前門の激坂、後門の石段!魔の長洲島 山頂ヒルクライムライド

長洲をご存じだろうか。
香港にある235の島々の1つで、香港人は休日にフェリーに乗って遊びにいったりしている。

年配の親類と一緒に行ったため、もともと長洲でライドをする気はなく、普通の短パンにサンダル、ハートレートモニターもつけていかなかったのだが、フェリーの軌跡を取ろうとGarmin Edge 500だけは持っていった。


■ルート

もともと海岸沿いに島を一周するつもりだったのだが、下の地図を見てもらうと分かる通り、そもそも海岸線沿いに道がない場所もあり、地図も無い状態で走ったのでこのようなルートになった。




■実走体験記

長洲へは香港島の中環(英語名 Central)からフェリーが出ている。



待合所ではWiFiが使える。



ちなみに普通席は11.5香港ドル、豪華席は18香港ドルとなっている。



というかたいして差がないので豪華席へ乗る。



約1時間の船旅。



甲板に出てみる。ちなみに甲板から下を見ると、船尾で紙幣(の作り物)を海にまいている人がいた。おそらく誰かが亡くなって葬式の一環なのだろうということであったが、長洲島に着いたあとに葬式が始まったことで、なんと同じ船にその亡くなった本人が乗っていたということがわかった。一般客が下船した後に、音楽とともに船から出棺されていた。



長洲は港町だけあって、海岸線沿いに店が並び、そのほとんどがお土産屋と海鮮系のレストランである。



そういえば昨年行ったイタリアのカプリ島も同じような感じだった。観光用の港町となるとどこの国でもこんな感じになるのか。



といってもカプリ島には青の洞窟がある分魅力があるし、水も淡いコバルトブルーで綺麗だった。まあ長洲にも洞窟はあるが・・・(後述)。



たいして興味もないお土産を見て回り、昼は海鮮料理。



度假屋というバケーション用の短期貸しアパート。英語でいうとholiday houseか、holiday flat。日本で言う民宿を一軒家じゃなくて古いアパートにしたような感じか。



島といっても自転車が多い。



フェリーの反対側の海岸は海水浴場になっている。



女性3人、男1人ということで女性陣は女性もの洋服店を回り始め、自分はSnoopyがSpoonyになっているパチモンシャツなどを見るくらいしかやることがなくなっていく。ぶらぶら海岸沿いを歩いていると、自転車に乗っている観光客が目立つ。



どうやらレンタル自転車があるようだと思っていると発見。



さらに発見。



これから行く人のためにレンタル自転車の場所を書いておくと、フェリーから島に降りて左手(方角的には北)に行くと、上記二つのレンタル自転車屋がある。一方で右手(南側)にもあるが、ちゃんとした店ではなさそうなので、訪問の際は左手側の店で借りると良い。(といっても所詮ママチャリくらいしかないが)



一人離れてぼーっと海岸のベンチに座っているのも勿体ないので、自分は女性陣に別れを告げて自転車をレンタルしに行く。が、自転車屋の親父が荷物を受け取りに港に行っているとのことで、中学生くらいの女の子(おそらく娘)しかいない。一応店番っぽいのだが、自転車の貸し方も空気の入れ方もわからないようで話しにならない。



そのうち他の客もやってきて、ちょっとした混乱状態に。そこでやっと親父がやってきて上手く回りはじめ、自分もレンタルして走り始める。ちなみに夕方7時まで30香港ドルで、デポジット100香港ドルが必要。デポジットは自転車返却時に返してもらえる。



自転車のいいところは人々の喧噪や空気、匂いを肌で感じつつも、徒歩では行けないような遠くまでいけることだ。



1時間ほどぶらぶらした場所をものの数分で走り抜けると人が少なくなっていき、自転車中心の道になる。



ちなみに自転車はバリバリのママチャリで、シングルスピード。



といっても海岸沿いなので起伏が少なくママチャリでも十分。



他にもレンタル自転車やランニングで走る人とすれ違う。



海岸沿いをポタリングするには最適だ。



と思っていたらいきなりの急坂が。



ふんふんと上りきる。



と、天后廟が。



西灣天后廟という廟。



人もおらず、綺麗な景色が拝める。



内湾は堤で仕切られている。



先を見ると、崖が。。。というか海岸沿いに道がなさそうな・・・。



さらに進むと洞窟行きとの案内が・・・。この洞窟は張保仔洞といい、19世紀初頭の海賊、張保仔のアジトとして使われていたとのこと。



こうなったら洞窟までいくかと思って進むと道が険しくなり、



獣道になり。。。



ついには階段が・・・。



これは無理だと思い、急坂の手前まで引き返し、もう一つの道を行くことに。



そこも急坂で、目の前を走っていたおっさんが自転車を降りて引きはじめるが、自分は気力を出して上って行く。



シングルスピードのママチャリということもあり、ダンシングで全体重を乗せてもペダルが回らない状態に陥り、上半身の力を使ってぐいぐいペダルを踏み込んでいく。周りにいた子供たちから「おおっ」というような小さい歓声があがる中を汗ダラダラになりながら上りきる。



と思ったらさらに坂道が続き、あまりの急勾配に力を使い果たし、ところどころは押して引きながら進む。



ロードバイクに乗ってビンディングペダルでもはいてれば普通の坂なのかもしれないと思ったが、Garmin Edge 500のログでは最大勾配31%を記録していたので、錯覚ではなくやはり激坂だった。200kmのブルベでは20%の勾配でヘトヘトになっていたので(肋骨にヒビが入った状態だったので比較にならないかもしれないが)、ママチャリで31%というのは無謀だったようだ。ちなみにいつのまにかけっこう高いところに来ている。



