走っていくと、次第に他の参加者も集まってきて6輌くらい連なって集合地点を目指す。スタート地点ではすでに人があつまっている。
ここでゼッケンを服に付ける。ピンがなかったので、ちょっと強引ながら書類を止めるクリップ2つで固定。だが、このときにロードバイクを倒してしまう。よく動かなくなるコンピュータ(CateyeのCC300DW)がこの衝撃でまたずれて動かなくなったので、ちゃんと動くように測定機器の位置を修正。そのままスタート地点に向かう。
この時点でQue Sheet (道順の指示が書いてあるもの)をどこでもらうかわからず係りの人に聞くと、こっちの方にいけばもらえるとのこと。Que Sheetは出発前にもらってからスタート地点に並ぶと思っていたのだが、先にスタート地点に並んで、スタートライン手前で取れるようになっていたので、そのままスタート地点に並ぶ。
6時になってスタートするのだが、信号がセントラルパーク出口にあるので、信号が青になるたびに集団がスタートする感じ。結局自分がスタートしたのは6時15分ごろだった。
スタートした直後に股が違和感に襲われる。なんとサドルが大きく右側に曲がっているではありませんか。おそらくバイクを倒したときに曲がってしまったのだと思われる。スタート30mくらいで停止してサドルを直す。幸い力を入れればぐっと戻せるため、微妙にまっすぐにはならなかったが、ほぼまっすぐな状態にして走り始める。
まずはそのままWest End Avenueまで行って、そこをひたすら南下。早朝のManhattanは車も少なく、快調に飛ばしていく。
あれよあれよという間にBroad Wayに入り、City Hallに辿り付き、Brooklyn Bridgeを渡る。
朝焼けのBrooklyn Bridgeは曇り空の雲に朝日が射し込み絶妙なグラデーションを出していた。ScottのAddict集団がそこで止めて写真を撮っていたり、のんびりした感じであったが、まだまだ先は長いので降りることはせずに先を急いだ。Brooklynに入り、坂道をちょこちょこ越えていくと第一休憩所であるProspect Parkに到着。
ちなみに15マイルコースはここがゴール。こちらはあと90マイル(※100マイルコースは実質105マイルある)。先は長いのでバナナ一本とエナジードリンク一杯だけ飲んで早々に出発する。この時点で平均時速は21km程度。通常は時速25km~30kmで巡航しているが、やはり赤信号で逐次ストップしているためにここまで平均時速が下がっている。ただこの時間通りいけば休憩を入れても午後4時過ぎには到着できるのではという見積もりでいた。トラブルさえなかったならば・・・。
Brooklynのチャイナタウンである8番街の隣にある7番街を南に下り、馴染みの飲茶をニアミスして、そのまま海岸線(Shore Parkway)にでる。海岸線をひたすら走るが、朝日がまぶしく最高の天気。
海風に吹かれながら気持ちよく走っていき、第二休憩所のMarine Parkに到着。
公園ではけっこうパンク修理やタイヤの調整をしている人が多く、メカニック(自転車ショップの出張修理コーナー)もにぎわっていた。
そしてトイレ休憩をする。
仮設トイレがずれーっと並んでいるのだが、トイレに行く人も多いため結構並ぶ。さらにビブショーツは脱ぎにくい。というわけでトイレ休憩でけっこう時間がかかり、さらに朝食としてパンを食べて水を補給して出発。ここから55マイルコースと分かれて南の海岸線に向かう。
その途中でなんとローラーブレードで100マイルに挑戦している人を見る。
時速30kmで流している自転車と一緒に普通についてくるのはすごいと思った。
さらにさらに、足にチェーンのタトゥーをしている人も。
みんな走るのが好きなんだなぁー。
そんな風にバラエティーに富んだ参加者を見ながら走っているとGil Hodges Bridgeに到着。
料金所の隣を抜けてGil Hodges Bridgeを渡ります。
この橋は左右が狭く渡りにくい。なんと前にいたメタボ気味(というか完全メタボ)な女性が道を塞いでいて通れない。
この間に景色を楽しみつつ体でも休めようと思っていたが、さすがに遅すぎるので「On Your Left」といって抜かせてもらった。
橋を抜けるとそのまま海岸まで出ます。
道はかなり広く、自転車天国という感じ。
海岸を見ながらBeach 108th Streetを東へ進みます。
途中で一般の人が「What is it for?」と尋ねてくるのでNY Centuryで100マイル走るんだ的なことを話し、その人はスピードを上げて先へ。これだけならいい光景なのだが、その数分後に、その人が他の参加者とクラッシュ。後ろから見てもわかるほどに上空に投げ出されてかなり痛そうだった。幸いBinding Pedalではなかったので大事には至らなかったようだ。
海岸線を終えると次はJFK方面へむかって北上することに。そこが非常になだらかな上りが延々と続く状態になっていてかなり疲労した。
その時点でまだ55マイル(88km)。先は長いのだがかなり疲れる上、前後の人とも距離が離れ、幸い同じペースの人の後ろについて乗り切った。JFK離陸の飛行機を横目に見ながら、海外線から今度はロングアイランドを縦断することに。目指すは北のKissen Park。ここが今回の105マイルで一番きついアップダウンの連続。
