私は千葉の鴨川シーワールドにいた・・・。
誤解
ぶっちゃけて言おう、私は鴨川シーワールドを舐めていた。
それもそのはず、外国人の日本観光ランキングで上位に燦然と輝く沖縄美ら海水族館に比べ、鴨川シーワールドの響きのなんともみすぼらしいことか・・・。
「こちとら美ら海行ってんねんで!」と。
日本シリーズ見たあとに高校野球見てどないすんねんと。
ツール・ド・フランス見たあとにツール・ド・ランカウイ見てどうすんねんと。
が、その考えはあまりに浅はかだったと思い知ることになる。
結論から言うと全然違う種類だった。
美ら海が巨大水槽で自由に泳ぐ迫力の世界だとしたら、鴨川シーワールドはショーを中心としたエンターテイメントの世界。
例えていうならスピードスケートとフィギュアスケートくらい違う。
そもそも比べているものが違うのだから、どちらが上だとか下だとかもなかったのである。
そして、水族館連続訪問で沖縄美ら海水族館の直後というスケジュールながら、鴨川シーワールドでも同じように楽しむことができた。
シーワールド・・・、おそろしい子!
シーワールドに近づくとすでに近場の駐車場は埋まっていて他の駐車場へ誘導される。
美ら海と遜色ない混み具合に驚く。
駐車場から少し歩いて入場ゲートへ。
敷地内へ入るといきなり目の前が海で行き止まり・・・。
というか入場後すぐに右手に伸びる順路に従って歩くことになり、なんというか横に長い。
太平洋の海岸に沿って海浜長廊のように敷地ができている。
つまり、順路は横長の一本道で、各ショーの時間に合うように行ったり来たりすることになるのだが、なんとその順路上に屋台やお土産ショップ、子供用の乗り物が配置されている。
ということで順路を通るたびに子どもが「あれに乗りたい」「アンパンマンのジュースが飲みたい」と立ち止まり駄々をこねる始末に・・・。
なんというシーワールドの策略・・・。こちとらせっかく鴨川まで来ているのだから、ショーや水族館メインにして、どこにでもあるようなゲーセン的乗り物は避けたいところ。
が、順路による導線上の配置により、子どもの心を鷲掴み・・・!!
結局かわいい子どもの頼みには勝てず、アンパンマンのジュースを買い、アンパンマンの乗り物に乗せることに・・・。
そして腹が減ってはやはり導線上にある屋台に引き寄せられ、屋台物をちょこちょこ買っていたらそれだけで腹が膨れてランチになってしまった。
美ら海では巨大水槽横のレストランくらいで、順路上に所狭しと誘惑が並んでなかったので気付かなかったが、鴨川シーワールドおそるべし。
ファミリーに金を落とさせる術を随所に配置するそのビジネスセンスに脱帽である。
スイーツもたまらず塩ソフトクリームとクレープを。
塩ソフトはオーケーだったが・・・。
このクレープがめちゃくちゃ不味い・・・。スイーツは日本が一番という先入観があったのでびっくり。アメリカのクレープの方がよっぽど美味いとはこれ如何に・・・。というのも生地が厚めで悪い意味でモチモチしており、まるで生八橋の食感。薄皮で外側が少しパリパリしているクレープ好きとしては残念だった。
ショー
シーワールドの特徴といえばショー。
シャチショーが既に始まってしまっていたので客席の外側から少し鑑賞。
シャチショーが終わったらその脚で隣のアシカショーへ。
途中にいたセイウチを見ながら、次のショーにあわせて入口の方にあるイルカショーの会場まで戻る。
すでに人でいっぱいで客席の一番後ろで立ち見。
飛んだり跳ねたりするイルカを堪能。
さらに水上を走るイルカ。
イルカのショーが終わったら最初に終盤だけチラ見したシャチショーの第二回公演へ。
イルカ以上の混み具合で押しつぶされながら立ち見。
それでもシャチショーは大迫力で感動。
前列に座っている人はカッパ必須で、シャチが尾ひれやジャンプで水を飛ばすたびにずぶ濡れになって喜んでいる。
むしろ水浸しになることを期待して座っているようで、「ドMやなぁ」と思いながら濡れる様を鑑賞する。
最後の特大ジャンプは圧巻で、シャチはその図体の大きさからも迫力満点。イルカよりもシャチのショーが目玉のようだった。
水族館パート
ショーを見たあとは屋内の水族館へ。
まずはペンギンの餌やりを見る。
間近にいるペンギンを見られて大満足。
ちょうど目の高さに水面があるので、水上のペンギンと水面下のペンギンの動きを両方堪能することができる(といっても水上ではボーっと?立ってるだけだが・・・)。
そして円形の水槽を回遊しているイルカを見る。
が、ここで奇跡が起きる・・・。
外壁に沿って回遊しているだけだったイルカのうちの子イルカが、水槽にひっついて見てるうちの子に興味を持ったのか近づいてくる。
そして水槽をコツンコツンしてくる。
これまで水族館といえば、「見る側」「見られる側」で隔絶された世界だと思っていたのだがコミュニケーションができている(というかむしろ「見られている」?)。
未知との遭遇。心が通じ合えた瞬間かもしれない。
次の世代へしてあげれること
ショーやイルカで大満足して帰途へ。
美ら海の直後でもまったく劣らない楽しさに感心しながら帰る。
特にイルカとの交流は子どもも楽しそうだったしえがったえがった。
一方で残念だったのは、ショーの後半では子どもがすでに混雑疲れっぽくなってしまっていたこと。
大混雑の中、イルカやシャチのショーを見せにきたのに本人は飽きてせっかくのショーを見てなかったりで残念。
それでも少しでもこの小さい瞳の中に想い出として残ってくれればと思う。
思うに子ども時代に親が残すべきものはいろんな体験だろう。
そういえばこんな話がある。
IQと楽器の上達度合いにはあまり相関関係はないことがわかった。聴覚の鋭さとも、数学の能力とも、家庭の収入の多寡とも、リズム感とも相関関係は薄いようだった。上達度合いと最も相関関係が高かったのが、子どもたちがまだ楽器も選んでいない段階でマクファーソンがした質問への答えだった。
「今から習う楽器、どのくらい続けたいと思う?」という質問である。
「そんなに長く続ける気はない」と答えた子はあまり上達しなかった。「何年かは続けたい」と答えた子は、少し上達した。しかし、中には、「自分は音楽家になりたい。今から習う楽器は一生続ける」という意味のことを答えた子も何人かいて、その子たちはみるみるうちに上達していった。
ある能力を伸ばすには、その能力を伸ばしたいという本人のやる気、モチベーションが大事だということ。
ただ、ある楽器をやるにしても、そもそもその楽器の存在自体を知らなければモチベーションも何もあったもんじゃない。
そのためにはいろんな体験をさせて、いろんなものを見たり聞いたりさせて、本人の好奇心、興味の幅を広げることはとても大事なことだと思う。
たとえ今回の体験を大人になって忘れてしまったとしても、たとえ無意識下であったとしても、この旅でのいろんな経験は今後の土台として血となり肉となってくれることを願うばかりである。
うちの子が今はまっているのはトトロくらいのものだが、楽器でもスポーツでも飼育員でも、将来の選択肢に対する視野を広げておきたい。
トトロになりたいと言い出す前に・・・。
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