今年の夏までローラー三昧だったときにはローラー専用ロードバイクをセットアップして乗っていたのだが、大きく変わったのはアピュイドセル。
アピュイドセルを使うと筋肉入れ方や使い方が変わってくるので、さすがに違うサドル&ポジションで練習すると本番用のトレーニングではなくなってしまう。
ということでアピュイドセルを装備したマドンをローラー台にセットアップ。
実走をするときはローラー台から外さないといけないので面倒くさくなるが、まあ平日は(天候が許す限りは)ブロンプトンで毎朝晩実走しているので「実走とローラーのバランス」としてはなんとかなるかと思うことにする。
今年の夏まではほぼローラーばかりであったが、やはりローラーだけでも実走感覚と離れてしまうので心許なく、普段は実走で路面を走る感覚を忘れないようにしつつ、ローラーで(実走ではできない)追い込みトレーニングをするというのが良いバランスなのかもしれない。
■ローラーの勾配再現
サドルを本番を模したものにするならローラーの勾配もそうしなければならない。
ローラーで勾配を再現したからといって、実走時の重力で引っ張られる感覚までは再現できないのだが、少なくとも勾配によって変わってくるポジションはシミュレートすることができる。
特にひたすら上り続けるヒルクライムでは、角度がついた(平坦よりもハンドル位置が上がってサドルも前上がりになる)ポジションが「通常のポジション」になるため、固定ローラーで勾配を踏まえたポジション出しをしておくのは有効である。
■勾配傾きの再現方法
この点、自分のロードバイクでは至って簡単に勾配再現をすることができる。
というのも、ロードバイクのホイールベースが約100cmとキリのいい数字になっているからである。(※あくまで自分の場合であって、フレームモデルやサイズによって変わるのでご自分で試される場合は長さを計測いただきたい。が、後述するように1、2cmのズレであれば誤差として100cm換算で考えても大差ないと思う)
勾配のパーセント(度数法の角度とは異なる)とは、何メートル進んだときに何メートル上がったかの割合になるため、100メートルで5メートル上がれば5%の勾配となる。
つまりロードバイクのホイールベース≒100cm※であると、前輪を後輪よりも○cm上げれば○%の勾配が再現できることになる。
■勾配と角度
この点、整理しておきたいのだが、勾配と角度の関係である。
詳細はWikipediaの勾配を確認していただきたいのだが、勾配から角度を求めるには以下の三角関数を使えばいい。
勾配(grade)は垂直距離(height)を水平距離(length)で割った比率なので、
となる。
θは弧度法のラジアンという単位で、ホイールベース(前輪と後輪との距離)※と前輪の高さからラジアンを求める場合には、逆正接関数(Arctangent)を使って以下の式で計算できる。(※厳密には前輪が上がる分、平坦に置いた場合の純粋なホイールベースより微妙に短くなるのだがここでは誤差として考慮しない。後述する通り、こういった微妙な差分は、実走のシミュレートという観点からは無視できる誤差であるためである)
ラジアン(θ)から度数法の○度にあたる角度(angle)に単位換算するには、ラジアンに円周率分の180を乗じてやればいい。
例として、ホイールベースが100cm、前輪の高さが5cmの場合、勾配は5%、ラジアンは0.05、角度は2.86°となる。
■Excelを使う場合
Excelを使って計算する用に、以下のセルに各項目を置いた場合の例として相互に算出するための数式を掲載しておきたい。
A1=水平距離=距離≒ホイールベース(単位:cm)
B1=垂直距離=高さ=前輪が後輪からどれだけ上がっているか(単位:cm)
C1=θ(単位:ラジアン)
D1=角度(単位:度)
勾配(%)= B1/ A1 *100
垂直距離 = B1 = A1*TAN(C1) = A1*TAN(D1*PI()/180)
θ = C1 = ATAN(B1/A1) = D1*PI()/180
角度 = D1 = C1*180/PI() = ATAN(B1/A1)*180/PI()
■まとめ
長々と堅苦しく書いてしまったが、実践では目標勾配があってその勾配にセットアップしたい場合がほとんどだと思う(角度を出す必要はない)ので、単に前輪だけ後輪より勾配の%分上げればいいことになる。(以下ホイールベースが100cmの場合の例)
設定勾配としては、目標とするレースの平均勾配をセットしておくのが無難だと思う。例えば乗鞍なら平均勾配は6.5%なので前輪を後輪よりも6.5cm上げればよい。
一方で「20%の激坂区間だけピンポイントで練習したい」というのであればその勾配に特化して設定するのもありだと思う。
自分の場合、マウントワシントン、アスカトニー、エキノックスといったレースはともに平均勾配が約12%なのでそれに合わせてセットアップする。
後輪はローラー台に乗せた時点で数センチ浮いているし、振動対策用にマットも敷いているので、その高さが約6cm。
そこから12cm上げるので、床から前輪を18cm上げれば12%の勾配を再現できる。
ちなみにホイールベースを100cmで計算してあるが、たとえ多少ずれたとしても勾配再現にはたいして影響がない。
6%の勾配再現として前輪を6cm上げた場合で、ホイールベースが100cm、99cm、101cmのとき、再現勾配はそれぞれ6.00%、5.94%、6.06%。
計測したホイールベースが「約100cm」であるのならば、実際の路面では勾配が常に変わり続けているので、計算の利便性からもホイールベースは100cmとして、「勾配が○%分なら前輪を○cm上げる」という認識でよいと思う。
小数点第二位まで勾配を緻密に設定するくらいなら、そのための労力なり時間をトレーニングに回した方がよっぽど有効であろう。(ただモデルやサイズによっては5cm以上ずれる場合もあるので要注意)
最近は毎日2-3時間の固定ローラーをやってますが、食べ物の買い出しへひさびさに外をMTBで走ってみたら20km/h以下なのにぐいぐいと前に進む感覚に驚きました。ずっとローラーはヨクナイですね。といってもロードで外を走るわけにいかないし・・。
返信削除雪が溶けて自転車道路が使えるようになれば家から数分のところに5kmと8kmぐらいの周回コースがあるので好きなだけバイクのセッティングでもしながら走れるんですが、冬は雪でその自転車道がつかえませんね。良い感じに除雪されている周回コースが近くにあればいいのに。
雪が引くのは・・たぶん3か4月だろうなあ。
2-3時間の固定ローラーとはすごいですね。私は固いサドルも相まって1時間くらいでお尻が痛くなってきます。まあ固定ローラーの宿命と言えば宿命ですが・・・。
返信削除ローラーの効果が早速出ているようで良い傾向ですね。冬の過ごし方が夏の成績に直結するので寒さにめげず頑張りたいものです。