早速実検証。これまでShimano、Lookと経験してきた中でついにTimeペダルに手を出してみた。
最高位モデルのTime Iclic Titan Carbonペダル。重さは実測182グラム。
その他のモデル。左からTime Iclic Fiberflexと、Time Iclic Racer。
裏側。
横から。
Timeのクリート。片方30グラム。
クリートを装着した状態。Look、Shimanoのクリートよりも大きめでがっしりした感じ。
Titan Carbonを装着した状態。
ちなみにチタンシャフトは内幅が厚い。
そのため使う六角レンチのサイズも異なる。チタンシャフトでないFiberflexとRacerは大きい方を使う。
タイム(ブランド名ではなく1周の時間)が縮まるかどうかについて
前回Lookで詳細な走行記録を掲載したのと同様、Timeペダルになっても、そしてTimeのどのモデルでもタイムに大きく違いがでるような効果はなかった。つまり、結局ペダル選びというものは、重さ第一主義よりも、剛性や踏みやすさなどの面でどれだけ自分に合っているかで選ぶのが一番だと思う。
Timeの踏み心地について
というわけでTimeでもLookでもShimanoでもどのモデルでもタイムに違いがでないのであれば、では踏み心地はどうなのかということである。
結論から言うと、パーツ交換に対する小さな驚きと感動がそこにはあった。
ShimanoからLookに変えたときはなかった違いであった。
で、その違いを書くには、まずはそもそものビンディングペダルの歴史をおさらいしなければならない。
ビンディングペダルの歴史
詳細はスピードプレイのウェブサイトにまとめられているので参照して欲しい。
まず、1970年、チネリが初のビンディングペダルを開発するが、市場には浸透しなかった。そして1984年、Lookが初めて商業的に成功したビンディングペダル、PP65を開発。この時点から既に三角形の3穴型クリートになっている。1987年にLookがレース向けの次世代モデルとしてPP75を発表。
そして元LookにいたRoland Cattinが1987年に独立してTimeを設立、1988年に初のフロート機構があるペダルTBTを発表した。
一方、ShimanoはLookペダルをパテント購入してPD-7401を1987年に開発。このモデルは廃盤になってからもランス・アームストロングが2001年まで愛用していたことでも有名。
そしてそれまで固定式ビンディングペダル(クリート)が主流だったが、Timeがフローティングタイプを出してからは、LookもShimanoもフローティング型を出すようになった。ところが、Timeのパテントの関係もあってか、Timeのフローティング型はLookやShimanoと機構が違っており、動き方にも特徴がある。
ということで、LookとLookのライセンスから始まったShimanoは同様の機構。一方TimeはわざわざLookから独立してペダルを作っただけあって、Look、Shimanoとは一線を画したペダル仕様になっている。
Timeのフローティング機構
Look、Shimanoのフローティングタイプが、中心を軸として斜めに○度といった感じで動くの対し、Timeは斜めはもちろん、水平(左右)にも動かすことができる。さらに、一番大きいのは、Look、Shimanoが一度斜めに動かしたらそのままなのに対し、Timeの場合は、元に戻ろうとする力が働くのである。
これは大きな違いであり、もともと自分がFixedの固定式クリートを使っていたのも、Look、Shimanoのフローティング式では、ずれたらそのままで、元々クリート取り付け時にセットしたベストポジションからずれてしまうためだった。
Look、Shimanoのフローティング式は、角度がずれてしまったらベストポジションからずれてしまう。言い換えれば、せっかくクリート取り付け時に試行錯誤してセットしたベストポジションの意味がなくなってしまうのである。
一方、Look、Shimanoの固定式は、常にクリートのベストポジションを維持できる一方、少しでもずらすことができない。ペダルを踏む時と引き足時で多少なりとも足の位置は変わってくるし(そもそも使ってる筋肉が大腿四頭筋とハムストリングスで異なる)、コーナーや直線時などで動きも変わってくるので、常に固定されているということは足首や膝に過剰な負担をかけてしまうことになる。
