先週木曜日、チームジャージを受け取って仮免を取得し、木曜夜のナイトシリーズのレースに参戦するためチームメンバーと落ち合うことになった。
まずはプロスペクトパークのGAP(グランドアーミープラザ)に午後6時集合。
そこで他のチームメンバーと落ち合う。が、来る予定だった早朝トレーニングメンバーのリッチが仕事の都合で不参戦。集まっているのはみんな始めて会うメンバーで改めて自己紹介。
その後顔見知りのジョンが。今回は参加しないが見送りにライアンもやってきて、しばらく話してから出発。
6人でトレインを組んで南下、一気にレース会場に向かう。
随分速いなぁと思ってスピードを確認すると時速40km超ペース。これから全力でレースをするというのに彼らにとってはこれが流しているレベルなのだろう。
いつもなら30分はかかるところを20分ちょっとでレース会場に到着。
レースリーダーのマイクも到着しており、レース開始前に戦略ミーティング。
チームメンバーは10人ほど。目標は現在総合2位につけているグラハムとそのチームメンバーを押さえ込み、マイクを誰よりも早くゴールラインに押し込むこと。
自分へのチームオーダーはレース序盤でのペースメーカー。先頭を牽きつつ、アタックがあれば潰して集団をコントロールすること。曰く「文字通り全力で序盤を走れ。完走することを考えるな。」
といっても初めてということもあり、他のチームメンバーのデイヴと一緒にその役目を担う。
Riders to the lineコールを受けてスタート地点へ。最前列に並ぶ。
■レース
レース開始と共に飛び出し、Cat4集団の先頭を牽く。
TTスタイルのような前傾姿勢でそのまま最初のコーナーを曲がり、直線を走る。が、今回は通常のフロイドベネットフィールドとコースが違い、初めて体験する鋭角カーブが待ち構える。
カーブへの突入スピードを確信できないままカーブに近づくと、他のチームが自分を抜いて先頭へ出る。
そのままカーブへ突入するが、深さを読み違えてしまい軌道が膨らむ。
そうしている間に一気に抜かされて直線を走る。そして「死のカーブ」とチームメンバー内で呼ばれている最終鋭角カーブへ。
ここが一番きついカーブで、またもや初めて体験する自分は膨らんでしまう。
なんたる失態。
そのまま集団後方まで下がってしまうが、集団はホームストレートで速度が弱まったので、その隙を突いてサイドから一気に上がる。
集団の中でそのまま2周目を走り、今回初めて体験した2つのカーブも、深さとアプローチを確認しながら走る。
ある程度コースの癖がつかめてきた3周目に入ったところでまた先頭まで上がる。
すると一番前でアタックが始まっており、集団の前を数名が走っている。
メイン集団の先頭は同じチームで自分含め3人がキープしており、自分は2番目。
前にいるメンバーがアタックの逃げ集団を潰しにスピードを上げるので自分もそれに乗る。
が、後ろにいたメンバーから「既に1人送り込んでるから追わなくていい。戻れ」との声がかかり、追うのをやめる。
そこから3分の1周を自分が先頭で牽く。
一番前で左右にライダーがおらず、スペース的制約がないこと、既に2周走って感覚を掴んでいることもあり、鋭角カーブも難なく通過。
途中で「先頭を代わるから後ろにつけ」といわれて交代。
しばらく後ろにつくが、休みモードに入ってしまったからか、すでに脚がまいっていたからか、交代したつもりが後退していて、4周目が始まる頃にはかなり集団の半ばまで下がっていた。
そのまま4周目、5周目、6周目とだんだん下がっていき、ついには集団の後ろを走る状態に。
7周目で集団から遅れてしまい、8周目に突入。
あと3周だが、そもそも前半で我武者羅に走ったからか脚がかなり重くなり、気合でなんとか完走したいというところ。
そんな折、8周目の第一コーナーを曲がった後の直線でチームメンバーのウィリアムが立ち止まっている。
どうしたのかと思うと、なにやら声を掛けられた。
風も強かったので、「行け!」と言われてるのか「待て!」と言われてるのか聞こえなかったが、どうやら「戻ってこい」と言っているようなので戻る。
すると後輪がパンクしてしまったとのこと。
