ドライブトレイン最重要理論

ロードバイクを最初に買うときに何を気にするか。

実際、自分が気にしたのは購入当時のページでも書いた通り、フレームであり、ディレイラーであった。

ところが乗っていくに従って注目する場所が変わってきた

乗り始めてから、まず何を最初にしたかというと、タイヤとホイールを履き替えた。

そして今ブレーキとスプロケットとクランクまで交換し始めた。
一方でディレイラーにはあまりこだわりがないし、シフターもユーザインタフェース(シマノのSTIなど)さえ問題なければ重要ではないと思っている。

そもそもブレーキとスプロケットとクランクをeBayで入札したときに、フロントディレイラーもリアディレイラーも一緒に入札したのだが後者二つは落札できなかった。前者3つについては他の入札者よりも自分が払ってもいいと思った額の方が高かったわけだが、後者二つについてはその逆だったわけである。つまりこれはどういうことかというと、他の入札者よりも自分はブレーキ、スプロケット、クランクには価値を置いているが、フロントディレイラー、リアディレイラーについては価値を置いていないということを表しているということを自覚した。

実際フロントディレイラーに50ドル、80ドルという高額がついていたが、フロントディレイラーにそんなに払う気になれない。
その根底思想的なものを自己考察していきたいと思う。


■ロードバイクで優先すべき部分

基本的な考え方は、ロードバイクを走らせるための駆動系を優先、重要に考えていくということである。

駆動系は英語のDrivetrainを意味優先で訳したものだが、辞書で調べると動力伝達系となっている。

つまりはエンジン(人間)から地面に繋がる部分であり、エンジン、シューズ、ペダル、クランク、ボトムブラケット、チェーンリング、チェーン、スプロケット、フリーハブ、スポーク、ホイール、タイヤ(チューブ)に至る一連の動力伝達パーツである。ちなみにエンジンの出力を最大限に引き出すためにも、ハンドル位置やシートポスト高などの調整は駆動系の一部と考えることができるかもしれない。

それ以外でも、フレームの剛性、重量は大事だし、ディレイラーの変速性能も大事だが、駆動系に比べれば重要性は落ちると思っている。

まず丁度上記で話題にしたフロントディレイラーについていえば、フロントディレイラーは(当たり前のことだが)フロント変速のためのパーツである。チェーンと終始噛み合い続けるスプロケットやチェーンリングと違い、フロントディレイラーの調整のときに見たように、変速のときにしかチェーンに接触することはない。逆に終始チェーンに接触しているのであれば、調整不良か、またはチェーンの角度に無理があるフロントとリアのギア比を使っているのであり、通常は、走行中(変速しないとき)にはチェーンとは接触しないものである。

それに対して自分が一番重要だと思っているタイヤ周りは、常に路面と接触している。タイヤのある一点が路面と接する回数(つまりはタイヤの回転数)を数えるとして、1分間にケイデンスが70回、ギア比が3だとすれば1時間のライドで12600回路面と接していることになる。1時間のライドでフロントディレイラーを切り替える回数に比べれば、文字通り桁違いの駆動頻度(ロードバイクを動かすためにそのパーツが使われる回数)になるわけである。

ペダルには常に力がかかっているし、クランク、チェーンリング、チェーン、スプロケット、フリーにしても上記タイヤと同じく数千回以上の駆動頻度がある。それに対し、フロントディレイラーにしろ、(フロントディレイラーよりは使用回数が多い)リアディレイラー※にしろ、駆動頻度で見ればその差は歴然である。これが、同じ金をかけるなら駆動系パーツに金をかける方がいいと思うゆえんである。

※ちなみにここでいうリアディレイラーは変速機能のことを指しているが、チェーン幅を調整している箇所、プーリーは駆動系の一部なので依然として重要であると考える。

ところがロードバイクの完成車にはドライブトレインよりも別の部分が強調され、金がかけられている感がある
クランクセットはチェーンリングの端数くらいしか記述されてないし、大事な部分だと思っているクランク長に至っても記載すらされていない。自分などは購入後にやっと170mmであることがわかった。スプロケットも歯数だけで、モデル(自分の場合はSRAMのOG-1070)も記載されていなかった。

ぶっちゃけフロンドディレイラーが全く動かなくても走ることはできるが、クランクが動かなかったら走れない
そのためロードバイクのパーツをいじるとなると、まずは駆動系をと思うわけである。


■ドライブトレインの中でも一番重要なパーツ

ではドライブトレインの中でも特に大切な部分はどこだろうか?

