アメリカ本国で4月初に出荷が開始されたばかりのGarminのHUD(Heads Up Display)、Garmin Varia Vision。
先行しているものにRecon Jetがあるが、Recon Jetは本体にCPUやメモリ、カメラも備え、それ自体が小さいコンピュータと化しているのに対し、Varia Visionは単にサイコンの情報を表示するだけなので「リモートサブディスプレイ」という表現が一番適切であると思う。
ちゃんとフィットするのか不安があったが、使用後の返品保証もついているのでとりあえず試してみようとポチっとなしたのであった。
マウント
今回一番不安だったが秀逸だと思ったのはマウント方式。
HUDのウェアラブルスポーツデバイス分野では先行しているRecon Jetに比べて2つの点で優れている。
まずRecon Jetはサングラスと一体になっているため、既に愛用のアイウェアがある場合、そのアイウェアを使うことができなくなる。一方でVaria VisionはGarmin Edgeのサイコンマウントをそのままミニチュアにしたようなマウントになっているので、様々な形のアイウェアに装着可能となっている。さらに度入りのアイウェアをつけている人にとってもこのマウント方式によるメリットが大きいだろう。
自分の場合、むしろ愛用しているアイウェアをそのまま使い続けられることがカギだったためこのメリットは大きかったのである・・・。
次にRecon Jetは表示部が右側固定になっているが、Varia Visionは左右どちらにでも装着することができる。右側通行のアメリカでは、基本的に左後ろを向いて後方の車を確認するので右側固定で問題ないが、日本やイギリスのように左側通行の場合は逆に装着できた方が通常のライドでの安心感は上がると思われる。
そしてマウントの仕組みはGarmin Edgeでお馴染みの90度回転方式。様々なフレーム幅のアイウェアに対応するように長さの種類も十分。
ちなみにパソコンとの接続はUSB。充電もこれで行う。スマートフォン等に使われる汎用のものではなく、Garmin Varia Vision専用のコネクターになっている。
サイコンとの接続
サイコンとの接続は簡単で、Garmin Edge 520かGarmin Edge 1000であれば、スピードケイデンスセンサーやパワーメーターを接続するのと同じように、Varia Visionを接続することができる。そもそもANT+接続だからかすでにANT+を使っている人にとっては全く違和感なく接続できる。
ただ当たり前の話だが、クランクを回せば自動で起動するスピードケイデンスセンサーやパワーメーターと違い、Varia Visionの場合はVaria Vision側の電源を入れないと認識されないので注意が必要である。
表示項目
表示項目は、サイコン側で設定が可能。
自分の場合は一定ケイデンスと出力維持用のトレーニング用途だったため、表示する項目はケイデンスとパワー、タイムくらいが表示できれば十分。
表示項目は最大4つだが、もちろん1つや2つにしてその分大きく表示することも出来る。
それ以外にもルートナビゲーションで曲がる箇所の右左折を指示してくれたり、グラフ化された画面を表示してくれたり、Varia Raderで後ろから接近する車のアラートを出してくれたりもする。
後方確認時に視界を遮られるか
そして一番気になる点、ディスプレイの見え方については、良い意味で期待を裏切ってくれた。
まずヘッドアップディスプレイを使う前に思っていたことは、「実走で後方確認をするときに視界が遮られるのでは」ということだった。
自分の自転車に対する姿勢は安全第一なので、いくら新しいガジェットが面白かったとしても、それで交通事故の確率を高めるようなものでは意味がない。
ところが、結論から言えば、後方確認では全く問題ない(実走では試していないが、そもそも後方への視界が遮られない)。
直立姿勢では目の真横に伸びるVaria Visionの本体であるが、そもそも自転車に乗っているときは前傾姿勢になるため、前傾姿勢で右後ろを向く=直立姿勢では右下を見ている状態になるため、Varia Visionの本体に視界を遮られないのである。
つまり、前傾姿勢の乗車時にVaria Visionに視界を塞がれてしまうのは、右真上を見る場合くらいだが、そもそも乗車中に右真上を見ることなどないので問題にならないのである(ちなみにママチャリのようにほぼ直立姿勢で乗っている場合には遮られるかもしれないがそもそもママチャリでVaria Visionを使っていたら怖い・・・)。
ディスプレイの見え方
次にディスプレイの見え方であるが、こちらも良い意味で予想を裏切られた。
自転車雑誌にGarmin Varia Visionの広告が出ているが、その広告での「見え方」のイメージはこうなっている。
Varia Visionの向こう側にある景色は完全に塞がれてしまっている状態である。
ところが、表示部に視界を遮られるのは右目だけで、左目は普通に(右目では遮られている箇所が)見えているのである。
ということで、実際に両目で見た場合には、
こうではなく、
半透明でVaria Visionが透けて見えている状態になり、下のように見えることになる。
しかも、表示部分はバックライトで発光しているので、他の部分は普通に半透明で気にならないくらいになるが、表示部分は光っていてちゃんと見えるようになっている。
それでも慣れないうちは注意力散漫になったり、ついつい右側だけに見えているVaria Visionを追って顔も右を向いてしまったりするが、この半透明ディスプレイは良い見え方だと思う。
ところが・・・
と、ここまで良いことばかりだったのだが、自分の場合は決定的なデメリットがあった。
そもそも自分が愛用しているアイウェアは(古いモデルだが)Rudy ProjectのSportMaskやHyperMaskシリーズ。