フリーラップというルールがあり、パンクや落車等のトラブルの場合レースに復帰することができるので、脚が切れてしまった自分より彼に託すために自分のリアホイールを渡す。詳細はこちらを参考にしていただきたいが、1934年のツール・ド・フランスでヴィエットがやったのと同じようなことを自分がすることになるとは(といっても自分は優勝争いはしていないが)。
ちなみにシャカリキでも同じようなシーンが掲載されている。
自分は状況が状況だけに、ヴィエットと違って泣きはしなかったが、パンクした後輪を持ってスタート/フィニッシュラインに歩いて戻っているときは複雑な心境であった。脚が切れた今、チームとしては貢献できる最後の働きだったわけだが、個人としてはそこで試合終了してしまったので残念である。
レースは最終ラップに入り、デイヴがマイクを牽いている。
そして最後のストレートでジョンが牽いてマイクは2位。ジョンが6位。
ライバルのグラハムは7位前後で、1位は優勝争いとは関係がないレーサー。つまりマイクの総合優勝確定である。
「We did it!」といってチームメイトと喜び合う。
■レース後
レース後は全員で記念撮影。シリーズレースの最終回ということで、バーベキューチキンとソーダ、スイカが振舞われる。
まずはコーラで乾杯。
お次はバーベキューチキン。
開催団体が黒人のコミュニティーだからか、普段食べ慣れない味付け。だがワイルドな感じで美味い。
屋外での食事をしながらトロフィーを見る。
結構ちゃんとした造りである。
こちらはMost Aggressive Riderの賞。
子供達は夕暮れのフロイドベネットフィールドでロードバイクに乗ったりして遊んでいる。
2位と6位に入賞した2人が賞金を集めて、合計の65ドルを人数割りして配る。
自分も「Frist pay outだ」といって6ドルを渡される。たった6ドルぽっちマクドナルドで一時間バイトした方が稼げるだろうが、これまで趣味の自転車で、お金が出て行くことはあっても入ってくることなどなかったので新鮮であった。
一方で、これまでCat5で「自分が勝つか負けるか」というレースをしていた身としては慣れないところもある。
チームは勝利したが、あくまで自分の成績は「途中リタイア」なので、「レースの結果、総合優勝しました」とは言えやしないし、公式記録もリタイアでしかない。チームとして走り、チームワークも重要な一方で、記録やポイント(ランキングやアップグレードの条件になる)は個人単位でしか残らないので、アシストで終わる限りいつまで経っても個人としては上位カテゴリに上がれないわけである。
逆に、今回のレースで、同じチームだがチームロードには加わらず、単独で走っていたメンバーもいた。チームで走ることを強制されることはないので、個人で挑戦したかったら彼のようにソロで走るのもアリである。
ただ、個人TTを除き、プロロードレースは、ツールにしろ、ジロにしろ、ヴェルタにしろ、クラシックにしろ、全てチーム戦で行われる。その点では、チームロードこそロードレースの本来あるべき姿であり、ロードレースの階段を上る以上、チームロードに行き着くのは必然なのかもしれない。
というわけで初Cat4レースは個人成績としてはダメダメであったが、チームロードの実経験を積めたという点では収穫は大きかったと思う。
表彰式を見て、マイクに挨拶をしてから帰る。
家に着く頃には9時半頃になっており、疲れが溜まっていた金曜朝は軽く(といってもやはり追い込んでしまうのだが)プロスペクトパークを流す。
そしてあの土曜日の朝を迎えることになったわけである。
ツールのような本番さながらのレース展開ですね。
返信削除臨場感のある内容でした。
ソロで走るのもアリなんですね。その点面白いですね。
それにしても日本の御神輿のようなトロフィーですね。
ちょっと違和感があり意外でした。
たしかにチーム戦で各々役割を持って走るというのはプロロードレースのミニチュア版のような感じでした。
返信削除メンバーの多いチームなだけに、走り方も人それぞれみたいです。
トロフィーも思ったよりも大きく、その形も支柱?があって特徴的でした。いつかああいうのを手にしてみたいものです。