時には一番軽いギアで時速一桁台で登ることも。精神ともに疲労してなんとかKissen Parkに。そこでトラックレース用のトラックを周れるので、一周する。人によっては何週もしているようだが、とりあえず先を急ぎたいので一周で終了したが、斜めになっているトラックは逆に速度を出してないと転倒しそうで怖かった。
そして公園の反対側にまわってKissen Parkの第三休憩所に。
サンドイッチを一つもらうがそれよりも水が足りない。水の補給所には長蛇の列ができ、やっと水を補給する。あとは膝がちょっと疲れてきていたので、もみもみマッサージ。
ここで55マイルを走ってる知り合いと電話で連絡を取る。順調に進んでいる旨伝えて早々に出発。しばらくアップダウンが続き、運命の森林ロードへ。ここでも坂が続き息が上がる。
自転車で坂を上るのは何のためか。それはその先に下りがあるからだ。スタート地点に戻ってくるようなコースでは、坂を上ればそれと同じだけ下りがある。逆に先に下ればあとでそのツケとして上りが待っている。残念ながら下りの方がスピードが出るぶん時間は短く、上りは長くかかるので辛く感じる時間は長いが、アップダウンが続くようなコースでは下りでつけた慣性で上ればそれだけ上りが楽になる。自転車とはよく言ったもので、自ら転がせてナンボなのだ。自動車は自ら動くが、自転車は自ら動かない。ただ転がすことはできる。慣性の法則をいかに利用して行くかが自転車の鉄則なのだと思った。そのため上りの途中で停車してゼロから坂道発進になるときつい。さらに辛いのは、上りのあとのご褒美であるはずの下りで停止したりすることだ。
そうこうしている内に人も少なく、森林道の中で自分ひとりで走っている状況になる。道路に書いてある矢印を見て進まないと迷ってしまう。ただそこでかなりの上り坂が来て、やっとの思いで上りきったら次は急な下り坂。上りのあとのご褒美の下りだと嬉しがり、喜々として下り、ここで今回の最高時速45.7kmが出る。そしてその刹那、前方で左に曲がっているような人影が見えた。まだ40km近く出ていたが、もしかして下りの直後に左折なのではと思い、木の葉で隠れている地面に目線を這わせ、矢印を確認しつつ(実際にはなかった)、左折を意識したからかハンドルを左に曲げてしまっており、速度が危険なのでブレーキを・・・。
その結果、まさしく後輪を固定し滑らせながら曲がるようなドリフト状態を作り出してしまい、しかも地面は昨晩の雨で濡れた葉っぱや小枝が敷き詰められている。しまったと思ったときはもう遅く、そのままハンドルの自由を失い、ハンドルが逆(右)に入った時点で急激なスリップをし、右半身を下にしたまま地面にザーーーーっと擦ってしまう。右腕に激痛が走り、足も痛い。幸い下敷きになっている右足のBindingは外れていたものの、左はくっついたまま。ただし、倒れた体勢で外そうとすると筋肉がつりそうになり思うように動けない。
しばらくそのまま倒れ伏していたのだが、ふと気付くと誰も通りかからない。もしかしてとうに道を間違えていたのではないか。などと思いをめぐらしつつ体力の回復を待つ。何とか左ペダルを下死点に持っていきBindingを外し起き上がる。まずは傷の確認。足は擦れているが出血は少ない。右腿も後ろの部分が赤くすれてしまっているが被害はそれほど大きくない。が、右ひじの裏側が真っ赤に染まっている。中央部分は神経が見えているのか赤ではなく白くなっている。しかも湿った土やら葉屑やらが引っ付いた状態になっているので水で洗い流す。このときはスポーツドリンクを入れずに水を入れてきててよかったと思った。
一通り洗い流したら傷の方は血小板の凝固作用に任せて自転車の方をチェックする。とりあえずチェーンがずれていて周らなくなっていたリアディレイラーとチェーンをうまく調整し元に戻す。そして案の定コンピュータの判定がいかれていたので直す。それ以外は自分が下敷きになったからかほぼ無傷だった。
どうやら道を間違えていたようで自転車を押しながら引き返す。途中で左折(戻っている自分から見たら右折)している自転車を何台か見かける。そこで地面を見ると左折のマークが。その間も何台か自転車が通るものの、中にはそのまま直進する人もいて、ここを左折するんだと教えてあげる。
そしてなんとかレースに復帰。右腕はずきずきしているが肝心の足は多少すったものの動くのでそのまま自転車を飛ばしていく。走りながら上述した転倒の原因を分析し、スピード、カーブ、ブレーキに気を付けるように心に誓う。そのあとまた、下りの直後に右折という場所があったが、あせらずゆっくりと進んでいった。
森林道を抜けて少し街中を走ると海岸沿いに出る。
右腕の痛みを噛み締めながら進んでいくと韓国語の看板やら見たことのある中国語の看板が・・・。どうやらSubwayで来たことがあるQueensのチャイナタウンであるFlushingについたようだ。そのまま橋を渡りさらに海岸沿いを走りラガーディア空港を横目に快調に飛ばしていく。途中でまた坂があったりして大変だったが集団の中にまざりつつ、さらに閑静な住宅街に入り、恐怖の森林道とは違ってスリップするようなものも落ちてないのでスイスイ進む。
