ロードバイクビンディングペダル比較:Look Keoペダル 実走編

前回はパーツの写真と重さを紹介したLook Keoのペダルについて、実際にライドして比較してみた

比較のテストライドといっても、風洞実験やどこかのメーカーが行うような厳密なものにはしていない。あくまで自分が乗ってみてタイムを計った比較であり、むしろ素人のテストライドの結果の方が信頼しやすいものになると思っている。

例えば(雨や強風ならともかく)普通の天気によるちょっとした風の違い、ちょっとした体調の違い、朝何を食べたか等の朝食の違いなどは一般のロードバイク乗りにとって普通に起こる「違い」である。新しいペダルを導入してタイムが上がらず、「効果が出なかったんだけど」とメーカーに文句を言ったとして、その回答が「まったく同じ天気、温度、風速、風向、路面状況、体調で走れば効果がでるはずです」と言われたとしても、そんな「全く同じ環境」での比較実験など一般人にはできない。逆に他の条件が全く同じという環境が整わなければ違いが実感できない程度のものであれば効果がないのと一緒なのである。

ロードバイクのパーツ交換に求めたいものは、乗ってみて「おっ、全然違う」という驚きと感動と喜びであり、「なんかよくわからないけど良くなったのかも」というようなプラシーボ効果的なものを求めているのではないと思う。


というわけで上記を踏まえてライドした条件は以下のようにしている。

 ・プロスペクトパーク(一周5.44km)を同じスタート/フィニッシュ地点で8周※する。
  (※プロスペクトパークのUCACレースで、Category 4のレース距離と同じ)

 ・天気は晴れで温度も同じ程度。もちろん雨や強風など明らかに天候状況が違うときは避ける。

 ・ペダル以外のロードバイクのセッティング、パーツは全て同じにする。

 ・最初にLook Keo Carbon Bladeペダル、次にLook Keo Easyペダルで走る。

 ・最初のライドの影響が出ないよう、筋肉痛等が完全に回復してから次のライドをする。


もちろん数日あいているので路面状況は全く同じではなく、砂利が多いなどの違いがあるかもしれないが、上述の通り、その程度で違いがわからなくなる程度のものであれば、「相違なし」という結論を出して良いレベルだと思い、上記条件でライドをしてみた。

以下が結果である。

PedalDateLapTime平均速度(km/h)Cadence (Avg)HR (Avg)
Keo Blade6/5/2010110:1231.8 79167
Keo Blade6/5/2010210:1730.9 77172
Keo Blade6/5/2010310:3230.1 68171
Keo Blade6/5/2010410:4330.1 68170
Keo Blade6/5/2010510:3530.4 69174
Keo Blade6/5/2010610:4230.2 69175
Keo Blade6/5/2010710:5129.8 76174
Keo Blade6/5/2010810:0231.2 71183
Keo Blade6/8/2010110:3130.9 73170
Keo Blade6/8/2010210:5229.8 66168
Keo Blade6/8/2010310:4829.4 68170
Keo Blade6/8/2010410:5029.9 70173
Keo Blade6/8/2010510:5129.4 69171
Keo Blade6/8/2010610:5029.3 67170
Keo Blade6/8/2010710:3729.8 62172
Keo Blade6/8/2010810:3030.9 60177
Keo Easy6/15/2010110:2531.0 73170
Keo Easy6/15/2010210:3730.4 65174
Keo Easy6/15/2010310:3130.7 67177
Keo Easy6/15/2010410:2731.0 69179
Keo Easy6/15/2010510:3730.2 67178
Keo Easy6/15/2010610:4130.1 71179
Keo Easy6/15/2010710:3330.2 67180
Keo Easy6/15/201089:5732.5 68185
Keo Easy7/4/2010110:4630.1 77168
Keo Easy7/4/2010210:3830.4 67173
Keo Easy7/4/2010310:3629.9 71174
Keo Easy7/4/2010410:4430.2 67175
Keo Easy7/4/2010510:4530.1 71174
Keo Easy7/4/2010610:4229.6 70175
Keo Easy7/4/2010710:5029.9 72173
Keo Easy7/4/201089:5332.2 68185


