TTS4.0についてTacxのフォーラムで議論が交わされていた。
Tacx担当者も回答に議論に加わっており、その公式見解を抜粋すると以下の通り。
- TTS4.0の動作環境を以下のように定義しなおす。
必要環境 推奨環境 CPU Dual Core 2.5 GHz 以上 Quad Core 2.5 GHz以上 または Core i5 / Core i7 GPU ATI or Nvidia 256 MB以上 ATI or Nvidia 1 GB以上 (最新のGPU) メモリ 3 GB 8 GB OS Windows Vista / Windows 7 (XP不可) 32 Bit または 64 Bit Windows Vista / Windows 7 (XP不可) 64 Bit - TTS3からのアップデートを行う予定はない。
- TTS3保有者向けのディスカウント価格のアップグレード版を用意する予定もない。
- Genius等のTacxトレーナーにバンドル(付属)するものはTTS3であり、TTS4になる予定はまだない。
- TTS4.1で諸所のバグは改善された。
- VRについてベロドローム(トラック競技場)は次バージョンのTTS4.2で提供予定。
- TTS4.2は夏前には提供する予定でいるが確約はできない。
- TTS4内でのアップグレード(例えばTTS4.1からTTS4.2)は無料。
- TTS5は少なくとも向こう2年間は出す予定がない。
■TTS4.0用のパソコン環境構築
ということで、前回の記載の通り、現状のパソコンでは性能的に厳しいため、デスクトップパソコンの中身を取り替えて性能アップを図る。
ちなみに高性能スペックといってもあくまで現時点でのという括弧付きでご認識いただきたい。というのも、パソコンの性能は日進月歩であるので、後から見ると「ハイスペック」の謳い文句もお寒い感じにしかならない(笑)。
まずは既存のデスクトップ、GatewayのGM5626から引き継げる資産をチェックする。
とりあえずパソコンの筐体はそのまま利用。MicroATXであるのでやや狭いし排気にも不安はあるが、フルタワーでは場所的に嵩張るし、ミニタワーとはいえ使わなくなった筐体を捨てるのも
CD/DVDマルチドライブと、SATAのハードディスクも引き続き利用する予定。ちなみにOSを入れるハードディスクにはこれを機にSSDの採用を検討。
Windows 7のOS、ソフト類も既存のものを移行するので不要(ちなみに元々のパソコンバンドルのOEM版はWindows Vistaで後に別途新規でWindows 7を入れている)。ここのあたりの無駄な出費が要らないのが自作の良いところである。
モニター、キーボード、マウス、スピーカー等の周辺機器ももちろん変更無し。
一方、変更が必要なのは、まさしく推奨環境のスペック項目となっているCPU、メモリ、GPU(ビデオカード)。
■CPU
CPUはせっかくだからCore i7-2600に。
Core i7-2600には、2600と2600Kの二種類があるが、2600Kは2600よりも内臓GPUが強化されており、2600はIntel HD Graphics 2000なのに対して2600KはIntel HD Graphics 3000となっている。さらに、2600Kはオーバークロックの倍率がロックフリーとなっており、5GHzを越える性能も出せるらしい。が、GPUはビデオカードを使うので不要であるし、オーバークロックも行う予定はない(というかMicroATXだと排気面で心配)ので、2600のリテール版(CPUクーラー付属)を購入。
■メモリ
メモリは12GB以上のDDR3を推奨ということなので、奮発して16GBのDDR3 PC3-12800を用意。(4GB以上のメモリなのでもちろんOSは64bit版)
ちなみに32bit版と64bit版の違いについてはこちらの比較を参照。まあ4GB以上のメモリが当たり前になってきている現在では64bit版の選択となるだろうが。
32bit vs 64bit Windows 7を入れるならどっちだ?
