Kodak SP360
ちなみにまず気になったのはKodakのSP360。
この360度パノラマ映像はまさに驚嘆。(※今回のエントリは動画の画質に注目しているため、回線が許すのであれば動画右下をクリックしてフルスクリーンにした上で、同じく動画右下にある設定アイコンから最高画質を選択してご覧ください)
球体のように見える360度サークルモードや横長に360度表示するパノラマモードの映像だけでなく、前と後ろを同時に録画したり、90度ずつ4つに区切って同時に録画したりとその可能性の多さには心惹かれる。
が、公式ページに掲載されている自転車の動画を見ると・・・。
前方を撮るモードしか使っておらず、確かに自転車用途としてはせっかくの360度の恩恵を受けることができなそうである。
そもそもハンドルバーにマウントすれば360度にしても自分の疲れた顔のアップが撮れるだけであるし、前方と(自分ではなく)後方も撮ろうと思えばヘルメットのてっぺんにでも載せることになるのだろうが、それはそれでポジションが動いたり頭の位置が変わるだけで映像がすごくぶれることになる。
それこそ下を向いた場合、地面と空が映るだけである。
つまりアクションカメラとしては魅力的で、それこそスカイスポーツやサーフィンなどでは面白い画が撮れるだろうが、こと前方移動に限られる自転車においてはその魅力を引き出せないのが辛いところである。
4年前のGoProはもう使えないかもしれない・・・
となると普通のアクションカメラになるのだが、前回掲載したビデオで気になる点がある。
というのも、4年前に撮ったものと今回撮ったもので見比べていただくと、明らかに今回のものの方が画質が悪い。
(上は4年前のもので下は今回のもの)
ここで思い当たるのは画面の解像度。(なお、画面解像度についてはWikipediaをご参照いただきたい)
4年前のものは元の映像の解像度はQVGA(1280x960)※、今回のものは解像度はFull HDの1080p(1920x1080)で撮っている。(※4年前のものはYouTubeに上げている動画ではGarmin VIRB Editの出力で480p(720x480)になっているが)
そして元の動画ファイルのビットレートをプロパティで見比べてみると・・・。
なんと・・・、解像度は違うのにビットレートが同じ12Mbpsだったのである・・・。
ビットレート
ビットレートとはbps(bit per second)で表記され、一秒間のデータ量を表している。
GoProのスペック表では、解像度とフレームレートしか表示されていないが、なんと4年前のバージョンでは解像度が違っても同じビットレートが適用されていたのである。
解像度が高くなればその分ピクセル数は多くなるのだが、一秒間のデータ量は変わらないのでその分1ピクセルに使えるデータ量は減り、結果として同ビットレートでは逆説的に解像度を上げるほど画面は汚くなってしまう。
映像関係については自分は素人でしかないので、詳細は以下のページをご覧いただければと思うが、そこでも説明されているように、ビットレートが足りていなければいくら解像度が高くなっても逆に画質は悪くなってしまう。
解像度・FPSとビットレートの関係
解像度による画質の変化
実際にこちらでサンプルが見られるが、解像度とフレームレートが高くてもビットレートが低いとその分ブロックノイズが増えて汚くなる。
ビットレートが足りていない場合の各解像度の比較例
LG G3
では試してみようと思っているLG G3のスマートフォンの動画性能はどうかというと、1080pの30fpsで動画を撮ったところビットレートは20Mbpsであった。
上記GoProの1080pは12Mbpsだったので約2倍のデータ量となっている。
ちなみに主なメディアのビットレートについてはこちらをご参考いただきたい。
動画の長さとビットレート(bps)の違いによる動画ファイルサイズ(容量)の変化
約12Mbpsというと「BS・110度CSデジタル放送の標準放送の品質」、20Mbpsでは15Mbps(「地上デジタル放送のハイビジョン放送の品質」)と23Mbps(「BS・110度CSデジタル放送のハイビジョン放送の品質」)の間ということになる。(実際は、リアルタイム圧縮の家庭用録画機器と違い、映像、放送メディアでは時間をかけてエンコードされているので同じデータ量でも画質は格段に良くなるが・・・)
さらにLG G3にはCamera Modがあり、Modを適用することでカメラの性能を向上させることができる。
How to Install Camera Mod on LG G3 for Improved Photo and Video Quality
こちらはMod適用後の動画ファイル。
