「ツール・ド・フランス」の名を冠した?さいたまクリテリウムに対する海外の反応

来年も開催される見込みらしい。

  日本版ツール・ド・フランス「さいたまクリテリウム」今年も10月下旬に開催 さいたま市がASOと調印へ

そういえばちょうど去年日本に帰ったときに買った雑誌でも特集されていて(後に予算面の赤字問題が出たものの)誌面ではさいたまを走った選手たちもレースも絶賛、かなり好評に書かれていた



一方でFacebookのコメントなどを見ると酷評も目立つ。

そもそも、大会の売りの1つのように取り上げられている「ツール・ド・フランスの名を冠している」というのはかな~り微妙である。

  世界初「ツールドフランス」の名を冠したクリテリウム・レースが日本の埼玉で開催決定!

ツール・ド・フランスよりも伝統のあるクラシックレースはもちろん、例えばフランスに対抗心を燃やしているイタリア。彼らにとってはジロ・デ・イタリアのことを「イタリアのツール・ド・フランス」なんて呼ばれたら怒り心頭だろう。





つまり、ツール・ド・フランスの名を借りないと人を呼べない状況を恥じこそすれ、誇るようなことではないということである。ちなみにヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアはもちろん、台湾、マレーシア、中国※ですらそんなことはしてない。※各国では、それぞれツール・ド・台湾、ツアー・オブ・チンハイレイク、ツール・ド・ランカウイの超級カテゴリー(UCIアジアツアーの最上位)ステージレースが行われている。ちなみにツアー・オブ・ジャパンはその下のクラス1カテゴリー。

ブエルタ・ア・エスパーニャも、ツール・ド・スイスも、現地の発音(母語)がそのままアルファベット(日本の場合はカタカナ)で表記され、その名に自国への誇りすら感じられるのに、わざわざフランスのレースの名を冠してしまうところが、畑中選手が同レースについて自身のブログで触れている「外国かぶれは嫌いだなー」というコメントにも表されているのかもしれない。(台湾でも前述の「ツール・ド・台湾」は日本語訳で、現地の正式名称は「國際自由車環台賽」)

ツアー・オブ・ジャパンもこれに倣うなら、日本語で、「日本の旅」という名称にした方が斬新で受けるかもしれない。(もはやレースの名称というより旅番組のタイトルにしか見えなくもないが)

ちなみに海外のフォーラム等々の反応は以下の通り。

基本的にジャパンマネーで行われた茶番劇に批判的である。

  • No uci points, no honor, nothing, just a fat paycheck for the riders - these aren't even training race

  • A couple of hours wasted for me!

  • After the TdF nobody is going to Japan to race. Then, how are you going to get the worlds top pros to come ride around circles in October - in Japan - MONEY

  • It's a fake race to see the stars, there are plenty of real races around, just don't expect an exhibition race to be a real race

  • all the stupid Japanese fans don't know any different and actually think they're seeing a real race, is a mockery.


中には冷静に理解を示している人もいる。

  • Its not cheating. Cyclists are professionals, that is, they ride bikes for a job. They earn money like any other worker. Anyone who thinks they race for trophies or podium photos is a little naïve. Trophies don't pay rent or put food in your kids mouths.These post TDF criteriums are run on a contract basis, that is, appearance money. They don't get paid for winning. They get paid to turn up and ride.


これがプロレスやサーカスと同じ興行なら、日本だけじゃなくてもっと世界中でやって自転車サーカスを広めればいいのにという反応もある。

ただ自分個人の意見としては、茶番だろうがパレードレースごっこだろうが、同じ税金を使うなら他のスポーツに税金使うよりは自転車に使ってもらった方が自転車界としては嬉しいのでバンバン続けて欲しいといったところだろうか。

税金を使われている県民(特に全く自転車に興味がない人)には複雑かもしれないが、これが「本物の」ロードレースを見るきっかけになれば無意味ではないと思う。


9 件のコメント :

  1. なんでクリテがbyツール・ド・フランスやねん・・。
    クリテbyUCIならわかるけども(笑)

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  2. 白橙アクア2014年3月20日 0:05

    確かに見たあとで複雑な気分になりました。巷で言われるような茶番劇という評価とは別の意味で。
    あの『舐めプレイ』に対して日本なめんじゃねーぞ!って向かっていく実力も気概も、主だった日本人チームに見られなかった。それが一番残念でした。
    引退する人が一番頑張ってどうする…走る背中のなんとさびしそうだったことよ。
    でも今年もやることには大賛成です。ていうかあれ一回でやめたら、ある意味取り返しのつかないことになりますw。
    そして続けていくうちに、殻を破る個人、チームがきっと現れます。そこから世界へ駆け上がる者も現れるはず。はず!

