完結型かつ1レースが短いのでゲーム性としてはそこまで深くない



ただ、タイムトライアルやオムニアム、スクラッチやケイリンなど、実際のトラック種目が多々用意されているので、ゲームをしながらトラック種目に詳しくなるには最適かもしれない。



一方で、ロードレースは全く異なり、まず、キャリアモードとレースモードがある。レースモードはレースだけをプレイする用で、キャリアモードは、チームマネージャーとしてチーム運営をしながら、各レースを戦っていくという形式になっている。

レースモードでは、とりあえずクラシックレースのリエージュ~バストーニュ~リエージュを選んでみる。



既存のチームから選んでプレイ。



で、いきなり結論から言うと、これは面白い


■ロードレース戦略

ロードレースでは、そもそもSimulationモードというのがあって、事前に指定した選手の役割(スプリンターだったり、自由行動だったり、チーム行動だったり)に沿って、レース画面なしにレース結果を判定、結果を表示するというもの。つまり、このモードでは冒頭で紹介したような迫力ある画面は一切出てこず、ゲームというよりは、純粋にコースと選手能力、役割、装備から結果を分析するというもの。



一方で、3Dモードでは、実際にレースを行いながら、好きなときに各選手にオーダー(指示命令)を出すことができる



そのオーダーがロードレース好きにはたまらなく、集団の中でステイさせることもできれば、チーム内でトレインを組むことも、数人だけ先行させてアタックをかけることもできる



さらに、トレインはトレインでも、交代なしで1人だけひたすら先頭を牽かせて体力がなくなったらトレインから切り離して捨てていく、捨石的なアシストをさせることもできる。というか自分も今年そんなオーダーを受けて途中で力尽きたレースがあったことを思い出しながらプレイできる



フィニッシュラインはもちろん、スプリント賞や山岳賞地点でもスプリントオーダーができ、他のスプリント選手の後ろにつかせたり、一気にスプリントに出て行くこともできる。



こちらはチーム全員で逃げを決めてゴールしたところ。



最後の方で集団にすぐそこまで迫られ、追いつかれそうであった。



一方で、こちらは単独で逃げを成功させたところ。プロトンと2分の差がついている。



どのタイミングでアタックをかけて逃げを決めるか、集団の中にステイして最後のスプリント勝負に持っていくか、他チームのアタックに乗るか、潰すかなど、まさしく実際のレースで経験しているのと同じような戦略が味わえる




■カメラ映像

そして秀逸なのは、冒頭でも紹介した通りの映像のクオリティの高さである。



こちらはスタート直前。







レース中では、カメラ映像が様々な角度から用意されている

1号車(先頭)、



2号車(プロトン)、





3号車(後方)からの映像。



ヘリコプターからの上空映像。







ズームイン、ズームアウトも可能。



フィニッシュラインの映像。



集団ゴールスプリントも再現されている。



さらに、各映像途中でカメラを固定することもできるので、1号車のカメラを固定すると、同じ地点で先頭からプロトン、最後尾が通過していくまで見ることができる。



そして各映像をリアルタイムに切り替えながら、選手にオーダーを出していく時間の進み方も1倍、2倍、4倍、8倍、停止と変更可能なので、スプリント時など細かに各メンバーに指示を出すときは停止して、一旦オーダーを出して様子見のときは8倍速などにすれば、中だるみもなく進めることができる。

ぶっちゃけ、オーダーを出すゲームシステム自体は初期の頃から変わっていないのだが、映像ひとつ変わるだけでここまで臨場感が変わるものかと驚かされた部分である。




■キャリアモード

ロードレースのキャリアモードでは、マネージャーとなってチームを運営管理していくことになる。まさにPro Cycling Managerという名前の通り、プロ自転車チームのマネージャーをするわけである。