言うまでもなくエンジンである。

ロードバイクが車と違うのは、車は最高峰のF1カーと同じギア、速度で走れるものを手に入れようと思っても至難の技(金額が桁違いだし、そもそも素人では金を積んでも手に入らない)だが、ロードバイクは同じギア比のものが(車体の重量は違うにしろ)手に入れられるということである。それこそ高級自動車を買うつもりで自転車に金をかければ、フレーム、ホイール、タイヤレベルでも車でいうF1車並みのものが手に入る。

ではグランツール等のプロレースで走るロードレーサーと、自分含め一般のサイクル野郎との違いはなにか。プロロードレーサーをプロロードレーサーたらしめるものは何かを考えると、それは最終的にはエンジン、つまりロードレーサー自身の肉体であり運動能力であるのだと思う

同じギア、同じ重量でもエンジン次第でまったく速度が変わる。それがロードバイクである。
だからこそドライブトレインの中でも特にエンジンが最重要なのである。

また、ロードバイクの中でエンジンは最も重いパーツである。

高いロードバイクになればなるほど限界領域での軽量化を追求している。
たとえばデュラエースのディレイラーと105のディレイラーで、スプロケット本来の「ギアを切り替える」という点で、アマチュアのロードレーサーにとってどれだけタイムに違いが出るのだろうか。

おそらくアマチュアレベルにとっては影響がないレベルかもしれないし、そもそも人によっては違いがわからないかもしれない。

ただ実際にデュラエースのディレイラーは105のディレイラーよりも軽量化されている。スプロケットにしろクランクにしろ、上位モデルの方が基本的に下位モデルよりも重量面で差をつけている。

重量の差は数十グラム~数百グラムでしかないが、結局プロのレースではその差が大きな結果として現れるんだと思う。

が、ことアマチュアに至っては、うん万円もかけて数百グラム軽くするより、ちょっとダイエットした方がよっぽど効果出るよ。といいたいわけである。というか、むしろ自分自身に。

10kgの自転車を7kgの自転車に買い換えるのはとんでもなく高額になるだろうが、70kgの人が67kgに痩せるのは金をかけなくてもできる。そもそもUCIのルールでは6.8kgより軽い自転車は違反なのでそれ以上軽量化することはできないが、体重に限っては無駄な脂肪、筋肉がある限りいくらでも削り落とせる。あしたのジョー情報では、計量をパスするために体中の毛を剃ったり、歯を抜いたりしたボクサーがいたらしいが、そこまでしなくてもいいが体重を減らした方がよっぽど効率的だと思うわけである。

というわけでまずはエンジンを追求してそれから他のドライブトレイン部分をよくしていくというのが重要度の順番だという結論に達する。

重量についていえば、エンジンやシートは除くが、ドライブトレイン部分を100g軽くするのとそれ以外(いわゆる荷物)を100g軽くするのとでも全然効果が違うと思う。

ドライブトレイン部分は常に動かしているため、その重量軽重がダイレクトに駆動系に反映される。たとえばクランクやスプロケットが100g重くなった場合、実際にペダルを踏んでタイヤを回す際にも100g分重い部品を回すことになる。一方でフロントディレイラーが100g重くなっても、ロードバイクを走行させるための上物(荷物)が重くなるだけで、駆動系で直接動かす部品自体の重量が重くなるわけではない。

もし10kgのロードバイクがあって、フレームが3kg軽くなる代わりにチェーンが3kg重くなるとなれば、総重量は変わらなくてもペダルが重くなることはうけあいだろう。つまり軽量化するにしてもまずはドライブトレイン周りからということになるわけである。


0 件のコメント :

コメントを投稿