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  3. 初心者ロードレーサー2014年3月20日 1:25

    逆にUCIポイントがつくようならそれなりに本気の走りも見られるんでしょうけどね。

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  4. 初心者ロードレーサー2014年3月20日 1:28

    ネットの情報を見ると日本の参加選手には勝手に集まってください&ホテルも手配されなかったとか(大金が積まれた海外選手に比べて)随分扱いに違いがあったみたいですね。運営側もこんなんだから「外国かぶれは」というコメントに・・・。
    逆にこういうのがもっと日本の各地で行われるようになって(お遊びで走ってるとはいえ)トッププロの雰囲気を肌で感じる場が増えれば日本選手の底上げにもつながるのではと期待したいところです。

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  5. 自転車レース、特にツールドフランスの歴史をみると、こういう興行クリテリウムで各地をまわるのは当たり前の事です。「あの選手達」が目の前を走るだけで大喜びなわけで、それ以上でも以下でもありません。
    ただ今回は、主催側が本格レースをうたいすぎて、状況の分からない間に受けた人々から酷評を貰ってしまった様です。コメントにも書かれている通り、本気レースをする理由は存在しないのです。
    今年も開催とのこと、出来るだけ回を重ねて、もっと自転車レース自体が広く認知されれば理解されていくのでしょうね。
    ブログ、楽しみに読んでます。海外でホビーレースをされているのが羨まし過ぎです。

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  6. 追記で引退した福島晋一選手について言っておきたい。
    彼は全ての事情はわかっている上で走っています。現地で声援を送ったファンも福島選手らしい走りを感動してみていました。引退セレモニーも日本初の興行クリテに集まった多くの観客の前で出来て、この配慮は素晴らしかったです。
    翌週ジャパンカップではリタイア続出の極寒の雨の中、見守るファンに応えつつ最後にゴール。クリテ同様諦めない、らしい走りでした。

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  7. 初心者ロードレーサー2014年3月21日 0:25

    観客がそれをわかってる分には楽しめる自転車イベントだと思います。逆にプロレス見て「本気じゃないじゃないか」って怒り出すのは観客の理解不足もあるわけで、メディアリテラシーならぬ、オーディエンスリテラシーも必要なのかもしれません。
    まあそもそもオーディエンスリテラシーどころかオーディエンスとなる機会すらなかったわけですからそれだけでも良いきっかけになったと思います。何はともあれ主催側にとっても初めてレースを見る人たちにとっても「これから」なんだろうと。本文にも書きましたが、他のスポーツに税金突っ込むくらいならぜひ今後も自転車競技に注ぎ込んでくださいというところですね。

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  8. 白橙アクア2014年3月21日 20:18

    あーなるほど、大相撲の巡業的な意味合いととらえればいいのですね。真剣勝負と空気読む感がないまぜになったものと。それならそうと、あらかじめそう言ってくれれば(無理)。
    開催にまつわるゴタゴタも、とにかく海外チーム勢揃いの状況をクリアすることで精いっぱいだったのかもしれませんね。国内チームや観客へのサポートが、今年は少しでも改善されるよう期待します。

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  9. 初心者ロードレーサー2014年3月22日 2:32

    海外のコメントにもありましたが、「ツール・ド・フランスが終わって誰もレースしたくないのにわざわざ遠くの日本まで行ってレースをさせるモチベーションはなんだ?」ってやっぱり良くも悪くもこの世は金次第ですね。ツールの雰囲気だけでも味わってもらってそれでご祝儀をもらうっていう点では海外選手たちへのちゃんとしたギブ&テイクができていたのかと思います。レース以外にも相撲部や茶道の見学会とか設けられたようですし。日本の良さを海外のトッププロ選手に知ってもらうというのも副次的なメリットがあるのかもしれませんね。

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