単に並べただけではわかりにくいので、1周の平均心拍数が同じだった周回をまとめて比較してみる。

PedalDateLapTime平均速度(km/h)Cadence (Avg)HR (Avg)
Keo Blade6/8/2010410:5029.9 70173
Keo Easy7/4/2010210:3830.4 67173
Keo Easy7/4/2010710:5029.9 72173
Keo Blade6/5/2010510:3530.4 69174
Keo Blade6/5/2010710:5129.8 76174
Keo Easy6/15/2010210:3730.4 65174
Keo Easy7/4/2010310:3629.9 71174
Keo Easy7/4/2010510:4530.1 71174
Keo Blade6/5/2010610:4230.2 69175
Keo Easy7/4/2010410:4430.2 67175
Keo Easy7/4/2010610:4229.6 70175
Keo Blade6/8/2010810:3030.9 60177
Keo Easy6/15/2010310:3130.7 67177



結論からいうと・・・「変わらない」

最上位モデルでも最下位モデルでもほとんど変化はなし
つまり、少なくともアマチュアや趣味でロードバイクに乗る限りは、ペダルの重さによるタイムの違いはほとんどないと考えてよいと思う。というかShimanoのペダルが、ペダルの中ではかなり重い部類に入っているのも、そもそもペダルの重量による違いはそこまで効果をもたらさないからではないだろうか。そのためDura-Aceペダルといってもあんなに重く、代わりに剛性や踏みやすさといった重量以外の面で勝負しているのだと思う。

ではフィーリングやペダルの回しやすさという面ではどうだろうか、という点で感想を書いて行きたいと思う。


■Look Keo Blade

とりあえずLookの最上位モデルということだが、やはりセールスポイントにしているだけあって驚きの軽さである。一方で、ペダルの形だが、ShimanoのSPD-SL系やKeo Easyのような二等辺三角形ではなく、どちらかといえば丸縁の四角形に近い。ペダルの軽さも相まってか、キャッチしにくい面がある。

そのため、実質的にはセンチュリー程度も走っていないのに、Keo Bladeの裏面のLookロゴが擦れてしまっていた。つまりこれは、意識せずにクリートを合わせようとすると裏面をキャッチしてしまうことがあるということである。



16nmのカーボンブレードについては問題なし。むしろDura-AceのPD-8710よりよっぽど軽く、外そうと思って力を入れなくてもずらせば外れてくれる。というか本当に12nmは必要ないだろうというイメージ。


■Look Keo Easy

一方、Keo Easyは本当にEasyだった。というのもめちゃくちゃ軽い(重量ではなく填めるときのスプリングが)。これまでのビンディングペダルは、「クリートをペダルに置く(先端を噛み合わせてポジションを確保)」、「足を押し込んでクリートをペダルにはめ込む」という装着の仕方だったが、Keo Easyに至っては、最初の、ポジションを合わせてクリートをペダルの上に置いた段階で既にカチャっとはまってしまう

擬音的には、ShimanoのSPD-SLが「バチン」であればKeo Bladeは「パチッ」、Keo Easyは「カチャ」というイメージである。

というか自分は初めてビンディングペダルにした際に一度だけ立ちゴケしたことがあるが、そのときこのKeo Easyを使ってたら立ちゴケすることはなかっただろう。なんというか信号待ちとかで、赤信号なり黄信号が見えたら「ペダルを外して止まる」という意識があるものだが、Keo Easyでは「止まる」と意識さえすればいつの間にか外れていたという感じである。

そういう点ではビンディングペダルをこれから始める人にぜひオススメしたいペダルである。

一方、かといって通常走行で外れるかというとそんなこともなかった。ただもがくようなダンシングをする際はちょっと怖いと思う。実際に自分もダンシングをしたときはビンディングが外れやしないかと意識が行ってしまった。あとビンディング具合がちょっと緩いように感じる。特に引き足時にクリートとペダルが一体ではなく、少しクリートが浮き上がるような感覚がある


というわけで、ビンディングペダル初心者であればLook Keo Easyをオススメ。既に慣れている人で自分に合うペダルを求めている人には次回のTimeの記事を参考にしていただきたい。


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