私がTacx(Fortius, Genius)からCycleOps(PowerBeam Pro)に乗り換えた理由(ワケ):Tacxのバグとサポートと諦めと

かなり昔の話しになってしまうが、今なら全てのカタがついた後でまとめて書けるし、ちょうどコメント欄でTacxの故障話しも出ているところなので、PC連動型トレーナー、Tacxとの顛末を記載しておきたいと思う。


Tacxとのこれまで

自分がTacxを導入した経緯や機能紹介等については以下の過去エントリをご参考いただきたい。

まずはTacx Fortiusを導入し・・・

  パワーメーター付き固定ローラー台

  TacxのPC連動型固定ローラー台比較

  Tacx Fortius Multiplayerのセットアップ

  Tacx Trainer Software 3の機能

  Catalystの自動強度調整機能

何度も不具合に悩まされ・・・

  Tacx Trainer Software 3の不具合

  Tacx Trainer softwareの強制終了エラー

  TacxのTTSデータ整理と暖冬

重いソフトウェアを動作させるためにパソコンの新設までして・・・

  TTS4.0への道(THE WAY OF THE TACX)第一回:Tacx Training Software 4.0登場

それでもTacxを使い続けたあの日々・・・

  Tacx Training Software 4.2 前編:TTSの使える機能、使えない機能

それをあざ笑うかのように「ソフトウェアのせいでOSの機能が制限される」というバグを出すTacx・・・

  Tacx Training Software 4.2 中編:アップグレードエラー

Tacx Fortiusの故障

ところが一昨年(2012年)の9月末、Tacx Fortiusの負荷ユニット部分(モーターの負荷制御をしているPowerBackユニットと、ブレーキユニットの2つがある)が故障してしまう

パソコンでは認識するものの負荷が全くかからないため、普通のローラーとしても役に立たない状態。

負荷ユニットのみの購入も可能か調べてみるが、PowerBackユニット単体で380ドル、ブレーキユニットで260ドルもしてしまう。そもそも負荷ユニット以外の部分で壊れているかもしれないし、また故障するリスクを抱えて旧型のユニットを合計640ドルも出して買うのにはかなり抵抗がある。(簡単に言うと、負荷ユニットだけ交換しても直らない場合は640ドルをドブに捨てることになる

そのため、Fortiusを直すくらいなら別のPC連動ローラー台を買うことにする

他にもPC連動ローラー台はあるのだが、「広告通り動きさえすれば」(ここ重要!!)Tacxの機能は素晴らしくTTSで使う用のGoogle Map年間ライセンスも支払ってしまった後なので、Tacx最新モデルのGeniusをドイツのオンラインショップから買った

ハードウェアの問題も多かったFortiusであったが、数年を経て出た新モデルならハードウェア(特に負荷モーター部)の改善もされているのだろうという期待も込めてであった。

が、そんな期待をした自分がバカだったということを間もなくして思い知ることになる・・・

Tacx Geniusの悲劇

数週間待ち続けて満を持して届いたTacx Genius。



外見はFortiusよりもかなり洗練されているし、Fortiusのようにモーター部と負荷ユニット部が分離していないのでスッキリしている。

日本では公式に代理店がない上に電圧も対応していないにも関わらず、説明書には日本語も書かれている。



期待を持ちながら箱から取り出していく。



欧州電圧のため変圧器も含めて一通りセットアップしてパソコンとの接続へ。



Geniusでは、ANT+のモーターと、パソコンのUSBポートに挿すUSBドングルとで無線接続ができ、Fortiusと違ってコードが邪魔にならない。



といってもANT+はTacx専用で他のANT+対応機器(Garminのサイコン等)ではパワー値などを受信することはできない

さらにコードが邪魔にならないと書くとメリットのように思えるが、そもそもユニットの認識性能が悪く、きちんと認識されているかというバグ発生箇所が増えただけでデメリットにしかならない



