ペダリング考察:押し足中心ペダリングと楕円チェーンリングの相性

6月後半、OSYMETRICを使ってみたものの、「これは楕円すぎる」ということでRotor Q-Ringsでトレーニングを続けていた

それでもRotor Q-Ringsから真円に戻すことがなかったのは、「押し足中心のペダリング」というペダリングスタイルを貫いていたからだと思う。

押し足中心のペダリングスタイルについては、当ブログでも1年近く前に「引き足の意義と誤解」でエントリした通りであるが、以下の記述も非常に参考になるものとしてご紹介させていただきたい。


■キャファ通信の記述

トライアスリートにはお馴染みのキャファ通信であるが、その中でも注目に値するのがアメリカスポーツ医学会の研究から引用している以下の部分である。

エリート選手と一般選手に1時間走行させ、ペダリング時のトルクをペダルダイナモメーターで測定した結果、ペダル1回転中のトルク出力は、エリート選手では一般選手より10%近く上回っていました。このときのエリート選手と一般選手のペダリングの決定的な違いは、エリート選手では全てのトルクがダウンストローク時(上死点から下死点まで)にのみ発生していたのに対し、一般選手ではわずかながらもアップストローク(リカバリー)時にもトルクが発生していたことでした(つまり「引き脚」を使っていたのです)。また、エリート選手では最大トルクがクランク角度86-90度で現れ、水平方向へのトルク出力が一般選手より14% 高かったようです。


詳細についてはこちらのページをご参照いただきたい。


■RoppongiExpressさんの記述

そして去年のツール・ド・おきなわの市民210kmで優勝されたRoppongiExpressさんの記述

最近Rotor Q-Ringsを使い始められており、その効果を記載されている。

スプリントした時が一番顕著。普段300Wで走っているのが突然1000Wくらいの力で踏み込むんだけど、踏み込む瞬間なんて360度のうちのほんの一部分。

残りの部分(下死点と上死点付近)にかけられるパワーに関しては300W走行時とそんなに変わらないはず。

しかしもがく時にかかっているギアは大きいから同じように回るわけがない

だから実質トルクがかからない部分は軽く回せて素早く次(反対脚)の踏み込みに入れるギアの形は理に適っていると体感する


全く仰るとおりで、スプリント時に、例えば5倍ワットの出力を15倍ワットにしたとしても、全てのペダル角度において15倍ワットの出力を出せれるわけではない。これは、ウェイトトレーニングができる環境にある人は、レッグプレスとレッグカールで限界重量が同じにならないのを見れば一目瞭然である。


この点、去年と同じ記載になってしまうが、やはり的を突いているのは、ファンライドの動画「シマノレーシング狩野に聞いた上りのマル秘スキル」で狩野選手(当時はシマノレーシング。現チームブリヂストン・アンカー)が解説している同氏のペダリングである。

 
「一般には2時から4時と言われているけど、2時半から3時にピンポイントで一瞬踏んであとは惰性で回す


まさに楕円クランクは、このペダリングを機材面からサポートしてくれるものであると思う。

ということで押し足中心主義のペダリングにブレはなかったのだが、それでもペダリングでトライ&エラーを繰り返していたのであった。


6 件のコメント :

  1. 白橙アクア2012年10月2日 10:21

    今回のエントリも実にためになります。早速、しばし引き足は忘れて、ハムの踏み足に集中して固定ローラー回してみました。
    おお、なんかよく回る!…が、高回転練で150回転程度でケツが跳ねる失態。
    腸腰筋が「俺ももっと使ってよ~」と言ってる気がします。う~ん…
    ペダリングはただクランクを回すだけの単純な運動なのに、本当に奥が深いです。誰かにとってベストなペダリングが、他の誰かのベストとは限らない。
    でも、色々な考察をしてそれを自分の肉体で確かめられるって本当に楽しいものですね。これもロードバイクの魅力の一つかなと。
    例えば、ひょっとしたら私みたいな人間にも、楕円リングが一種の矯正具として有効かもしれないし…。