最初にチームを選べ、前々回のエントリでご紹介したProTeamsとProfessional Continental Teamsから選択できる。



ここで新チームを作ることも可能で、予算の範囲内で各選手と契約を結ぶことができる。

予断であるが、各選手ごとにクライミング、フラット、TT、ダウンヒルなどの能力が数値化されているので、総覧的にプロ選手の能力を参考にするのにも役に立つ



さらに契約金を見ることで、各選手の現プロロードレース界での評価レベルがわかる(あくまで参考程度ではあるが)。日本人選手も登録あり。



マネージャーは、チームメンバーのためにトレーニングキャンプをセットアップしたり、



新しい選手をスカウトしたり、レース参加のワイルドカードを申請したり、新しいパーツを揃えたりと、チームの面倒を見ていくことになる。



パーツにはクライム用や平地用などの特製があり、それぞれ装備セットをつくってメンバーに割り当てることができる。



フレームも選択可能。TT用フレームもある。



で、レースカレンダーに沿ってレースに参戦していくのである。


■レースの種類

コンシューマー版のタイトルは「ツール・ド・フランス」であるが、UCIワールドツアーや大陸別ツアーなど、様々なレースが用意されている



ステージレースはもちろん、クラシックレースといったメジャーなものもあれば、ツール・オブ・マレーシアなど、非欧州地域のレースまでカバーされている



また、チームメンバーの国籍によってナショナルレースへの参加もあり、以下はオーストラリア人のみのレースでソロの大逃げを決めて優勝した我がチーム(笑)のエヴァンス。



達成項目も用意されており、ステージ勝利や、ワンツーフィニッシュなど、やり込み要素もあり。




■カスタマイズ機能

ここまでで既にかなり満足なレベルであるのだが、これまたカスタマイズ機能が強力である。

まず、気になる人名やチーム名は、許可が取れているかどうかで実名かどうかが異なる

冒頭で触れたように、クリス・ホイ(Hoy)がクリス・ヘイ(Hey)になっている他、テオ・ボス(Bos)がテオ・ビス(Bis)、シュレク(Schleck)がシュリク(Schlick)になっていたりする。一方で、サクソバンクやチームスカイ、HTCハイロードはそのままであるし、カヴェンディッシュも本名かつ本人の写真が使われている



ところが、付属のデータベース修正ソフトによって、選手名を実名に修正することが可能である。こちらはエヴェンス(Evens)をエヴァンス(Evans)に直して写真を追加してみたところ。



それどころか、登録されていない選手も自由に追加することができる。試しにワン・カンポを追加してみる。



もちろん自分の写真を使って自分をプロ選手としてゲーム中に登場させることも可能であるし、ここまで来るともう自己満足の世界になるが、チームに所属している人などは、自分のチームやチームメイトを作成して、実際の自分のチームでプロたちと戦うというシチュエーションも作ることができる

ちなみに使いこなせていないが、ステージエディターも付属していて3Dのステージを作成することができるので、努力次第では乗鞍のコースを作ってプロたちに走らせたりといったことも可能である。




以上、こんな感じでロードレースの雰囲気を思い切り味わうことができる本ゲーム。ハマりそうになるが、あくまでトレーニング最優先なのでほどほどにしたいと思う。自転車のゲームしててトレーニング忘れましたでは本末転倒である。

まあ使い方によっては、チーム戦略は自動にして、ひたすら続くレースを見ながらローラーを回すというのもありだと思う。

欲を言えばこれとTacxが連動してくれたりすると最高なのだが…。(画像はTacxのVirtual Realityのトラックコース)



どちらにしろ、トレーニング間の休養時など、冬の寒い時期に家の中でモチベーションを上げるには良いツールになるかもしれない




4 件のコメント :

  1. おお! Pro Cycling Managerですか!
    ニコニコ動画でこのゲームの投稿動画(2008年版)を観ていてゲームの存在は知ってましたが、ソフトは持ってないんですよね(URLから行けます)。
    大変面白そうなんですが、またまたPCのスペックが足らず未プレイです(;^ω^)
    いつかプレイしたいものです。
    あ、本日Bushidoが無事届きました!
    来年になるとばかり思っていましたが意外に早い到着で嬉しいです( ^ω^ )
    色々とアドバイスありがとうございました。

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  2. ��C版の2009を持っています。
    ��011版はグラフィックがキレイですね。
    確かにハマリますね、これ。
    各ライダーの数値が見れるので選手の特長がわかるのもレース観戦に役立ちますね。

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  3. 初心者ロードレーサー2011年12月31日 1:04

    この動画、アイマス動画っぽく見せかけてかなり的確にゲームの醍醐味がまとめられてますね。
    Bushido到着おめでとうございます。早かったですね。私がクリスマスにポチってしまったものはイギリスから今日発送されたようなので、どうやら大西洋で年を越しそうです。なぜかイギリスからアメリカで1ヶ月近くかかったこともあるので何時届くか不安ですが…。
    ちなみにBushido用(?)に買われた高スペックPCがあればPro Cycling Managerも動かせそうですね。グラフィック設定で低画質にすることもできるので私のノーパソでも動かせてます。

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  4. 初心者ロードレーサー2011年12月31日 1:06

    上の画像のうち、森林コースだけデフォルト設定で、それ以外はPC負荷を下げるためにかなり画質を低い設定にしているので、高スペックパソコンで高画質にすればさらに綺麗だと思います。
    選手のスペックも毎年前年の成績に基づいて修正されているようなので選手の能力見てるだけでもけっこう楽しいです。スプリント能力の高い順にしてみたり…。

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