この点、Timeであればフローティング式なので必要であれば動かして足の負担を軽減できる一方、ずれたら元のポジションに戻る機能があるため、一旦ベストポジションを見つけてクリートを取り付けてしまえば、クリートの角度をずらしたとしても常にベストポジションに戻ってペダリングができる。
結局ペダルの向き、不向きは人それぞれなので、どれが一番とは言えないが、少なくとも自分にとってはTimeの使いやすさに感動した。長かったペダル比較に決着を見た感じである。
Timeのどのモデルを選ぶか
さて、Timeのうちどのモデルがいいかであるが、今回、最上位モデルのIclicのTitan Carbonから、Time Iclic Racer、その下のモデルとなるTime Iclic Fiberflexまで試してみた。
モデルの違いについては冒頭で紹介したペダル比較一覧を見てもらえばよいが、重量的に言えばIclic Titan CarbonはLookのKeo Bladeよりも軽い182グラム。Iclic RacerとIclic Fiberflexは、Iclic Racerの方がカーボン板を使っているものの重量は同じ260グラム。というわけで重量はIclic Titan Carbonに一票。
一方、カラーリングは、Iclic Titan Carbonが黒赤、はIclic Racerがペダルでは珍しい白、Iclic Fiberflexは黒。レッド系が多い昨今のロードバイクではやはりIclic Titan Carbonだろうが、ブルー・ホワイト系のTrek Madone 6.9 Pro 2009年モデルにはIclic Racerのホワイトが合う。カラーリングではIclic Racerに一票。
ここまでで1対1といったところだが、もう一つ、決定的な違いがある。
それはビンディングペダル装着時のペダル位置である。
基本的にビンディングペダルは、踏み込み面が手前(つま先部分が上)を向くように重量配分がされている。これはShimanoもLookもTimeも同様である。
しかし、中には上を向きにくいものと向きやすいものがある。
そしてTimeのIclic Titan Carbonは軽すぎるからか、ペダルの前部分と後ろ部分にそれほど重量差がなく、すぐに上を向いてくれない。
前回記事にしたが、これはLookのKeo Bladeも同様で、Keo Bladeに至っては裏面を踏んでしまってLookのロゴが擦れてしまった。
その差がよくわかるようにビデオに撮ってみたので比較してみて欲しい。
まずはIclic Titan Carbon。
次はIclic Racer。ちなみにIclic Fiberflexも(重量が同じということもあり)ほぼ同様の動き。
明らかにIclic Racerの方がはめやすい。確かにプロスペクトパークを走っている間は「ペダルを外す」ということがないので関係ない部分だが、少なくとも自宅からプロスペクトパークに行くまでに公道を通るので何度も信号待ちで着脱を繰り返すし、そんな理由で万一、交通事故にでもあったら、いくらトレーニングしても鍛えた筋肉がパアになってしまうので安全面的にもはめやすいに越したことはない。なのではめやすさ、安全面からもIclic Racerに一票。
というわけで、重量以外はIclic Racerの方が自分には合っていることがわかったが、結局ペダルの重量差は自分の場合タイムに影響しないことがこれまでのテストライドで発覚しているので、重量が軽いという点もメリットにならない。なのでIclic Racerに決定。
Iclic Racerを装着してみる。やはりブルー・ホワイトのマドンには白いペダルが似合う。
Timeのクリートについて
Timeのクリートは、クリートもネジも柔らかい印象を受ける。
ShimanoのSPD-SLペダル(PD-7801)のときのイメージできつく締めてしまったが、なんと締めている途中で「バキッ」という音がした。
何の音かと思ってクリートを見てみると・・・
ネジ山からプッチンと取れちまってる Σ( ̄□ ̄;)
とりあえず動揺しつつもネットでネジ山が取れた場合の対処方法を探してみる。が、ネジ山が潰れたときの対応方法ばかりでネジ山自体が取れちまった時の対応方法が見つからない。というか自分でもこんな事態は初めてだ。
ところが冷静に考えてみると、少しでもネジが出てればプライヤでつまんでグリグリ回してやれば取れるんじゃないかと思ってやってみる。
ちょっと苦しいががんばって回してやるとなんとか出てきた。
クリートもこんな感じでへこんでしまい、ネジにトルクをかけすぎてしまったことがわかる。