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  2. 始めまして、とても興味深い考察なのでコメントしたく思います。
    日本はクルクル回すような回転ペダリング至高主義みたいな考えが根深くあるようで様々な媒体でそう書かれてるようですが、自分が走るときの直感的な感覚は踏む方がいいんじゃね?だったので一度Rotorを使ってみようかと思ってます。ハムは巡航、クアッドはスプリントで使い分けたら面白いんじゃないか…なんて事も。まだまだ初心者なので挑戦あるのみと思ってます。Osymmetricの使いかってはどうですか?変速性能は非常に悪いと聞きますが。
    個人的な問題点としては新車用コンポに使う予定の9000系Di2フロントメカとの相性ですね…まだ発売されていない商品なので自分が人柱になるほかないので困り物です、通常のFDで使えるなら何も問題はないはずなのですがこればっかりは使ってみないと。
    自分は長い事アメリカのハワイ州に住んでいた事もあり非常に楽しくブログの方を読ませていただきました、これからもレースで頑張ってください。やはりアメリカ人ライダーはタフ野郎が多いですか?ゴリラみたいなライダーの中を走るのは自分は勘弁したく思います(笑)

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  3. 初心者ロードレーサー2012年10月3日 1:20

    高回転でケツが跳ねるのは押し足と他のフェーズとのバランスが取れていないのだと思います。入力タイミングが遅かったり早かったりした場合、高回転だとそのズレが顕著に出るでしょうし。押し足に意識がいきすぎて巻き足や引き足(といっても引いてトルクかけるためではなく、負のトルクを発生させないために足を上げる引き足)が疎かになっているのかと。
    その点、楕円は上死点、下死点フェーズの負荷が減るので押し足のみを意識した場合でも回しやすいかもしれません。松本監督のジニアスフィーリングは矯正用として楕円チェーンリングを使っているのでそういう使い方もありだと思います。(まあ規定がガチガチな競輪では本番で使えないのは当然ですが…)

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  4. 初心者ロードレーサー2012年10月3日 1:26

    はじめまして。コメントありがとうございます。
    「ハムは巡航、クアッドはスプリントで使い分けたら面白いんじゃないか…」ですが、まさしく私が現在使っているパターンがご参考になると思います。引き続きペダリング考察で経緯をエントリさせていただきますのでご参考いただければと思います。
    Osymetricはもう慣れるとこれ以外だと違和感が出る状態です。もうDura-Aceのチェーンリングを使う機会もないと思います。ただ変速は悪いですね。私はさらに異常なコンビで使ってるので全く世間のスタンダードからずれてしまってますが、Rotor Q-Ringsでも人に言わせれば「105以下」だそうです。が、現行のDi2で問題なく変速出来ている方もいらっしゃるので設定次第かもしれません。
    アメリカ人ライダーは高身長かつタフな人が多いのでどうしても自分は見劣りしてしまいますね。まあその分、勝ったときの爽快感は人一倍ですが(笑)

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  5. 初心者ロードレーサーさん
    新型のRotor FLOWがエアロ的でラブリーなので試してみます、とりあえず9000Di2発売待ちですね。ショップのメカニックなら何とかしてくれるかも!?という淡い期待込みで。
    レース中はフロントの変速は基本しないので変速性能はまぁそこそこでいいんじゃないでしょうか、リアさえちゃんと変われば。Osymmetricはウィギンズの影響かかなり注目されているみたいです、そして他にもVista X pedalなるものもあるそうで、こちらはさらにクレイジーなクランク&ペダルです。クランクの世界は深く暗いです(笑)
    自分よりタフそうな外見のライダーに勝つ!レースの醍醐味ですね~、是非今後も頑張ってください。今後の楕円関連のエントリ、楽しみにしてます。

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  6. 初心者ロードレーサー2012年10月4日 1:15

    Rotor FLOWはTT向きというかかなり空力重視な感じですね。変速はたしかにリアだけであれば問題ないと思います。一方でフロントの特にチェーン落ちはそれでレースが終わってしまいかねないのでかなり致命的です。Osymetricに慣れてしまうとRotorですら回しづらく感じてしまうので慣れとは怖いものです。

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