16GBの内訳は4GBを4本。Gateway GM5626の搭載メモリはDDR2のPC2-5300 3GBであるのでかなりの進化である。それにしても16GBのDDR3メモリが8,000円も出さずに買えてしまうとは、すごい世の中になったものである。
■ビデオカード
3Dの肝であるビデオカード。
実は、当初はノートパソコンを買おうと考えていた。
というのも、ノートパソコンであれば移動が自由であるので、Tacxを使うときだけローラー台の横にノートパソコンを持ってきて使うといった機動性に期待してのことだった。
しかし、ベンチマークを見ていただくとわかるが、ノートパソコンのGPUは最新のものでもデスクトップの数世代前のものと同等かそれ以下であり、費用対効果としてもかなり悪い。例えば市販のいわゆるゲーム用ノートパソコンのラインナップのトップにあるようなGTX 580Mでもベンチマークスコアは3630。一方、デスクトップのGTX 580のベンチマークスコアは6670でその差は歴然である。
それにノートパソコンではモニター等々の(既にある)再利用可能なものまで新規で買うことになるのでその面でも効率が悪くなる。
ということで、ASUSのENGTX580 DCII/2DIS/1536MD5を購入。
ダブルファン搭載で3スロット分を占有する重量級ビデオカードである。
■マザーボード
CPUとメモリとビデオカードだけ良くなればそれで十分なのだが、CPUとメモリの世代を新しくすると避けて通れないのがマザーボード。
GatewayのGM5626は、CPUがIntel Pentium E2180(LGA775ソケット)。そもそもCore i7のLGA1155ソケットに対応していないので、物理的な接続の時点でマザーボードの交換が必須になる。
MicroATXで候補は絞られてくるので選択はそれほど難しくはない。
LGA1155のIntelのチップセットにはP67とH67があるが、P67ではCPU内蔵GPUのエンコード機能が利用できず、画面出力もない一方で、マルチGPUをサポートしており、CPUの倍率変更ができるのもP67となる。
CPUで2600Kではなくオーバークロックの倍率フリーではない2600を選んでいるので、倍率変更の直接の恩恵はないが、TurboBoostの上限値を変更することでちょっとしたオーバークロックも可能らしい。
H67チップセットは上記P67の特徴の逆となるが、ここで注目したいのはCPUでの選択理由と同じく、CPU内臓GPUの機能。ビデオカードを別途使う以上、内臓GPUは不要であり、画面出力ポートがマザーボードについていても邪魔なだけであるのでP67を選択。
ちなみにメーカーはIntelでもMSIでも良かったのだが、せっかくASUSのビデオカードなので同じくASUSのものでP8P67-M PROを購入。この点、例えばIntelのCPUにAMDのRADEON系ビデオカードの組み合わせは、実運用上は全く問題ないのであるが、SRAMのコンポーネントにシマノのホイールを履いているような感じがある。
ちなみにP8P67-MのMはMicroATXのフォームファクターであり、Mが付かないATX用マザーボードもP8P67 PROとしてある。
■電源ユニット
これで一安心。と思いきや、ふと電源が気になる。
これまでTacxの変圧器関連でいろいろとコメントをいただいてやり取りしたことを思い出し、これまでの自作では気にしてこなかったが、おそらく今回のCPUとビデオカードでは電源容量が足りないんではないかと思って調べることに。
Core i7の電源容量についての説明と各種電源による電圧の比較がある。
http://www.dosv.jp/feature/0901/17.htm
こちらが参考その1。
http://homepage2.nifty.com/kamurai/power.html
極めつけはこれ。パソコン電源用必要ワット数計算機である。これで計算すると必要なワット最低398W、推奨448W。
ちなみにGateway GM5626の電源は300W。NVIDIAのGTX 580はビデオカード1つだけで280W近く消費するようなのでそれだけでアウトで、全く足りていないことがわかる。
ということで大容量の電源ユニットを探すことになったのというのも、ケースが決まっている場合に重要なのは電源ユニットのサイズで、サイズが違うとそもそもケースに入らないという事態に陥る。
この点、あらかじめGateway GM5626の電源ユニットのモデルを調べておく。といっても完成品パソコンなので説明書や仕様書にすら電源ユニットのメーカー、モデル名など記載されていない。そのため実際に取り出して電源ユニットのラベルを確認。BestecというメーカーのATX-300-12EB3 Rev:S2Rというモデル。該当モデルの仕様サイズと実測でダブルチェックをした上で、同じサイズの電源ユニットを探すことになる。
結局、ミニタワーレベルの電源ユニットではそもそも大容量のものが少なく、なんとか見つけた700Wでかつ80 PLUS認証のGoldを取得しているFSP AURUM GOLD 700 (AU-700)を購入。
