すると、レースのマーシャル(係員)が出ていて、サイクリングロードを交通整理している。
どうやらロードレース中のようである。
黒人女性のマーシャルに、「CRCAのレースか?」と聞いてみると、「そうだ」とのこと。CRCAはCentury Road Club Associationという、全米で最も大きいレーシングチーム。その大きさから、クラブ内で各サブチームに分かれており、ジャージもサブチームごとに作られている。
そしてCRCAは毎週セントラルパークでチーム内限定のレースを行っている。チーム内限定とはいえ、その規模の大きさからUSACから承認を受けた公式レースとなっている。
ただ、時間的に8時過ぎになっており、何時終わる予定だと聞くと、もうすぐだということなので、セントラルパーク内を徐行する。
しばらくしてレースも終わったようで、普通のサイクリストが集うセントラルパークに戻る。
基本的にセントラルパーク内では二車線分がサイクリングロードとして開放されている。一般車は走行不可だが、パーク内の管理車両や、巡回中の警察車輌等々は走っているので注意が必要である。
■セントラルパークでの過去のタイム
4周のタイムアタックを開始する。
なぜ4周かというと、プロスペクトパークでの約8周に相当し、ちょうどレースの距離と同じくらいになるからである。さらに、NYCC(New York Cycling Club)というサイクリングクラブでも、4周のタイムを元にした速さレベル判定表があり、それを参考にすることができる。
ちなみに前回4周走った記録が残っているのは2010年3月6日、まだ長距離ライド志向でレース用のトレーニングを始める前のこと。1周目21分19秒、2周目21分18秒。3周目20分58秒、4周目20分5秒で、合計1時間23分40秒。NYCCのレベル判定では上から5番目であった。
当時はレース用の体作りをしていなかったため、上から5番目でもしょうがないが、少なくとも今はレーシングチームにも所属し、まがりなりにもカテゴリ4で入賞している身としては恥ずかしくない成長した結果を出したいものである。ちなみに一番上のレベルでは、4周で1時間10分以内。1周17分30秒ペースである。
レースを始めてからは4周走った記録はないが、2011年4月10日、かめらいだーさんと参加した3周のレースのログでは、1周目は集団内でドラフティングして14分53秒、2周目はほぼソロで、最後の部分で2人でドラフティングして17分20秒、3周目は2人ドラフティングから、後半は3人でトレインを組んで16分40秒であった。が、ドラフティング込みのレースでのタイムなので個人のソロタイムとしては参考にならない。
■タイムアタック開始
ということで、レースのスタートラインを基準にタイム計測開始。
4周という長丁場なので、追い込みすぎず、軽すぎずで維持できる速度で巡航する。
1周目、16分ジャスト。
今日はFilm Festivalという催しがあるらしく、その準備で片車線にブースが出ていて塞がれてる箇所があった。
2周目、15分59秒。
うーむ、狙ったわけでもないのに、1周目と2周目でほとんど同じタイムが出るというのは自分でも驚いた。追い込みすぎず、軽すぎずの継続可能な速度維持ができているということだろう。
3周目…、
例のブースが出ている箇所で、荷下ろしをしているのか、トラックがさらにもう片車線を塞いでしまっており、ランナー、ジョガーラインしか空いてない。
「危ないなぁ」と思いながら、為す術無くブレーキをかけて速度を落として通過。
ちょうど坂の手前なだけにそこからまた元の速度に戻すのに余計に脚を使う。
結果は16分5秒。
4周目…、
最後の周回ということで追い込みをかけようとする。プロスペクトパークでは全力で走れば通常周回より30秒は早く走れるので、セントラルパークでも少なくとも30秒は縮められるだろうと予想する。これであれば1周平均16分切りができるだろう。
と思って左右のダウンヒルに差し掛かると、ちょうどサイクリストが4名ほど下っている最中で、ラインをずらすためにブレーキングせざるを得なくなる。
