競輪学校の技能試験の項目にもなっているスプリント距離である。
ということで今回はそんな話し。
■レース開始前
天気を確認。少し肌寒いが絶好のレース日和である。
いつも通り会場へ行く。
今週は雨の月曜を除いて毎朝プロスペクトパークをレースと同じ周回走っていたので気分的にも慣れた感じである。というか平日は5時台には走り始めているので6時半から始まるレースはすでに普段よりも遅い開始となっており、そのおかげで体もきっちり目覚めている。
受付では人数が多いからか、同じカテゴリでもアルファベット分けで複数の受付が設けられていた。
準備をするレーサー達。自分も今回からジャケットを着ずにジャージだけにしているのでジャージに貼り付ける。ちなみにジャージ1枚だけだと、背中にゼッケンを付ける際に脱ぐことになるので、上半身の裸を晒すことになる。実際にそういう人もいたが、自分はそれも考えて下にTシャツを着ていった。こういうとき知り合いやチームメンバーがいると貼り合えるのでいいのだろう。
レース開始5分前に「Riders to the line」コール。今回は参加者が多い。というか暖かくなってきたからだろうが、実力はあっても寒いときはレースに参加してない人もいると思うので、全体的にレースのレベルが上がるものだと睨んでいる。
スタートラインに並ぶ。中には明らかにゼッケンの貼り方が間違ってる人も。というか入賞する気なさそうだ。
ちなみにスタート&ゴールラインでは順位確認用の写真判定用ビデオ撮影&「~ LAPS TO GO」の「残りあと~周」表示まである。というかこれまでのレースと違って人数が多いだけにちゃんとしてる。
先頭のProクラスまで一斉に並んでいるのでかなりの人である。およそ250人ほど(自分の後ろにもまだいる)。写真中央のマイヨ・ジョーヌ(イエロージャージ)を着ているのがCat5のレースリーダー。
■レース概要(主観編)
そしてレース開始。今回Mastersはなく、Pro/1-2-3とCat4、Cat5だけでそれぞれ2分おきにスタートするので6:34にスタート。
これまでは7周だったが今回のシリーズは5周と短い。セントラルパークで言えば3周弱。
と、いきなり最初の丘を文字通りヒルクライムしたところで側道に避けている自転車が3台ほど。おそらく前にスタートしたCat4でクラッシュが起こったのだろう。
一昨日のエントリで述べた通り50人の大集団となっているためできるだけ前の方につけたいのだが、集団の流れの中に入ると単独で前に出にくい。集団内での前進、後退を繰り返しながらだいたい1周目と2周目で15~20位前後をキープ。
2周目ほどなくしてCat4の集団から千切れてきたロードレーサーを抜いて集団は進む。
タイムを見ると1周8分28秒。これまでの7周のレースではだいたい速いときで8分40秒台、遅いときで9分以上かかっていたのでかなり速いペースだ。
ただ感覚的にはそれほど速く感じず、むしろ集団の中でのポジション調整のために足を止めてケイデンス0にしている区間も多々あった。さらにゴールライン手前でかなり失速して遅いペースになることもあり、周囲のロードレーサー達も「遅いなぁ」と言っているときがあった。
以下、1周あたりのタイムが20秒ほど遅かった4月3日のレースと比較してもケイデンスを休める機会が多かったことがわかる。
そんなこんなで4周まで何事もなく進む。ペースはこれまでのレースに比べればよっぽど速いし、ラフィーもいつの間にか千切れていなくなっており、50人の集団も半分近くに振り落とされていたが、早朝実走トレーニングとReynolds SDV66 Tのホイールの効果もあり、精神的には消耗しすぎることもなく先頭集団につけていくことができた。
そしてファイナルラップ。ヒルクライムで先頭集団後方に控えていた地元チームジャージのメンバーが一気に先頭に出てくる。
ヒルクライムを終えたところで前を走っていた2人がそれより前の集団と5メートル近く離れてしまっていたので、一気に追い抜いて前の集団に追いつく。やはりまだ自分の脚は残っているようだ。
このままペースを上げていくのかと思いきや、また集団のスピードが落ちて後ろのロードレーサー達も追いついてきてしまう。集団は一つの意志で動いているように見えるときもあるが、先頭交代や牽制で意志が統一されていないときもあり、今回はその傾向が顕著だったと思う。
下りのコースに入る手前で右足のシューズに何かが擦れてきた。
