作成少々効果は一生:人生Excelのススメ



最近の考察エントリに引き続き、自分が手元で作成しているExcelシートのご紹介。

みなさんも時間があればお手元にExcelを開いて試してみていただきたい。


まず真っ白なExcelのワークブックを開く。

A列に自分が生まれた年月を入れて、それをひと月一行になるようにバーっと下まで伸ばしていく(たとえば1950年1月1日なら、1/1/1950と入力)。

そして隣の列に以下の式を入れて同じように伸ばすと、その年月に相当する自分の年齢が算出される。以下の例は誕生日が1950年1月1日で、セルA1の年月時点の年齢を算出する。

「=YEAR(A1-DATE(1950,1,1))-1900」

こうすると、人間の平均寿命を80歳だとすれば※、自分が生まれてから死ぬまでの一生がExcelの960行に収まることになる。(※2014年の日本人男性の平均寿命は80.50歳)

同じように、生年月日を変えて、自分の家族(両親や配偶者、子ども)の年齢も入れていくと、自分と家族の人生早見表のできあがりである。


元々自分は資産管理用に作成しており、不動産の購入云々といった大型の支出や、月々の収支、投資計画と実績進捗管理などに使っていた。

ここにさらにイベント列を作り、入学、入社、結婚、出産、引越しなどの節目になる人生イベントを埋めていく。

ちなみに昇進や転職、資格取得等も入れていくと、同じく年月単位で記載する履歴書や職務経歴書の作成にも役立てることができる。


自分は勝手に「人生Excel」と名付けているが、この人生Excelの強力なところは、過去、現在、未来のつながりが俯瞰できることである。

目標や夢を持っている場合、そのゴールや中間目標を未来の年月に記載していくことで、実現可能なものになっているか、過去から現在の延長線上にその目標があるかも確認できる。


こうしてみると、前回のエントリでも書いたとおり、2歳から幼稚園に入り※、そこから長い学生&社会人生活が始まる(※具体的には、幼稚園に4月に入ってから初めての誕生日で3歳になる)。

日本での定年は今のところ65歳、一方「健康上の問題がなく日常生活を普通に送れる状態」である健康寿命は男性で71歳であり、定年後、健康の問題を気にせず自由に謳歌できる時間は6年間しか残されていないことになる。

意外に短い「健康寿命」 50代早期退職の現実味


これを人生シートで俯瞰すると、「2-20-43-6-9」という数字が見えてくる。

  1. 最初の2年間はこの世に慣れる時間
  2. そこから20年間は親の庇護の元、学生時代で社会生活に慣れ、現代資本主義社会で自立するための準備をし、
  3. 43年間の労働時代を経て、
  4. 6年間の自由時間を手にし、
  5. 最後の9年間は病気等を抱えて好きなことも自由にできないまま、介護や老人ホームのお世話になって死んでいく


以上が大半の日本人のモデル人生になるはずである。

人によってはその時間が多少前倒しになったり、後ろ倒しになったりすることもある。家庭の事情で20年待たずに自立しなければいけない場合もあるかもしれないし、逆に大学を出ても親に養い続けてもらうケースもあるかもしれない。




むしろ43年間働き続けて給料を貰えること自体有難いことかもしれない。自転車好きだった私の同僚のように、せっかくリタイアしても2年でこの世を去ってしまうかもしれない。

いわゆる旧態依然とした日本の大企業に勤める総合職であれば、30歳を過ぎる頃には年収1000万を超える「勝ち組」になれる一方で、給料という人質をとられているので会社の命令には絶対服従、人事異動で住む場所すら自分で選ぶ権利もなく、高給の代わりに会社に人生を捧げることになる。

高度経済成長期の教育に従えば、「一流大学→一流企業→老後も安泰」というパターンである。

このパターンに従って、「塾に行きなさい」「良い大学に入りなさい」というテンプレ的教育セリフがおそらく日本全国津々浦々で行われていたのだろう。

幸い自分の場合、両親から自由にさせてもらったおかげで上記のパターンに違和感を持つことができたが、中には何の疑問も持たずに社会のレールの上を走らされている人も大勢いる。

実際、雇用者側にとっては物言わずに真面目に働く労働者ほど都合のいいものはない。疑問を持たず、不満を言わず、会社の言うことには素直に従うが、一方で言われたことはしっかりやるという処理能力(=テストで高得点を取る能力)は高い。上記の教育パターンはまさにそういった「企業戦士」を大量生産するための、高度経済成長期の日本にとって都合の良かった処方なのだろう。

ただ、日本にとっては腐るほどいる労働者の1人でしかなくても、自分にとっては文字通り一生に一度しかないかけがえのない自分の人生である。

朝早くから出社し、30分で昼飯をかきこみ、家に帰る頃には日が変わる。その生活を43年続けてリタイア。趣味も人脈も仕事以外ないので、リタイア後はすることもなく、あとは死を待つのみ。

勉強ができて良い大学に入れば良い会社に入って経済的に不自由しなくなる。ダサかろうが、不細工だろうが、一流企業で経済的に安定していれば結婚相手もそれなりに見つかるので、それなりに結婚して、それなりに子どもができ、それなりに勤め上げ、退職して死ぬ。

そんなありきたりの人生は送りたくなかったんだ・・・。



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