しかもそれをTacx自体認識しているからか、USBドングルをモーターの近くにまで持ってくるためのUSB延長ケーブルまで付属されている。



それでもフォーラムでは接続できない事例が多数報告されており、中には延長ケーブルを使ってモーターの真横にまで置いてやっと認識したというユーザまでいて、そもそも無線接続のメリットが失われている



自分のユニットも認識しなかったりと不安定な状態を繰り返したが、試行錯誤しながらもなんとか接続完了。

TTS4自体はFortiusで何度も使ってきた(そして何度もハングアップした)ソフトウェアだけあって使い方は問題ないので早速試しに走ってみる。

走り始めると普通に負荷がかかる。

ちゃんと動いてくれている・・・が、特にFortiusに比べてなにが違うというわけでもない。

しかし、段々負荷を上げて100Wを超えたあたりで一気にモーターが空回りして負荷がかからなくなってしまい、出力も0W、ケイデンスも0rpmの表示になる

何度も接続を確認しても、何度トライしても同じ症状が続く・・・。

まさか買った直後でこんなことになるとは・・・。

途方に暮れながら公式フォーラムで問題の症状を探す・・・。

Geniusの初期不良

公式フォーラムを探すと同じような症状にあっている人が多数いた。

Tacx側もその問題を認識しているらしく、わざわざモーターリセットのプログラムまで配布しているので自分も早速使ってみる。



が、効果なし。

ブレーキユニットのヒューズまで確認するが問題なし。まあヒューズがついてる分だけFortiusよりマシになっているのかもしれないが・・・。



さらにフォーラムにはそれが効果があった人もいれば効果が無かった人もいるので、同じように効果がなかった人の症状と比べてみる。

すると、同じ症状が出ている人の共通点が浮かんでくる・・・

それは「海外から(特にアメリカに)輸入して買っている人」

原因は定かではないが、フォーラムのコメントによると「Custom Magnet」(税関検査時の強力マグネット)のせいでモーターの内部がやられる可能性が高いらしい。

フォーラムの他のユーザの状況を見るに、自分の場合も半ば諦めつつも、藁にもすがる思いでTacxのカスタマーサポートに連絡をとる。

しばらくメールでのやり取りが続いたあと、リアルタイム接続してTacxのサポートスタッフが直接パソコンの接続状態をチェックしてくれるとのこと。

オランダからなのでアメリカ東海岸とオランダでの時差を考えながらそれぞれの時間帯で都合がつく時間をメールで確認してサポート予定をセットアップ

物理的にモーターが故障していれば打つ手なしなのだが、それでも外部からモーターの設定をリセットするプログラムもあるくらいなので、最後の期待をかけたのであった。

オランダ本国からのリアルタイムサポート

当日、パソコンの前で待機。

指定された時間にメールが来て、案内されたウェブサイトに接続するとブラウザのプラグインが走ってリモートアクセスができるようになる。

チャットウインドウ付きリモートデスクトップのようなもので、チャットウインドウで会話しながらオランダにいるサポートスタッフに自分のパソコンを操作してもらう。

彼がTacxのウェブサイト上にあるスタッフ用のページらしき場所に接続し、例のモーター設定リセットプログラム的なものを走らせる。

TTS4を起動して、「100Wを超えると負荷がかからなくなってケイデンスも出力も0になる」という問題について、彼の(リモートで)見ている前で再現してみせる



彼がパソコンを操作し、TTS4を動かしつつ、自分はロードバイクにまたがった状態でしばらく試す。

「漕いでみて、出力上げてみて」で空回り事象が発生、「また漕いでみて」といった感じで何回か繰り返す。

が、結局解決はせず。

しばらくTacx側のテクニカルスタッフで話しがされたあと、初期不良という判定が下され、販売会社に返品することになった。



Tacxに関してはその作り自体に不満がいっぱいで、本エントリもTacxを批判するような内容になってしまっているものの、リモートサポートという仕組みとサポートスタッフの対応は好感が持てるものであったことを付記しておきたい