それが右後ろを走っているレーサーの前輪だと認識した直後、コントロールを失った彼が2台ほど巻き込んで右後方でクラッシュ発生。
幸い自分はコントロールを失わずに済んだし(これが自分の後輪と接触していたらまずかったかもしれない)、特にぶれることなく直進しており、向こうの方からあたってきたのだが、クラッシュの原因の一端となってしまったことには心苦しかった。
感傷に浸る間もなく集団は最終パートに入る。自分は先頭から5番~10番前後をキープ。
実は残り1km地点を今週の早朝実走ライドで確認しており、昨日(金曜)のトレーニングで5周走った後の残り1kmからスプリントしてゴールラインまで持続できたことを確認済み。
1kmというのは冒頭で書いた通り、競輪学校入学時の技能試験の一つでもあり、卒業試験項目にもなっている。実際に98回入学生の記録も公表されている(※PDFリンク)。
ということで残り1000m付近で周りのロードレーサーもちらほら動き出したので自分も一気に捲りに入る。
残り600mほどで先頭のロードレーサーを抜いて先頭に。そのままペダルを回し続けて残り400mでまだ先頭。
しかし、このまま突っ切れるかと思ったところで脚が一気に重くなってスピードが落ちていく。まるで弱虫ペダルの御堂筋翔くんのように「脚が!?ハァ!?動かん?……」という感じである。
残り300m。後ろから脚を溜めていたレーサー達が短距離スプリントで捲ってくる。
脚がきれてしまった自分はそのまま抜かれて結局入賞できず…。無念。
■レース分析(客観編)
さて、感覚的には疲れていないと思っていたのだが、帰宅してからログを分析すると実際はかなり疲労していたことがわかった。
以下、以前のレースと比べると、平均心拍数、最大心拍数ともに感覚的なもの以上に疲労していることがわかる。周回数が少ないとはいえ全体的にタイムも上がっているし、ファイナルラップでは平均時速40.8kmに達している。セントラルパークに換算すると1周14分15秒で走る速さである。
日付 | ラップ | タイム | 平均速度(mph) | 最高速度(mph) | 平均心拍数(bpm) | 最高心拍数(bpm) |
---|---|---|---|---|---|---|
4/3/2011 | 1 | 0:08:46 | 23.2 | 36.8 | 163 | 177 |
4/3/2011 | 2 | 0:08:49 | 22.9 | 53.6 | 170 | 179 |
4/3/2011 | 3 | 0:09:06 | 22.3 | 33.1 | 167 | 177 |
4/3/2011 | 4 | 0:09:00 | 22.6 | 32.9 | 164 | 177 |
4/3/2011 | 5 | 0:08:40 | 23.4 | 44.2 | 166 | 181 |
4/3/2011 | 6 | 0:09:15 | 22 | 34.8 | 159 | 175 |
4/3/2011 | 7 | 0:08:49 | 23 | 38.1 | 180 | 187 |
4/3/2011 | Summary | 1:02:27 | 22.8 | 53.6 | 166 | 187 |
4/30/2011 | 1 | 0:08:28 | 23.8 | 36.2 | 161 | 177 |
4/30/2011 | 2 | 0:08:28 | 23.9 | 35.2 | 165 | 179 |
4/30/2011 | 3 | 0:08:25 | 24 | 37.1 | 170 | 186 |
4/30/2011 | 4 | 0:08:14 | 24.6 | 34.3 | 168 | 185 |
4/30/2011 | 5 | 0:07:56 | 25.5 | 37.4 | 182 | 200 |
4/30/2011 | Summary | 0:41:32 | 24.4 | 37.4 | 169 | 200 |
本番効果もあってアドレナリンが出ているからなのか、感覚的には疲れていなかったのだが、実際の筋肉は1000mのスプリントに耐えられるだけの力が残っていなかったということであろう。
特にレース本番では普段の練習と精神状況が違うので、感覚的な疲れと実際の体の疲れの乖離が大きくなる。今回はその違いがモロに判断ミスとして出てしまったといえる。
また、最後の300mでスプリントしてきた集団に捲られてしまったことからも、1000mでもまだスプリント開始が早いのかもしれない。
