そんな中、なんとAmazon.co.jpで文藝春秋のKindle本が11月9日まで50%オフ!!
週刊文春のイメージが強いからか、ゴシップ的な本が半額になっても欲しそうなものがないなぁと思っていたが、どうしてどうして、前から欲しかった本もあり、「あ、この本って文藝春秋から出てたのか」と気付かされた。
せっかくだから対象になっているタイトルの中から気になったものをピックアップしてみる。
生涯投資家 村上世彰
ドットコムバブル時に村上ファンドとして一世を風靡した村上世彰の本。
会社の社員とは労働者ではなく株主(商法上も同じく)、会社は株主のものというように、米国的資本主義の観点からは至極当然だったのだが、資本主義未成熟の日本でスケープゴートにされてしまった。
例えて言うなら中国で投資家保護を訴えてもなんの意味もなく、アメリカの常識が通用しない感じか。当局や体制側の恣意でなんとでも覆されてしまうのは共通するところがある。
別の本で、オフショアのシンガポールで不動産を買い漁ってると読んだが、当時の詳細とその後を知れそうなので気になるところ。
グローバリズムが世界を滅ぼす エマニュエル・トッド他
反グローバリズムを取り上げたということで話題になった本。
そもそも世界的な先進国の低成長や、日銀だけでなくFRBですら苦しんでいる賃金上昇の伸び悩みなどは行き過ぎたグローバリズムに端を発するところもあり、グローバリズム至上主義は危険も孕んでいる。
反グローバリズムの代表化しているトランプに世界中のメディアが批判を繰り返し、いわんやグローバリズム=正義的な論調になっている「常識」に疑問を投げかける点で評価したいところ。
生命保険のカラクリ 岩瀬大輔
外資系生保で働いていた自分としては興味を引かれるタイトル。
が、一般的な読者層向けに書かれているからか、「うんうん、そうだよなぁー」と納得するだけで終わってしまい、業界にいた人間にとっては新たな気付きは得られなさそう。
合本 半沢直樹 池井戸潤
例のドラマ、半沢直樹の原作本。
「倍返し」のセリフは知り合いの香港人たちの間でも話題になっていたが、実際の総合職は3年前後で異動を繰り返すため職場内で、しかも上司に報復しても百害あって一利なしだと思う。
池井戸潤も三菱銀行出身なのでそこのあたりはわかっているはずだがそこはやはり小説、エンターテイメント性に特化したのだと思われる。というか半沢直樹が倍返しせずに数年待って異動しましたじゃドラマとして成立しないだろう・・・。
4冊セットだがすでに読破済みなのでその後安売りされてるのを見るとがっかりする。
波のうえの魔術師 石田衣良
以前見て面白かった「ビッグマネー ~浮世の沙汰も金次第~」というドラマの原作本。
半沢直樹が銀行を舞台にしたドラマだが、こちらは銀行が敵側として出ており、個人投資家を主役にしたストーリー。
ドラマを見た限りはエンターテイメント性に傾いているからか経済小説としては微妙かもしれないが読んでおきたいところ。
帳簿の世界史 ジェイコブ・ソール
どんな業種の会社であろうと帳簿は必須なので会計知識はどのビジネスをやるにしても必要なもの。
そんな帳簿の観点から世界史を解説した本。
「中世の銀行家や商人には罪の意識がまとわりついて」というくだりなど、利子が卑下されるキリスト教社会の中で、なぜユダヤ人が銀行業を席巻してロスチャイルドのような国際銀行家ができていったかを理解する上で役に立つであろう。
フラッシュ・ボーイズ 10億分の1秒の男たち マイケル・ルイス
超高速取引(HFT=High Frequency Trading)をメインにしたウォールストリートの話し。
新聞等では批判的に報道される超高速取引だが、日本でも東証自体コロケーションサービス(物理的に東証内に契約業者のサーバを設置させてネットワークによる取引処理遅延を最小化させるサービス)を提供していたりと、むしろ流動性供給という目的で東証自身が積極的である。
世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち マイケル・ルイス
同じくマイケル・ルイスによるマーケットを舞台にした作品。同名の映画にもなっている。
ウォーレンバフェットの名言、‘Be fearful when others are greedy and greedy only when others are fearful.’ を地で行った内容なので、読みながら次の暴落への心構えにするといいかもしれない。
臆病者のための億万長者入門 橘玲
個人投資家にはお馴染みの橘玲の本。
「宝くじは愚か者に課された税金」など、いわゆる経済合理性に基づいたフィナンシャルリテラシーを説いている。
が、いかんせん初心者向けっぽいので、同著者の「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方」や金持ち父さん系の本を読みまくっている人には新しい発見はないと思う。
13・67 陳浩基
最近話題になっている香港のミステリー作家、陳浩基(ツァンホウゲイ)の小説。
香港が舞台になっており、近年敏感になっている香港人のアイデンティティー問題にも踏み込んでいるということで香港に縁を持つ者としては読んでおきたいと思っていた。日本語版で読んでみて、次に香港に行ったときに原著を手に入れてみるのもいいかもしれない。
転がる香港に苔は生えない 星野博美
同じく香港を舞台にした本だがこちらはドキュメンタリー。
20年前の香港返還時の体験らしい。
自分も香港のジモティーに混じった生活を香港滞在中はしているので、そもそも同じような感じなのか、どれだけジモティーなのかが気になるところ。
合本 大地の子(一)~(四) 山崎豊子
中国残留孤児をテーマにした同名のNHKドラマの原作本。
かなり前にドラマの方は見ており、朱旭(中国語リンク)演じる育ての父親役の演技に涙するのは必至。
日本のいちばん長い日(決定版) 運命の八月十五日 半藤一利
同名の映画の原作本。
去年映画を見たばっかりだったので目に止まった。
宮城事件(「みやぎ」ではない)は横田ラプコンと同じく、日本の歴史における体制安全保障上重要であるにも関わらず学校で習わなかったのでこういうものこそ知られておくべきだと思う。
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