道路標識を見ると「山頂道」の文字が・・・。



平坦な海岸線をポタリング気分で走る予定だったのが、いつの間にか山頂ライドになっている。



といっても記憶を辿っても海岸線を走るような道はなく、行き止まりを避けて道なりに進んで行ったら山頂道に入ったので、こりゃもう進むしかない。



思親亭。謂われはよくわからないが、とりあえず観光名所の一つらしい。



こちらは宜亭。正式名は蔡張紉詩夫人紀念亭とのこと。書家であり詩人である張紉詩の夫、蔡念因が妻のために建てた涼亭らしい。



独特の熱帯の空気と高温で、服は汗でビショビショになりながら進む。というかせっかくだからハートレートモニターも付けてくればよかったと後悔。



気象台が。というかついに島の山頂中心部か。



ただ下りは爽快で、トロピカルな風を受けて進むのは気持ちがいい。



人も少ない道を爆走する。



雅寧苑という島中心に近い場所。と書いているが、走っている最中はGPSもなく、もうどこをどう走っているのかわからない状態で、とりあえず感覚的な方角頼りに、島を一周するような道を進むしかなかった。



とりあえずせっかく稼いだ獲得標高を減らさないように(元いた海岸に降りないように)山道を進む。



ところどころ標識を頼りにする。といっても他の地名の場所はよくわからないが、少なくともフェリー乗り場は元いた場所なので、そこから反対に進む。



元いた海岸の反対側の海が見えるところまできた。



途中でやっと地図を見かけた。これで今いるところがわかると思って見る。



予想では南の海岸に近い部分を走っているのかなぁと思っていたら、いつの間にか長洲島の中心にいた。元々は海岸線を走るつもりでいたのに・・・。



島で唯一の病院、長洲醫院を通り過ぎる。



近くの運動場ではガールスカウトの子たちが練習してる。



山頂を降りて島の反対側(冒頭で紹介した海水浴場)に到着。



ちょうどヘリが降り立っているところだった。



途中で道がなくなり、砂浜になるので内陸側へ曲がる。



山頂を越えたので、もう大丈夫だろうと安心して進む。



度假屋の中に入り込んでしまい、小道を迷いながら、行き止まりだったり、引き返したりしながら進む。



なんとか島のフェリー側の海岸に出て今度は北へ進む。



途中二手に分かれていたが、一方はどう見ても海岸行きの行き止まりっぽいので、直進すると、長貴邨という団地地域が。



また二手に道が分かれている。



海岸側を進むと行き止まり。



しょうがないのでもう一つの道に進む。



進むと・・・また坂。



気付くとまた自分一人、まわりには他の観光客も地元の人もいない状態に。



気力を振り絞って上っていく。



汗がしたたり落ちる。というか、湿気が多い香港だけあって汗の出方が尋常じゃなく、思わずカメラに納めてしまった。



と、眼前に嫌なものが・・・。



無人のブルドーザーと野犬が二匹・・・。



気合いで野犬を引き下がらせて山をのぼっていくと地図が。今度は北側の真ん中、北眺亭を通過したところだった。ちなみに北眺亭そのものは見なかったなぁと思ったら、後で調べたところ北眺亭には石段しか通じていないようだった。



隣には休憩処のような施設が。



日本風な鳥居が。



さらに進むと水処理施設になっていて封鎖されている。



しょうがないので少し引き返して別の脇道へ行く。



脇道といった通り、かなり厳しい道になっている。



さらには右側が何の土、木、柵もない崖になる。



サイクリングのいいところは、きつい坂を上がればそれだけご褒美(下り)が待っていることだと思う。島でもサーキットでも、一周してスタート地点に戻ってくるということは、上がった分だけ下りがあるということである。ところが、その常識を覆す仕打ちが待っていた



なんと、下りが石段・・・。重いママチャリを持ち上げながら石段を下りることでせっかく必死に稼いだ標高を全部はき出してしまう。無念。



ひたすら石段を下りていくと、やっと脇道に自転車が見かけだした。ということはここからは石段はなくなるということ。



北社天后廟が、ちなみに天后は航海の安全のための廟で、海に囲まれている香港では至る所で天后廟を見かける。



そして北帝廟に到着。島の繁華街まで帰ってきた。



まだ時間があったので他の場所にも行ってみることに。まずは街中を抜ける。



そして海岸沿いに出てまた北側へ。



先ほど、どうみても行き止まりっぽいので直進した場所を今度は左折して海岸方面へ行ってみる。



海岸へ向かって直進。



長洲屠房の施設が。いわゆる屠殺場である。



そこで行き止まり。対岸に見えるのは大嶼山(ランタオ島)。



地元のカップルは夕涼みで海岸を歩く(自分は汗だくで全身びっしょり)。



引き返して帰路につく。



自転車を返してデポジットを受け取り終了。



香港島に戻ってフェリーで九龍へ。




■総括

というわけで長洲ライドだったわけだが、島を隅々まで観光したい場合にはオススメである。普通に歩いて一日観光をするだけなら、繁華街となっている島の中心部しか味わえず、定番のお土産屋と海鮮料理だけで帰ることになるだろう。単に観光客向けの場所を見るだけでなく、実際にその島に生きている人々の場所や、自然が残っている海岸や山の中などを駆け抜けるには自転車は最適である。

が、そもそも自転車を想定して作られていない道も多く、激坂になったり、途中から石段になったりするので気合いと覚悟が必要である。というかロードバイクを持って行ければぜひまた走ってみたい場所だった。

ちなみに高速船なら香港島から30分で着くので、ディープな香港を味わいたい人はぜひチャレンジしてみて欲しい。


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