ちなみに、そもそもこれまで一位狙いで捲ろうとしてきたスタイル自体がマズかったのだと思う。以前のレースも含めて、途中で先頭になるが、最後に捲られるというパターンが2回もあった。むしろ一位狙いを捨てて、入賞狙いで走った方が良い結果が出るのではないのかと思うに至ったわけである。
単独で前に出ずに、前回入賞したような実力者の後ろについて走れば1人でタイミングを間違えて失敗することもない。また、ギリギリまでドラフティングの恩恵も受けることができる。さらに残り200mや本当にゴールラインの手前でまだ余力があればゴールライン直前で差せばよい。つまりは競輪でいう番手の勝ち方のスタイルとなる。
ということで、今後は基礎力を伸ばしつつ短距離スプリントを中心にトレーニングを行い、次のレースからは戦略を変えていきたいと思う。
■レースの是非に関する考察
一方で、レースに対する不安も抱くようになった。
というのは、「クラッシュ率高すぎ」ということである。
最初のレースでクラッシュに巻き込まれた他、セントラルパークでも複数を巻き込む大クラッシュが。今回もCat4でいきなりクラッシュがあったし、自分が現場にいたファイナルラップでのクラッシュもあった。
というか、クラッシュが発生する日の方が発生しない日よりも多い気がする。
自分の体、特に脚に怪我を負って走れなくなればロードバイクに乗ることさえできなくなるかもしれないし、スポンサーからの提供を受けるプロと違い、高額なロードバイクやホイールがクラッシュで使い物にならなくなる可能性が高いことも痛い。
例えば、危険な道を走っていると「ここを走ってるといつかは事故に遭うんだろうな」と思うことがあるだろうが、同じく、「レースに参加し続けるといつかはクラッシュに巻き込まれるんだろうな」と思う(というか既に巻き込まれているが)。
この点、レース用ロードバイクに乗る以上はレースに参加したいという気持ちも強い。
レース用ロードバイクに乗っていてレースをしないのは、F1カーでドライブしかしないような違和感がある。
例えば、雑多な一般道を走って近所のスーパーに買い物に行くにはママチャリが一番である。ロードバイクで買い物に行こうものなら、スピードが出すぎて逆に危険であるし、自転車を停めておけるスタンドも付いていないし、買い物カゴもないし、泥よけもないし、そもそもスーパーの駐輪場に停めておいたら盗難される確率も高いだろう。もちろん夕方の混雑するスーパー内にロードバイクを持って入って買い物することなどできない。どれをとってもママチャリに惨敗である。一方でママチャリをレースに使うには、材質も重ければ余計なパーツもつきすぎていてスピードも出ないので役に立たない。
ママチャリをママチャリ用途に使わず、レース用ロードバイクをレースに使わないのは、ハサミで爪を切り、爪切りで紙を切るようなものである。
通勤なら泥よけ付きのクロスバイクの方が実用性が高いし、ファンライドならクロスバイクやコンフォート系ロードバイクで十分である。サイクリングなら輪行もできて走行性能も高いBike Fridayのようなロード型折り畳み自転車の方が機動性に富んでいる。例えばブルベ(Brevet de Randonneur)ではその名の通り、PBPが開催されるフランス発祥でブルベ用に作られたランドナーというツーリング用自転車がある(現在はツーリング用ロードバイクのような形でロードバイクの大カテゴリに入っていることが多い)。
タイムを競うためのレース用ロードバイクでタイムを競う必要のない目的にしか使わないことはもったいないというか、せっかく速く走るために作られたロードバイクに申し訳ないと思う。ロードバイクにしろママチャリにしろ、本来の用途に使うということには用の美さえ感じる。
となると「クラッシュを回避しつつレースを楽しむ」ということになるが、その解決策としては「できるだけ先頭集団に入る」しかないのだと思う。
先頭を走っているときはもちろん、先頭数名の中にいるときは間違いなく集団の中に埋もれているときに比べてクラッシュに巻き込まれるリスクが低くなる。
一方で大集団によるドラフティング効果の恩恵に預かりにくかったり、先頭ローテーションによる消耗度も高い。
結局は先頭集団で集団を引っ張って走れるだけの実力を身につけなければいけないということになる。
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