バイオペースという楕円チェーンリング

オリンピックはまだトラック競技が残っているが、ロード系はツールもオリンピックも終わったということで楕円チェーンリングの話しに戻りたいと思う。

ということで、前回の楕円エントリ(笑)については以下ご参照いただきたい。

 楕円チェーンリングの思想と特徴

まず今回は楕円チェーンリングを話題にする際に引き合いに出されやすい、シマノのバイオペースについて触れておきたい。



コンポーネント市場におけるトップメーカーの一つであるシマノが楕円チェーンリングに手を出していたというのはインパクトが大きいらしく、楕円チェーンリングに触れているウェブサイトによっては「昔シマノもバイオペースという楕円チェーンリングを出したが、普及せずに撤退してしまった」として失敗事例として挙げられることもある。

しかし、ここで注意したいのは、現在市場でシェアを伸ばしているRotor Q-RingsやOsymetricに対して「バイオペースの楕円方向は真逆である」ということである。

Q-Ringsにしろ、Osymetricにしろ、クランクが水平位置付近(3時位置)の、いわゆる「押し足が最も効果を発揮する時点」でギアが重くなるようになっている。つまり、楕円の直径が最大になり、実質的なフロントの歯数が最大に達することになる。(Q-RingsのOCP3であれば微妙に取り付け位置をずらすことができるが、「水平に近い時点で重いギア」というコンセプトは変わらない)

一方、バイオペースは、3時位置で最もギアが軽くなり、6時、12時の、下死点、上死点で最もギアが重くなるようにできているのである。



これを聞いて頭に?が浮かんだ方もいると思うし、「アホちゃうか」と思った方もいると思う。

が、バイオペースの理論では、バイオペースがフォーカスしているのは回転運動における動的なモーメンタムであり、簡単に言えば、一番力が入るところで軽いギアにすることで回転速度を上げ、その回転の勢いによってペダルを回すというアプローチである。

この考え方に沿うと、Q-RingsやOsymetricはクランクがどの時点でどうかという静的位置について最適化されたアプローチといえる。

お互い目的とするところは「より速く走るため」で一緒なのだが、アプローチが真逆である。なんという北風と太陽…。

つまり、バイオペースでは、一番力が入る水平方向で軽いギアにすることでペダルの回転に勢いをつけ、その慣性力で下死点、上死点を通過させるということである。



で、そのアプローチが成功だったのかどうかは…、市場がその答えを出しているのであろう…。


2 件のコメント :

  1. BiopaceのRingは時計回りにずらして装着できないのでしょうか。そうするとモメンタムではなくQ-Ringのような使い方も出来るような気がするのですが。5本アームなので、36度ほど変わるという意味ですが。

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  2. 初心者ロードレーサー2012年8月5日 23:52

    かめさん、確かにセオリー的には、チェーンリングの写真の右下にあるチェーン落下止めのピンがあるところの真上にクランクがくるように装着するようになっているのですが、そんなの気にせずにずらしてはめればいけるかもしれませんね。ただ、バイオペースの長短比って真円に近い楕円なので、Q-Ringsに比べても楕円の特徴はあまり感じられないかもしれません。

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