悪魔の代弁者が語るツール・ド・フランス:落車とツキが左右する序盤ステージ

いやー、ツール・ド・フランスも第6ステージが終わりました。

例年ながら、序盤ステージはつまんないですね。



というわけで今回はDevil's Advocateということでツールを斬ってみたい。



■実力差が出ない序盤ステージ

まずは論より証拠。

こちらの各ステージ後の総合優勝争いを見ていただきたい。(特に右端のトップとのタイム差を示す「Gap」に注目)

第2ステージ後、



第3ステージ後、



第4ステージ後、



ほとんど変化がない・・・。

例年にも言えることだが、基本的にタイムトライアルと山岳でのタイム差により勝敗が決するため、平坦ステージは総合優勝争いにはほとんど※影響しない。(※後述)

特に2012年のようにタイムトライアルの比重が大きいツールではタイムトライアルの差が決定的な差となる。

そしてその傾向はインデュラインの頃から変わっていない。

ぶっちゃけ、敢えて語弊を承知で言うなら、「タイムトライアルとアルプス・ピレネーの山岳だけ見ればいい」





■ロシアンルーレット大会:誰がラッキーか

ただ、平坦ステージは「ほとんど」影響しないと書いた通り、平坦ステージでも総合優勝争いを左右する出来事が起こる


クラッシュである。


第1ステージではゴールスプリントでカヴェンディッシュが落車





第1ステージのみで棄権となってしまった。



今年は出場すら疑問視されたアンディ・シュレクではあったが、2010年総合優勝者の彼も第3ステージで落車してリタイア。右膝側副靱帯と十字靱帯の部分断裂、半月板損傷、関節軟骨損傷の重傷。



さらに第4ステージではゼッケン1をつけるフルームも落車



ちなみにゼッケン1とは前年の総合優勝者がつけるナンバーとなっている。



そして第5ステージはスリッピーな路面ということもあり落車が続出(ラウンドアバウトで上下で落車が起きているのがおわかりいただけると思う)



フルームも昨日に続き落車に見舞われ、



さらに同ステージで2度目の落車。チームカーに乗って今年のツールを棄権した



ということで、ある意味クラッシュだけ見れば、「総合優勝争いに関わる見逃せないステージ」である・・・。

思い起こせば2012年の第6ステージでは100人以上を巻き込む集団落車が起こり、落車でツール優勝の夢を絶たれたチームもあった。

が、2年前にもこのブログで書いた通り、我々が見たいのは「誰が一番速いか」であって、「誰が一番ツイてるか」ではない

冒頭で敢えて「つまらない」と書いたが、落車は決して「面白い」ものではない。

たしかに落車やクラッシュシーンは迫力があって大衆受けするかもしれないが、ロードレースの醍醐味は決して落車ではない。

落車があればレースが動き、なければ変動無しというのも平坦ステージとしては空しくもある。

平坦ステージではステージ優勝を賭けたスプリント勝負が見所なのではあるが、逃げも決まりにくく、スプリントで勝負が決まる平坦ステージならば、激坂あり、石畳あり※のクラシックワンデーレースを見た方がよっぽど面白いと思う(※第5ステージは石畳だったが)。

が、それでもツール・ド・フランスだけ取り上げられるのがこれまた日本のスポーツマスコミでもある。

ということで次回はスポーツマスコミの報道について取り上げてみたい。

2 件のコメント :

  1. 第3ステージから6までライブ中継ではじめてのツール観戦してたんですが、ステージ優勝を狙うレースだっけなと疑問に思いました。
    キッテルがステージ優勝をもぎとりまくってますが、ジャイアントシマノは20位という・・。
    ステージ優勝と総合優勝とで全く別のレースですね。

    あーにしてもステージ6のゴール前は熱かった。(クラッシュ的な意味で)

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  2. 逆に紳士協定で総合優勝狙っている選手がステージ優勝を譲ったりしますしね。クラッシュ的な意味といえばコンタドールも落車で棄権しましたね。もうツールの歴代優勝者3人が消え、ほんとに落車の多さはどうにならないものかなと思ってしまいます。

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