彼らは「なんでだろ~」の言葉とともに、「昆布が海でダシがでないのなんでだろう~」などと疑問を口にするだけ口にするネタを披露していた。
その後、嘉門達夫が「ジ・アンサーソング ~テツ&トモに捧ぐ~」という曲で、ひたすらテツ&トモの疑問ネタの回答を歌い上げていくというものがあった。
ということでよくわからない前フリになってしまったが、前回の記事で番長さんよりコメントでいただいたTeamUKYOの辻善光選手の記事について、僭越ながら勝手に回答をさせていただきたい。
へ????なにそれ???って僕は思いました。
ドーピングがなぜこのような判断方法になるかというと、ドーピング規制の方法は、どの物質を摂取したかの「薬物主義」だけではなく、どのような効果をもたらしたかの「効果主義」も取り入れた両面規制であるからである。
そのため、単にアナボリックステロイド等わかりやすい禁止物質だけでなく、同様の効果をもたらすものは同じく禁止されることになる。
その経緯を知るためにはドーピング対策の歴史を見る必要がある。
元々、1964年に禁止物質が規定された当初はたった5種類であったが、当時は分析法が確立した物質のみを禁止物質にしていた。
そして、技術の発展とともにこれまで抽出できなかった物質の分析方法も確立されるようになり、それに伴って規制対象物質も増えていった。
一方で、ある物質について分析法が確立されたのであれば、まだ分析法が確立されていない物質を使えば良いという動きもあり、ドーピングの世界はいわゆるイタチごっことなっている。新しい規制ができるとそれをすりぬけるように新しい物質が作られ、禁止薬物名をリストアップしていくという限定列挙では限界が訪れることになる。
事実、1996年のアトランタオリンピックにおいて、ロシアで開発された興奮剤のブロマンタンが検出されたにも関わらず、スポーツ調停裁判所では「IOCのドーピング禁止物質リストにブロマンタンが含まれていない」という理由で処分を撤回する旨の判決がなされたことがある。
それこそ少しでも違う成分であれば、一文字変えるだけで「別の薬物」を作ることができ、無制限にドーピング規制の網の目をかいくぐることができてしまう。
そのため、物質名の制限列挙ではなく、ドーピングの目的として期待される効果によって禁止が規定され、あらかじめカバーされていない物質であっても同様の作用機序を持つものであればドーピング陽性として判断することができるようになっている。
以下はWADA(世界アンチ・ドーピング機関)による最新(2012年版)のProhibited Listであるが、禁止の内容が「SUBSTANCES AND METHODS PROHIBITED AT ALL TIMES」とされている。
つまり、禁止物質に加え、「By Method」として「Enhancement of Oxygen Transfer」など、ドーピングによってもたらされる効果によっても制限されているのがわかる。
最後に、衝撃的なアンケート結果をご紹介させていただきたい。
1995年にシカゴの医師が実施した調査で、198人のオリンピックレベルの米国アスリートに「勝つことと摘発されないことが保障されていれば、禁止薬物であっても摂りたいと思うか?」とアンケートしたところ、ほぼ全員の195人が「Yes」と回答した。
また、トップアスリートに対して、「5年後に死ぬが、必ず勝利できる薬があったら飲むか?」という質問を、1982 年から隔年ごとに1995年まで実施したアンケート結果によると、約半数のアスリートが「Yes」と回答した。一方で、2009年にオーストラリア国防大学が一般人250人に対して同じ調査を行ったところ、たった2人しか「Yes」と回答しなかった。
これは取りも直さずトップアスリートの世界が一般人の認識とはかけ離れていることをあらわしており、プロロードレースでなぜこうまでドーピングが蔓延してしまっているのかを理解する一助になるであろう。
毎日読ませていただいていますが初コメです。
返信削除面白い記事を読みました。
http://velonews.competitor.com/2012/07/news/chris-horner-every-time-you-take-a-drug-test-you-worry_230775
道端にいる知らない観客からも補給を受けているという事実は知りませんでした。
これじゃ自転車選手のドーピングコントロールは本当に大変ですね。
海瑠さん、初コメ&リンクありがとうございます。
返信削除こういった記事を見ると、意外とエイド用の飲食物管理が「ざる」なのが露呈しますね。企業ではコンプライアンス等が厳しくなってから内部管理やガバナンスへの経費も一気に増えて体制強化がされていますが、プロロードレースでももっとエイドステーションの管理体制や選手の口に運ばれる飲食物の管理をしっかりしなければいけないのかもしれません。