コンタドールのドーピング判定

今朝は週末のアラームから変えていなかったため寝坊してしまう。

夜には大事な日本人ローディーの集まり(仮)があるので朝しか練習はできないが、十分な時間が取れないのでTime Effective Cycling Trainingの中から短いトレーニングを選んで行う。VO2max20秒、レスト10秒を20本。時間は短いがけっこうきつかった。


話しは変わって、おそらくロードレースをされている方々にとって、今日はこの話題で持ちきりだろう。



スポーツ仲裁裁判所(CAS)によって、コンタドールのドーピング認定がされた。

問題になったのはクレンブテロール(clenbuterol)。喘息治療薬にも使われている物質である。

検出量は50ピコg/mlで、WADA(アンチドーピング委員会)のガイドラインの1/40であるが、UCIではクレンブテロールが検出されること自体をドーピング規定違反としているため、故意かどうかは別にして、検出があった時点でUCIの規定では違反になっておりライセンス停止の判定が下されていた。

今回の決着で、2010年のツール・ド・フランスと2011年のジロ・デ・イタリアの優勝も抹消された

元々、コンタドールは食事で提供された肉の中にクレンブテロールが含まれていたと主張していたが、故意かどうかに関わらず、禁止物質を摂取しないことは選手の自己責任ということがUSAC(全米自転車連盟)のルールにすら明記されている。もちろん、選手にしてみれば、チームのスタッフが用意した選手食をただ食べただけかもしれないが、プロである以上、「知らなかったから…」、「マネージャーが勝手に…」、「栄養管理士が…」というのも通用しない

もちろん、ごく微量であり、WADAのルール上では問題ない量であるが、UCIのルールでは違反となる。コンタドールは、UCIに所属するプロロードレーサー(しかもトップレベルの)である以上、UCIのルールに縛られるのはしょうがないことである。

ここのあたりは、競技によって違いもあるようで、コンタドールのクレンブテロールが検出された2010年7月の1ヶ月前にも、ドイツの卓球選手が中国で食べた豚肉に含まれていたクレンブテロールで出場停止処分にされたことがあったが、その際には、後日、誤摂取としてドイツ卓球協会から処分解除をされている。この点、ドーピング違反が多いことで問題になっているロードレースではその判定基準も厳しくなっていることはある意味当然かもしれない。ゲロルシュタイナーがドーピング問題が原因でスポンサーを降りたのも記憶に新しいように、観客・スポンサーの信頼、資金問題も含めたサイクルスポーツ全体の課題になっているといってもよい。



ドーピングを擁護するつもりはないが、今回のコンタドールの判定を知ったカンチェラーラのインタビューが印象に残った。



カンチェラーラの言うとおり、既に2012年のシーズンが始まっているのに、2010年のレース判定が今になって決まって遡及的に優勝を剥奪されるのは複雑である。コンタドールにしてみれば、2010年~2011年という2年間を無かったことにされたのも同然である。ちなみに、あくまで禁止薬物が検出されたことによる判定であって、ごく微量のクレンブテロールの摂取量自体がパフォーマンスに影響を与えるほどの効果はなかったであろうことはUCIも認めている。もし禁止薬物が検出されたことが違反ではなく、禁止薬物によって普段以上のパフォーマンスを引き出したことが違反になっていたのであれば、今回のコンタドールに対する判定とは逆の結果となっていたであろう。

アンディ・シュレクもカンチェラーラと同様のコメントをしており、やはりレースの結果はレースの場で決まるべきであって、1年半後に裁判所で決まるべきではない。選手にとっては、実際にレースの場で戦った結果が「真実の」結果であり、そこで勝ってこそ、本当の勝利を実感できるのであろう。


6 件のコメント :

  1. 残念な結果ですが、検出された人が処分されている現状、コンタドールだけ例外にするわけにはいかないでしょうね。
    そこは理解しているつもりですが、納得できない気分です。
    最悪の結果=「コンタドールの引退」ということにならないことを祈るだけです。

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  2. 白橙アクア2012年2月8日 16:26

    いつも楽しく見ています。
    この件は腹が立つやら悔しいやら…コンタドールだけが持つ、王者の風格あふれる走りを侮辱された気分です。
    それにランス・アームストロングの無罪発表と、まるでリンクするようなこのタイミングがなんとも…いやランスも好きなんですが…
    こうなったらブエルタで、他を圧倒する姿が見たいですね!

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  3. 初心者ロードレーサー2012年2月9日 1:17

    確かに、UCIも「パフォーマンスに影響を与える量ではなかった」と認めているのであれば、結局、違反物質の検出有無に限らずコンタドールの優勝は「実力の勝利」であったので、やりきれない部分があります。まあ、コンタドールの前向きなコメントが救いでしょうか。

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  4. 初心者ロードレーサー2012年2月9日 1:22

    私もやりきれないのは、(他の、明らかにドーピングになった選手に対して)コンタドールの摂取量はパフォーマンスに影響がないほど微量だったという点です。オペラシオン・プエルトや他のドーピング問題が度々騒がれている以上、WADAのガイドラインにひっかからないほどの微量とはいえ、UCIもかなりセンシティブになっているようですね。

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  5. Li Fuyu 選手(元 RadioShack)の一件もあるので、結果が出るのに時間が掛かった以外は今回のドーピング認定は当然かと思います。しかし、サイクリングのドーピング検査は度が過ぎる。

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  6. 初心者ロードレーサー2012年2月10日 3:07

    たしか李富玉の場合は半年も待たずに結果が出たんですよね。まあ今回はスペイン国内からスポーツ仲裁裁判所にまで発展したので時間がかかったんでしょうが。ちなみにコンタドールはスイス連邦裁判所への上訴も検討しているようで、完全決着にはまだまだ時間がかかるかもしれないですね…。

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