ドイツに返品

購入したドイツの販売会社に、Tacxのサポートスタッフとのやりとりも伝えた上で、返品を申し出る。

向こうの案内に従って発送。

ただ、かなり重いので郵便局から発送するだけでも大変であった。

さらにドイツは税関が厳しいらしく、荷物のトラッキングして配送状況をチェックしていると、ドイツ税関で指し止めされたまま止まってしまった

曰く、受取人による連絡が必要とのこと。

相次ぐ高額バイオリン没収のニュースでドイツ税関が厳しいのは知っていたが返品でもこんな目に遭うとは。

結局配送までに2週間、初期不良の試行錯誤&オンラインサポートで1週間強、返品でさらに5週間かかり、2ヶ月以上もの時間を取られてしまい、その間の固定ローラーは1up USAを使ってペダルを回していた。

2012年の9月末にFortiusの故障が起こってからもう12月・・・。

新しいPC連動型トレーナーでパワートレーニングや勾配再現トレーニングができるのはいつになることやら・・・。

さらば、Tacx

もうTacxはこりごり。

たとえて言うなら、これまで何度も浮気をされた相手をその都度許して我慢してきたけど遂に愛想が尽きた状態




Geniusも結局Foritusと変わらずバグだらけ。さらにフォーラムで他のユーザが書いていた通り、「これだけ多くの人がソフトウェアとハードウェアのバグに悩まされ所期不良も発生している中で改善もリコールもしない」という会社としての対応に嫌気がさしてしまった。

今回の事象も「そもそもこういった事例が公式フォーラムで多数報告されているのだから、注意喚起なり海外発送禁止措置なり取ればいいのにしない」というのも、Tacx側の対応次第で回避できたトラブルという点ではその通りである。

さらに何度も悩まされたソフトウェアのバグが酷かった

ソフトウェアはTTS3からTTS4にアップグレードされても、変わったのはグラフィックといった目新しい新機能のみで、本当にユーザにとって役に立つ、ソフトウェアの重さやバグの解消といった大事な部分は変わらず外見だけ着飾ったが中身(というより重要な屋台骨)はボロボロのままという状態。



アップグレードするたびにソフトウェアが起動しなくなりこれまでのログや作成したルート、トレーニングプログラムが全部消え、トレーニングを始めて追い込んでいる途中にソフトウェアがハングアップ。ログも残らないということが何度も起こった・・・。

ソフトウェアの重さの1つに無駄にファイルサイズがでかいということもある。1時間程度のトレーニングプログラムでもファイルサイズは数メガに達する。同じトレーニングをGarminで記録するとログは数十キロで100分1以下。ログを別のパソコンのTTSで取り込んでみるとわかるが(ちなみに取り込むだけでも重くてハングアップしたりする)、作成したユーザ情報やユーザの画像といったメタデータも個々のログファイルに全て保存されている。ユーザの画像などといったアカウント情報は、サーバで統一管理していれば個々のログになど保存する必要はないのに、である。

つまり毎日走れば1年で同じ画像やデータを365個も重複コピーして、Tacxを起動するたびに全部毎回読み込んでいるので、そりゃあ重くなるわけである

元SEとしてはそこのあたりの稚拙さも手伝ってやはりもうこのバグだらけのソフトウェアとハードウェアを信用できなくなってしまった。

というわけでTacx以外の候補の検討を始めたのであった。

10 件のコメント :

  1. うわー、Tacx Bushidoを使用している自分も思い当たる箇所が幾つもあります(>_<)
    TacxのPC連動ローラー台って何か新しいことをやろうとすると必ずと言っていいほどトラブルに陥るんですよね。
    しかもいつまで経ってもそのトラブルが殆ど解決されない。
    自分はもう解決するための試行錯誤に疲れたんでTTSは3.6バージョンのまま、使用する機能はカタリストのみに限定しております。
    新しいPC連動ローラー台も欲しいですが結構な額のお金も掛かるし、また失敗したらなぁと思うと中々踏ん切りが付かないです。
    しかしこれだけ多くの問題が世界中で発生しているのに一向に改善傾向が見られないTacx側の対応は酷すぎますよね・・・( ´Д`)=3