そして空腹を感じるようになったころに第四休憩所のAstoria Parkに到着。
事故もあってかかなりお腹がすいていたので、パンとオレンジ、バナナ、ポテチなどを腹に入れて、足をもみもみマッサージして出発。ここを出るとTri Borough Bridgeを通って最後の区であるBronxに突入するが、その前にこのTriborough Bridge、なんと担いで渡らないといけない。
しょうがないのでみんなで担いで渡る。後ろの人からは右肘の傷を見て「すげえなぁ大丈夫か」などと声をかけられつつ、担ぐ部分を抜けて橋の上を走行。橋の上からの景色は相変わらず爽快だし、橋から降りるところもトンネル状になっていてすごく爽快だった。
ここで75マイルコースに変更するという手もあった。橋を降りたところで左右に分かれていて、左にいけば100マイルコースでBronx。右にいけば75マイルコースでそのままCentral Parkへ。実際、パンフレットには、「最後に上りが多いタフなBronxをもってきました」みたいなことが書いてあったのでどんな上りなのか心配だった。が、ここまで来たらなんとしてでもCentury Rideしてやるという意地があったのと、これまでの休憩所までの距離が、Kissen Parkまでが30マイル、その次のAstoria Parkまでが20マイル、次のBronxまでが15マイル。そして最後のCentral Parkまでが10マイルということで、段々短くなるように設定されているので、あのアップダウンを繰り返した地獄の30マイル、怪我をしつつも乗り越えた悪魔の20マイルに比べれば気合いでなんとかなるだろうと思い、そのままBronxへ一直線。
実はBronxは初体験で、これまでは車で通り過ぎたことしかなかった。初BronxがCentury Rideなんてステキじゃないかと思いつつ街並みを楽しむ。やはり随分雰囲気が変わり、いわゆる肌が茶色だったり黒い人が多く、そこらかしこで音楽が流れている。しかもラテン系だったりの。でも公道で走りやすく、それなりに坂道は多いものの、すでに怪我を経てハイになっていたので、ハムストリングを全開にして爆走。
途中公園の中を川沿いに北上する。途中黒人のにーちゃんが子供を超小型バイクに乗せて二人乗りして楽しんでいた。
Bronx Zooの前を通って最後の休憩所であるVan Cortland Parkに到着。Van Cortland Parkでは100マイルの人しか止まらないためか、これまでの休憩所に比べてこじんまりとしていて、バナナと水を補給。既に4時半ごろになっていて、このままでは5時ごろになりそうだなと思いつつ早々に出発。
Bronxを抜けてついにManhattanへ。といってもManhattanは西側が長く北にせり出しているので、まだ丁目的には2XX Street。あと100 Street分以上南下せねば・・・。
Manhattanの名前の由来はアメリカ先住民のデラウェア語である"丘の多い島"から来ているそうで、やはりアップダウンが大きいがその都度最後の力を振り絞って走る。レンガのあぜ道も多くガタガタ揺れてタイヤも心配ながら、計測コンピュータがずれるずれる。もう総走行距離165km(既に100マイル達成している)を越えたあたりからは、集団についていきつつズレを直すこともできず、ぐちゃぐちゃな計測のまま走る。
そして120丁目を過ぎて、ゴールである110丁目まであと数Streetというところで異変が・・・。後輪がカタカタ変な音を立てている。もしかしてまたコンピュータがずれてスポークにかすってるのではないかと思ったけどどうやらパンクしてしまっているようだ。今日だけでも、これまでパンク修理をしている人を何度も見かけたが、ついにここまで来てパンクしたのかなぁなどと思っていると、もうあと3丁目分。ここで自転車を降りてパンクの修理をするのはもったいないのでこのまま集団について走ってついにゴール。
ちなみに後で確認してわかったのだが、今回のパンクはリム打ちでなく、何か(?)が貫通した模様。タイヤとチューブの中央(路面と接触する中心)付近に一つだけちっちゃい穴が開いてしまっていた。マンハッタンもセントラルパークより北、特にハーレム付近は治安も悪く路面状況もそれなり(というか何か落ちてることが多い)で、交通も悪い。やっぱり走るならクイーンズやブルックリンのサイクリングロードか閑静な住宅街がいいなぁーと思うのだった。
同じ頃にゴールした人と写真を撮り合って、記念品のTシャツとボトルをもらう。
さらにフルーツやスナックも置いてあるので、リンゴとオレンジとクッキーをもらう。かなり汗をかいていて、傷の治療もしたいので早く家に帰りたかったが、水道管が設置されていたので、喉を潤すとともに自転車の汚れを洗い流す。ゴール直前にかなりSPD-SLのビンディングペダルが堅く、外れにくくなっていたが、この洗浄で泥も流され外しやすくなった。既に夕方で5番街も車で渋滞していたので、スピードは出さずにゆっくりと走って帰宅した。
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