せっかくの最終周回で…、と思いつつ巡航を続ける。
さらに途中で、対向車(自転車&自動車)を見もせずにドライブウェイを渡り出すおっちゃんが…。
「ON YOUR RIGHT!」と叫んで気付かせて避けながら進む。
と、最後の上りの手前、例のブースがあるところに、なんと今度は警察車輌が三台も縦に止まり、既に片車線を塞いでいるブースと相まって渋滞状態。
またまた為す術無く、終にはビンディングペダルを外して歩いて徐行。
見ると、ロードバイクの激しい転倒があったらしく、奥に停車していた救急車に担架で運ばれているところ。まさしく以前の自分を見ているようだが、やはり「危ないなぁ」と思っていた通りのことが起こってしまった。
その場を通過してまた漕ぎ出す。
最後の上りでスパートをかけるが時既に遅し。それでもなんとか頑張るが、なんとゴールラインで犬をノーリードで(首輪の紐を付けずに)道路の真ん中で放し飼いにしているおっちゃんが…。
なんとかワンちゃんを避けるが、逆におっちゃんは「危ないじゃないか」みたいなことを言っている…。
ふとタイムを見ると、16分5秒。
ファイナルラップということで追い込んだのだが、上記のブレーキがあって結局通常巡航と変わらないタイムになってしまった。
とはいえ、合計タイムは1時間4分11秒。マンハッタンに住んでいた頃には越えられなかったNYCCの速度レベル判定の1番目のレベル、1時間10分を難なく越えたタイムが出せた。
■所感
やはりセントラルパークは走りにくいと感じた。
観光客やランナー、ジョガー、ウォーカーに加え、各種イベントも行われるため、かなり混雑している。
サイクリストも多く、声をかけて横を通ったり、大声を出して気付かせたりしないといけない状況も何度かあった。
事故による徐行はしょうがないとしても、特に迷惑だったのは犬の飼い主である。もちろん放し飼い用に設置されている芝生スペースなどでは問題ないが、自転車や車が通るドライブウェイで大事な愛犬を放し飼いにするのは理解できない。交通事故(自転車、自動車)の危険を冒してまで犬を自由に遊ばせるのは本末転倒である。
なんというか、良い写真撮りたさに手すりに上ってナイアガラの滝に落ちてしまうのと似たような感じを受ける。
ちなみにナイアガラの滝にはそれでもDangerの注意看板が掲げられている。以前訪れたグランドキャニオンではそれこそ何の注意書きもなしに奈落の底のような崖が眼前にあった。
危機管理も自己責任であるし、それで怪我をしても自業自得なのである。
この点、自業自得なだけであればまだ他人の迷惑にはならないが、上記の犬の放し飼いでは衝突した場合サイクリスト側にも被害が出るので問題である。それこそ今回救急車で運ばれたサイクリストも、Share the roadを考えない無理な道路利用によって引き起こされた犠牲者なのかもしれない。
救急車が通り過ぎる。
どこの誰かは知らないが、同じサイクリストとして彼の無事を祈るばかりである。
走りにくいと言っても基本的に一般車が来ない前提でこの道幅だと環境的に羨ましいです。
返信削除一般の市内の道路状況や車側の自転車に対する認識など日本と大きくは違わない印象ですが
残念ながら日本では特に自転車のマナーが酷く・・逆走してくる自転車をこちらが車道中央側に
ラインを変更して避けるなどヒヤヒヤすることもよくあります。
楽しい(苦しい?)自転車ライフを送りたいのでお互い気をつけたい所です。
確かにそういわれると交通規制された周回コースが自宅の近くにあるだけでもかなり恵まれてますね。
返信削除というかもはやホームコースの存在なくしてはここまで長続きしなかったといえるほどお世話になってると思います。
ないものねだりなのかもしれませんが、実際に(自分含めて)多くの事故が起こっているだけにShare the roadを徹底したいと思います。
逆走する人もいますが、基本的に自転車乗りのマナーは日本よりはいいと思います。
まあこちらではママチャリの文化が一般的ではなくて、自転車=仕事用(デリバリー、メッセンジャー)か、スポーツ&エクササイズ用という位置付けだからかもしれませんが。