1080pでの動画ファイルではビットレートが30Mbpsになっている。
ちなみにLG G3で撮った、Mod適用後の4K動画サンプルがアップロードされている。(※他の動画同様、こちらもフルスクリーンにして4K(2160p)でご覧ください)
さすがにSONYのFDR-AX100とは全然違うが、携帯でこれだけ綺麗な動画が撮れるのはびっくりで、自分もMod適用後に4Kで動画を撮影してみたところ、ちゃんと40Mbpsで撮られていた。
が、上記サンプル動画の落とし穴は、ほとんど動きがなく静止画に近いということ。
動きが多い動画になればなるほどビットレートが足りないと画質が悪くなるので、まさに自転車用途の動画としては解像度よりもビットレートの方に注意しないと汚い動画になってしまう。(さらにFDR-AX100も60fpsには対応していないので動きの遅い画のみにすることである意味誤魔化しが入っている)
ここで上述の動画をそれぞれまとめてみたのが下の表。
fpsはフレームレート(frame per second)、右から二番目の列は1フレームあたりのデータ量(Mbpsをfpsで除したもの)、一番右の列はピクセルあたりのデータ量(bit per pixel)でMbpfを一画面あたりのピクセル数で除したものになる。つまり、一番右の列の数字が大きければ大きいほど自転車向き(動きの多い動画向き)ということになる。
機器 | 解像度 | 横 | 縦 | ピクセル数 | Mbps | fps | Mbpf | bpp |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
GoPro | Full HD (1080p) | 1920 | 1080 | 2073600 | 11.71 | 29 | 0.40 | 0.19 |
GoPro | QVGA | 1280 | 960 | 1228800 | 11.71 | 29 | 0.40 | 0.33 |
LG G3 (標準) | Full HD (1080p) | 1920 | 1080 | 2073600 | 19.62 | 29 | 0.68 | 0.33 |
LG G3 (Mod適用後) | Full HD (1080p) | 1920 | 1080 | 2073600 | 29.48 | 29 | 1.02 | 0.49 |
LG G3 (Mod適用後) | 4K (2160p) | 3840 | 2160 | 8294400 | 39.37 | 29 | 1.36 | 0.16 |
他のアクションカム
となると他のアクションカムの性能も気になってくる。
こちらのギズモードの記事では、6種類ものアクションカムが比較された結果、Garmin VIRBは4位、1位はGoPro Hero 3+ Blackとなっている。
The Best Action Camera: Spring 2014 Edition
ただコメントにも書かれているように、この比較ではソニーのアクションカムのHDR-AS100Vが入っていない。
本体防滴化、50Mbpsの高ビットレート撮影に対応した“アクションカム”「HDR-AS100V」
50Mbpsの高ビットレートというとその画質の良さに期待が高まるが、最大50Mbpsの高ビットレート撮影はXAVC Sのコーデックによる撮影時のみ可能になるとのこと。
そしてXAVC SのコーデックはGarmin VIRB Editに対応していない可能性が高い。
もともとANT+の走行ログ情報をオーバーレイ表示させてトレーニングに有効活用するために検討しているので、当初の目的を忘れてアクションカムの性能だけ求めるのは愚の骨頂である(そうです、私のことです)。
公式ページのスペック表を見ると、XAVC Sではない(Garmin VIRB等と同フォーマットの)MP4の1080p撮影時には60fpsで28Mbps、30fpsで16Mbpsとなり、むしろビットレートだけみればLG G3の方が高性能になっている(もちろんレンズやセンサー等々もあるのでスマートフォンとは比較にならないが)。
なお、こちらのサイトに各種アクションカムのビットレート参考値が掲載されている。
Glossary: Action Camera Memory Cards Explained
やはりビットレートで見るとアクションカムの代名詞だけあってGoProの性能の良さが際立つ。
Garmin VIRBは20Mbpsほどで、性能的には悪くはないものの際だってもいない。
とりあえず、まずはLG G3をいじり倒してみて考えることにしよう・・・。
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