結論から言うと、性能的には問題ないのだが、省スペースという観点からはプラグイン型の電源ケーブルが欲しいところであった。が、このサイズで適当なものはこれくらいしかなかったのでしょうがない。
■SSD
最後に、これはTTS4.0の性能要件には入っていないのだが、せっかくなのでハードディスクがシステム全体のボトルネックとならないようにSSDを導入する。
こちらを見ていただくとわかる通り、既存のHDDに比べるとSSDの速度は顕著に速い。
SSDとHDDとSDHCカードの速度比較
以下の比較記事でトップの性能をたたき出しているMushkinのものを購入。
Second-Gen SandForce: Seven 120 GB SSDs Rounded Up
これでパーツ類は揃い、あとは組み立てるだけとなった。
ディスカウント価格のアップグレード版を用意する予定がないのですね(´・ω・`)ガッカリ…
返信削除いやもう全体的にハイスペックで羨ましい。
TTSを動かしながら色々な作業もできますね。
ハードディスクの値が7.4だったんでSSDだというのは分かってましたが、うーん、イイなぁ。
しかしこち亀・・・。苦笑せざるを得ないですね(;^ω^)
フォーラムでもTTS3保有者にディスカウントもないというのには不満が上がっているようです。曰く、「TTS4の機能の8割はすでにTTS3で払ってるんだ」と。確かにTTS4を使ってみてもその通り(というかむしろ9割)ですし…。
返信削除仰るとおりTTS4が余裕で動くのが新しいスペックにして良かったところですね。以前は動作は重いわ、ハングアップは怖いわで、TTS3起動中はアプリ切り換えすら怖くてできませんでしたから。
このスペックだとデュアルディスプレイで片方にTTSの画面、もう片方にロードレースの映像をBGVとして流すこともできそうです。
はじめまして。いつもエントリを楽しみに拝見しています。
返信削除私もTACX Fortiusのユーザーです。
一つ質問させてください。ときどきハートレートの値がヘンになったりしませんか?
私の場合は、突然0になったり、一気に40も上下したりします。
目標ハートレートを設定したトレーニングの場合にはとても困ります。
同じ症状でお困りのようでしたら情報を交換させてください。
はじめまして。
返信削除ハートレートの値が異常値を出すのは私も経験したことがあります。
私はSUUNTOの心拍計を使ってますが、原因は接続か、電池切れのどちらかであることが多いです。
接続については、走り出す前に水を胸と心拍計につけて読み取りを上げること、ベルトを調整してきつめに胸に締めること、位置(上下、左右)を調整することで解決できると思います。電池切れについては、接続をしっかりしても値がぶれて、だんだんぶれが酷く、長くなってくるので電池寿命だとわかり交換しています。
以上、ご参考になりましたら幸いです。
お返事ありがとうございました。
返信削除私はポーラーの心拍計ですが、トランスミッタとの相性があるのでは?と疑っております。
TACXのフォーラムでもこの問題は取りあげられているのですが、これといった解決策は今のところないようです。
調子のよいときはなんの問題もないのですが、調子のわるい日はめちゃくちゃな値を出しまくって、全くトレーニングになりません。
NYの話題も楽しみに読ませていただいてます。昨年9月に久しぶりにニューヨークに行き、WTCの跡地なども見てきました。地下鉄の話題も面白かったです。これからもよろしくお願いします。
たしかにトランスミッタとの相性はありそうですね。そもそもBushidoと違って全くWirelessに見えないアナログっぽい操作ユニットで心拍を受信できた赤ランプが点ったときには安心しました。あまり根本的な解決策にはなっていないかもしれませんが、パワーベースのトレーニングにしてみてはいかがでしょうか。ある程度心拍のレベルとパワーレベルは連動しているので、例えばパワーのL4、パワーのL2といった形でWatt指定のトレーニングプログラムを組めば、対応する心拍と同様のトレーニング効果が得られるかと思います。
返信削除ニューヨークのブログなのに地元の話題が少なくて恐縮な限りです。。。近いうちに、ロードレースコースとしてのセントラルパークやプロスペクトパークの紹介等もできればと思ってます。うまく自転車と絡めてニューヨーク(や周辺地域)の今をお伝えしていければと思いますので今後ともよろしくお願いいたします。
4.0のインプレまだかな~と待っている間に
返信削除TTS3.9が出ていたので更新かけてみました。止まることなく全体の動作も処理書きなおした?
くらいに快適でした。ライセンスが異なるので3.9をノートパソコンに 4.0をデスクトップに
とか運用も可能ではないでしょうか
すみません、シーズン入りした上、クラッシュにまで巻き込まれてしまい…。TTS3.9良さそうですね。私もこれまでのノーパソにTTS3、新しく作ったデスクトップにTTS4を入れているのでどちらかのパソコンに故障が出たときのバックアップとしていけそうです。
返信削除ちなみにTTS4はやはりVirtual Reality以外は目新しい機能改善はほとんどないのでVRをしないのであればTTS3.9で十分だと思います。