ちなみにShimanoと違ってずいぶんTimeのIclicははめやすい。カチッという感じではまってしまう。なのでそんなにきつくクリートを締める必要もない。以前ShimanoのSPD-SLのときに、ビンディングペダルをはずそうとしたらクリートがずれてしまい、ペダルをはずすのにかなり苦労した経験があるので、Timeでもきつく締めすぎてしまったようだ。
追記
iclicの次々世代モデル、Xpressoのレビューはこちらから。
はじめまして。
返信削除TIME ICLICのクリートを検索しているとこちらにたどり着きました。
現在ICLIC カーボンを使用しています。
このペダル使用当時から貴殿と同じ悩み(ペダルがなかなか上を向かない)を抱えており
解決策を模索しておりました。TIME本社や購入店のWiggleに問い合わせても
解決してくれるような返事も無し。
ネット上を探しても結局わからず・・・・
こうなったら自分で分解して調整するしかない・・・と思い、ネジ部分であるはずのベアリングキャップ
を回しても全く開けることができませんでした。
とりあえず分解方法だけでも・・・と思い再度TIME本社に問い合わせると「瞬間接着剤で固定している」
との有力情報をゲット。
そこまでわかれば、まず接着剤を溶かすためネジ部にアセトンを数滴垂らし接着剤を溶かしてからキャップを
パイプレンチで回すと見事分解に成功!!(キャップの回す向きは左右で違います)
分解して判ったのですが、回転が重い(渋い)原因はベアリングの回転に問題がありました。
このペダルに使われているベアリングはベアリング内部にゴミ等の混入を防ぐためシールタイプのベアリングが
使われています。このシール材の嵌め合いがきついためベアリングそのものの回転が非常に重たくなっています。
��MAVICのホイールに使われているのもと同じタイプ)
メンテナンスフリーを第一に考えた結果このベアリングを使ったのだと思います。
私はメンテナンス性よりペダルキャッチを確実に行いたかったのでベアリングのシール材を外してしまいました。
明らかに回転の軽くなったベアリングを元の状態に組み立てると、やっと理想の回転になりペダルを指で弾くだけで
クルクル・・・・ちょっと回り過ぎかな?と思うくらいです。
組立の際ベアリングキャップは軽く指で締める程度で十分。接着剤で止めなくても緩むことはありません。
ベアリングのシール材を外していますが砂埃等が入ってがりガリガリすることもなく全くメンテナンスフリーです。
もしまだシャフトの回転に不満を持たれているようでしたら一度お試しください。
長々とすみませんでした。
discusさん、はじめまして。
返信削除非常に詳しく、かつ貴重な情報ありがとうございます。私は今はIclicのTitan Carbonペダルを使っているのでまさに同じ状況です。まあもう慣れてしまいましたし、ペダルの重量はどうでもいいという気になってきたので元々回転の軽いIclic Racerでもいいかなぁと思ってますが。ただ、Eurobikeで発表された新型のXpressoが気になるところです。Xpressoの回転もIclicを踏襲してるのかとか…。
まだIclic2も取り上げていないですし、またブログでTimeペダルのエントリをしていきたいと思いますのでよろしくお願いします。
ツーリングしながらもよく歩くので、現在はMTB用のSPDシューズを使用していますが、この度カーボンバイクを購入したきっかけにペダルもツーリング専用にSPD‐SLに変更しようと思いあれこれネット検索してTIMEが良いとの情報からこのページにたどり着きました。
返信削除とても分かり易く非常に参考になりました。今度のバイクは白が基調なのでこちらの情報yからIclic Racerの白に決めました。
次はシューズ探しです^^;
コメントありがとうございます。お役に立ちましたようでなによりです。最近は新しいモデルでXpressoというのも出て、私も早速手に入れてしまいました。またブログでご紹介できればと思いますのでよろしくお願いします。
返信削除Xpressoの使い心地やIclicとの違いなどレビューしていただけると嬉しいです!
返信削除記事、楽しみにしています。
実はまだ手元にあるものの、Xpressoはインストールしておらず、今週中に試してみる予定なのでまた使い慣れてきたらレビューしたいと思います。
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