前述したマウントのおかげでVaria Vision自体はマウントできるのだが、アイウェアが軽すぎるためにアイウェアを道連れにして落ちてしまう。
ちなみにHyperMaskの重量はたったの28グラム。
一方Varia Visionの重量は29グラム・・・。
しかもHyperMaskはフレームの耳掛け部分を折り曲げたり調整することができず、その軽さによって外れないようにしている構造なので、少しでも重いVaria Visionがついてしまうと簡単に外れて落ちてしまう。
この点、Magsterといった柄を折り曲げて調整可能なモデルでは、柄を耳の後ろにそってきつくフィットさせることで外れるまでには至らないのだが、常用しているSportMaskやHyperMaskが使えないとなると、そもそもVaria Visionを選んだ理由のひとつである「どんなアイウェアにもマウントできる」というメリットがなくなってしまう。
普通に立っているときにつけてみても、頷いただけで落ちてしまう状態なので、少しローラーで試してみようものなら簡単に外れてしまう。いわんや実走で振動でも加わったら・・・である(ところで、ローラーでVaria Visionを使おうとすると、室内でもアイウェアをかけなければいけないという変な感じになる)。
結局確実に外れるであろう実走はとてもではないができず、一度も外で使うことがないままDoesn't Fitとして返品することになったのである・・・。
スマートフォン等では、もっと薄く軽いディスプレイがあるので、単にリモートディスプレイとしてしか機能していないVaria Visionであれば、技術的にはもっと軽く、薄くできるのだと思う。それこそどんなアイウェアにでも影響ないくらいの軽さまで・・・。
ブログ拝見しました!
返信削除私も購入したのですが、ブログの中で同期できたサイクルメーターは海外販売のものでしょうか?edge1000Jとは同期ができませんでして…。
コメントありがとうございます。私は英語版のEdge 520で接続しましたが、接続する前にGarmin Express(PCのソフトウェア)でファームウェアをアップデートしています。ファームウェアのアップデートなしではうまく認識できませんでした。
削除ちなみにファームウェアですが、PC画面上でアップデート完了となっていても、PCから外したあとにVaria Vision側でインストール作業が始まるようで、当初はVaria Vision側のディスプレイを覗き込んでなかったのでそれ(インストール中であること)を知らずに電源ボタンを押して強制終了してしまい、インストールが途中でキャンセルされた状態になって認識できずに何回かインストールしなおしたことがありますので、同じ状態であればご注意ください。
お世話になります。
削除回答ありがとうございます!
Varia Visionファームウェアを行ってみて、1000Jと同期をトライしてみます!それでダメなら、海外版の520を購入したいとおもいます。アドバイスありがとうございます!
すみません、一点教えてください。
返信削除VariaVisionのバージョンアップはVariaVisionを付属のUSBケーブルでパソコンで繋いでGarminExpressから行ったのでしょうか?
先日購入したところ、Edge520でペアリングしようとしたらVariaVisionをバージョンアップしてくださいとメッセージが出たのでパソコンと繋いでみたところ、「デバイスまたはANT Stickが見つかりませんでした」と出てVariaVisionが検出されませんでした。
VariaVisionを覗き込むとUSBのアイコンが表示されてチャージも増えているので電源は供給出来ているのですが、デバイスとして認識されていないようです。
はい。付属のUSBケーブルでパソコンに接続してGarminExpressからバージョンアップを行いました。
削除私もEdge 520でペアリングしようとして「VariaVisionをバージョンアップしてください」というメッセージにしたがってバージョンアップしたのでそこまでは同じだと思います。私の場合、特に問題なくGarminExpress上で認識されてましたが、接続やバージョンアップデートもGarminExpress上からですので、GarminExpressのSyncコマンドなどで接続を更新してみてはいかがでしょうか。
また、VariaVisionではなくサイコン(Edge 800)の例ですが、以前USBハブ経由では充電しかできず、データフォルダがパソコンから認識されないことがあり、現在はパソコンのUSBポートに直接接続してますのでそちらもハブ経由の場合は試してみるとよいかもしれません。
不躾な質問にも関わらずご丁寧に回答頂きましてありがとうございます。
削除やはり何処かがおかしそうですね。
GARMIN EXPRESSを立ち上げて「デバイスの追加」の+ボタンをクリックしても見つけられません。
で、頂いた回答の後半部分を読んで、パソコン側でもVARIA VISIONが不明なデバイスとして正しく認識していないことがわかりました。
USBハブではないですが、パソコン側のUSBポートによって不明だったり大容量リムーバブルドライブ(正し開けない)だったりするので、もしかしたらケーブル不良かもしれないと思い、試しに補修アクセサリのクレードルケーブルを購入してみました。
届いたら試してみます。
パソコン側で認識されていないということなので、複数のケーブル、またはパソコンをお持ちの場合、他のケーブルや他のパソコンで試してみるのもありかと思います。私はデスクトップ以外にノートパソコンもあるので、接続が変なときは再起動の他に別のPCに繋げたりもしてます。
削除また、USBケーブルもものによって(特に最近のスマホやタブレット系では出力ボルトの違い等で)動作が変わるものもあるので試してみる価値はあると思います。