筆者は初心者ロードレーサーの名前通り、自転車のタイムを縮めることに躍起になっているしがない素人ロードレーサーです。今回の記事は「旅行中どうやって筋肉トレーニングをするか」に焦点をあてたもので、フロリダ旅行とは関連がないので、自転車(というか筋肉?)に興味がない人は読み飛ばしていただければと思います。
■Compexとは
前回までディズニーの話で盛り上がって?いたが、いきなり今回は自転車の話に戻る。というか自転車のエンジンたる肉体の話である。
今回の旅で1週間もトレーニングができなくなるので、それに備えて兼ねてから興味を持っていたCompexに手を出してみることにした。
CompexとはEMSという電気刺激による筋肉トレーニングマシーンである。
EMSというと、一昔前、テレビショッピングでやっていたような、お腹にベルトを巻いてテレビを見ながらビクビク動かしてダイエットできますみたいなやつがあるが、Compexはプロのアスリート向けに筋肉痛になるほどの刺激を与える強力なものである。
日本では13万円近くするSportモデルがアメリカでは500ドル台で手に入る。
特にサイクリストの間で有名で、対応スポーツの一番上にCyclistの文字が書かれている。
日本人で初めてツール・ド・フランスに出場した今中大介氏もお勧めしているというものである。
まあお勧めの内容にはいわゆる「大人の事情」が介在しているだろうし、ビジネスで代理店をしている以上悪いことを書くわけがないのだが、イタリアのナショナルチームも利用していたり、そもそもCompexはプロチームHTC Columbiaのスポンサーでもあるということで試してみる価値はありそうだ。
また、ツール・ド・フランスで6年連続のポイント賞を獲得したエリック・ツァベル(Erik Zabel)も利用していたという記事も掲載されている。
ちなみに日本のCompex公式ページの説明はこんな感じ。
■購入~セットアップ
というわけで旅行に備えて購入。
早速開けてみる。
ケーブルを付けてセッティング。
ちなみに説明書には、手や足を椅子に縛り付けましょうと書いてある。
そして筋肉痛を起こすほどの電気刺激を足へ流す。
ところでロードレーサーは足の毛を剃る傾向にあるらしいが、自分はこのとき初めてCompexの粘着シートが毛に付くと痛いという実用的理由で剃った。
■使用後の感想
結局、今回の旅行では思惑通りCompexを使って練習不足を少しでも緩和することができたと思う。
しかし、今後詳しく書くが、旅行の最中はフロリダの猛烈な日差しの中、ひたすら歩き、順番待ちで立ち尽くしを繰り返したため、練習しなくても足はパンパン、汗だくだくになっていた。
使用部位としては大腿四頭筋と、下腿三頭筋、ハムストリングス、腹筋である。
ちゃんと強度を上げれば筋肉痛になるほどの刺激を与えることができる。
ただ、本気でやるとかなりきつい刺激になる。耐えられず叫び声を上げるほどの電流を流すことも可能。
というか使ってて思った。
Compexって簡単に言えば、「手や足を椅子に縛り付けて、体内に電流を流して筋繊維を破壊する行為」。
これって拷問と何が違うんだろう。
ぶっちゃけ冷静に評価すると、やはり自転車に乗るのが一番自転車の筋肉にとってのトレーニングになると思う。
筋肉の収縮にはコンセントリック収縮とエキセントリック収縮があり、基本的に自転車のペダルを回すのはコンセントリック収縮であるが、それが再現できているかは微妙である。
■コンセントリック収縮とエキセントリック収縮について
ここらでコンセントリック収縮とエキセントリック収縮の違いについてもメモしておきたい。
コンセントリック収縮とは筋肉が縮みながら張力を発揮する短縮性筋収縮、エキセントリック収縮とは筋肉が伸びながら張力を発揮する伸張性筋収縮のこと。
ちなみに筋肉の筋の長さを変えずに張力を発揮させるのが等尺性筋収縮によるアイソメトリックトレーニングである。
コンセントリック収縮とエキセントリック収縮について簡単な例をあげておきたい。
レッグプレスは重りを足で押すトレーニング。足を曲げた状態(体育座りのような感じ=大腿四頭筋が伸びている状態)で弛緩し、そこから力を入れて足を伸ばす。足を伸ばすと言っても、大腿四頭筋は足が伸びることによって縮むので大腿四頭筋のコンセントリック収縮となる。一方、足を元の状態に引き戻すときには、一気に戻すとガターンと重りが戻ってしまうので、ゆっくり戻るように力を入れながら足を引き戻す(大腿四頭筋を伸ばす)。このときは大腿四頭筋のエキセントリック収縮となる。
レッグカールのように重りを足で引き上げるトレーニングでは、引き上げるときは大腿二頭筋に代表される大腿屈筋群であるハムストリングスのコンセントリック収縮、重りを支えながら足を戻すのはハムストリングスのエキセントリック収縮となる。
自転車でペダルを回す運動は、いわばレッグプレス、レッグカールのそれぞれのコンセントリック収縮である。
ペダルを押すときは大腿四頭筋のコンセントリック収縮、引き足でペダルを引き上げる時はハムストリングスのコンセントリック収縮となる。
残念ながら、ペダルが自動回転しないように筋肉で押しとどめるようなエキセントリック収縮は、ピストバイクで足でブレーキをかけるときなどには使うかもしれないが、フリーハブが採用されているロードバイクで使う機会はほぼないと言っていい。
■Compexの収縮
Compexをしているときは、足を弛緩させた状態で電気刺激を流すため、上記収縮のように、筋繊維を伸ばしながら、または縮めながら収縮させているわけではない。というわけでコンセントリック収縮中心であるサイクリングに直結する筋肉運動を再現できているかは微妙である。
さらに、大腿四頭筋のうち外側広筋と内側広筋、大腿直筋は動いているのが目に見えてわかるが、皮膚表面から電流を流しているため、深部にある中間広筋にどれだけ負荷が与えられているかは微妙である。負荷を高めようと思っても中間広筋の前に表面側の三筋の限界が来るためそこまで追い込むことはできないと思う。
と書いてみたが、やはり自転車に乗れないときのトレーニングや、練習後の補助的な負荷としては確かに効果があると思う。さらにアクティブリカバリーもでき、これも実走後に試してみたらいつもより筋肉痛からの回復が早い感じがあった。
■他のレビュー
ちなみにCompexについては他のブログ等でも以下のような使用感想が書かれており、せっかくいろいろ調べたのでここにリンクをまとめておきたいと思う。
いままで使ってなかった筋肉が刺激を受けて、本来の仕事をしそうな、そんな感覚がありました。
コンペックスの効果か、マドンのおかげか、以前よりアベレージが上がりました。
大腿四頭筋がぱんぱんに張ってて、階段の上り下りがまぢ辛い。富士山一周の翌日だってここまで酷くなかったよ?というくらい。
Compexで筋持久力Lv5をかけた時にどうなるか知っていると、致命的な攣り方をさせずに脚を回し続けられるようになるよ。ホントだよ。
腹筋はかなり締まってきました。何よりかたくなって来ましたね。ダンシング時における安定性は非常に上がりました。効果はかなり偉大です。もっと早く購入に踏み切っておくべきでした。
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