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  2. ここで、TACX=峰不二子論を提案したいと思います(笑。
    ルパンがいつもその魅力に引き寄せられて大枚をはたいたあげく、期待した成果が得られるどころか、かえって肘鉄を食らわされるごとく、我々もTACXにはいつもやられっぱなしなのです orz
    かくいう私もTTS4などという新しいお宝に投資したばかりであります。

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  3. Tacxたのしそうだなー引っ越したら買おうかっなーって思ってたけどここまでダメダメだとためらってしまう。
    まあ、もうそろそろ春なのでトレーナーの時期は終わりかな。

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  4. 初心者ロードレーサー2014年2月22日 3:35

    それは正しい選択だと思います。Catalystしか使わないならTTSは3.6バージョンで十分ですね。
    自分はそれでもログを溜めすぎると動作が重くなっていったので、こまめに書き出して都度削除していってました。
    ただTTS4のストリートビューで仮想実走できる機能は今でも良かったなぁと思ってます(他のメーカーのシミュレーションでは対応してないので・・・)。一方でGoogle Earthのライセンス料を顧客負担にしてるのは、他のメーカーがそうしていない以上やはりこれまたTacx批判につながってしまうのですが・・・。

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  5. 初心者ロードレーサー2014年2月22日 3:38

    おお!気付きませんでしたが、まさに峰不二子ですね。
    次元派の自分としてはいつも騙される役はもうこりごりといったところでしょうか(笑)
    TTS4・・・、いまだにソフトウェアだけインストールされたままになってます。当時のログとかトレーニングプログラムとか見て(今のVirtualTraining用に)複製したいニーズもあるので・・・。

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  6. 初心者ロードレーサー2014年2月22日 3:39

    実走できる環境にあるならやはり実走が一番だと思います。まあレースのコースシミュレーションはそれでも役に立つ機能ですが、どうしてもローラー台だと再現できない部分が多々ありますしね。

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  7. 乗り納めかなーと思いながら、1週間ぶりにTACXでエクササイズ。
    なんと今日はトラブルレス!
    この1週間、新しいローラーの話ばかりしていたから、捨てられると思って従順にしているのか?
    イカンイカン。峰不二子とはもう付き合わないと決めたのだった。

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  8. 初心者ロードレーサー2014年2月25日 4:07

    いやいや、不二子に騙されちゃいかんですよ。そうやってアメとムチを使って誘惑するのがやつの汚いところです。信じて信じて最後の最後で大どんでん返しというのがいつものパターンじゃないですか。ってルパンはそもそも「裏切れることも含めて受け入れている」のかもしれませんが、、、私にはそこまでの度量はありませぬ。

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  9.  i voltexを使用してから2年近くなりましたがバージョンも最新にして使用しています。
    また最新にしませんと一年更新のグーグルアースとマルチプレイヤーが使用できなくなるようです。
     最初は設置時にPCと繋げずにボルテックスのみで設定するようになっているのにそれがわからず、いきなり繋ごうとして繋がらないままで苦労しました。
    その後は電圧を230Vにするため電圧を昇圧していますが、本体部分のLEDが赤のままで緑に変わらず無線の電波がPCと接続できずに苦労しましたが、これも単純でボルテックスの電源コードを本体から抜き再度指し直すと使用できるようになります。
     ハンドルの位置表示する確かブラックバーンでしたか?これも中々認識せずに苦労しましたが自分でばらして見たところ丸くて平たい磁石が(直径2cmくらい)本来付いている場所から外れて下に落ちていました。ちゃんと貼り直すと認識しました。ただし本体についているクリップのようなばねが取り付けできず取り付けないまま使用しています。
     またPCのビデオカード、CPU、メモリー搭載ギガにシビアなところはあるようです。

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    1. 追記レポートありがとうございます。
      やはりけっこう面倒くさいようですね。購入者側でバラして直さないと認識しないほどセンシティブな作りはこれだけ高価な商品にしては粗雑な感があります。せめて宣伝してる内容がストレスフリーで使えるようにして欲しいものです。

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