ブロンプトンの特集中であるが、先週末にキャンプに行ってきたのでその様子をエントリさせていただきたい。
もちろん、キャンプといってもキャンプの内容を紹介するというよりも、むしろ自転車バカ日記である。
■はじめに
Martin Luther King Jrの祝日を挟んだ三日間、ニュージャージーのPassaic Countyにあるキャンプ場へ二泊三日で行くことになった。
思い起こせば去年の祝日はマンハッタン一周をしたものだった。
キャンプ場は自動車で1時間、距離にして50マイル(=80km)。
50マイルなら自転車で余裕じゃないか。
ということで、自転車で行くことに。
しかし不安点がある・・・。
- 集合時間は12時厳守。自転車の場合余裕を見て行かなければいけない。
- 三日目の天気予報は雪。帰りは友人の車に乗せてもらうことも考えると折り畳み(ブロンプトン)で行くしかない。
- 信号等にもよるが、ロードバイクなら3~4時間でいけるだろうが、小径車のブロンプトンではどれくらいかかるのか。
- さらに山奥に行くということで登りが多いと思われるため、さらに時間が読みにくい。
- 先週は雪が降ったので、ニュージャージーの山奥ではそもそも除雪されておらず自転車走行できないのではないか。
結局、7時に家を出発、最寄り駅からマンハッタンの145丁目の駅まで移動。そこから自転車でキャンプ場までというルートで行くことにした。
145丁目の駅まで地下鉄で行く理由としては、(1)12時必着という期限の中で、遅く出発できることによる睡眠時間の確保、(2)せっかくコンパクトに折り畳めるブロンプトンで行くのだからその特性を発揮してみたいこと、(3)既に145丁目までのルートは何度も走っているので新鮮味はないことである。
■出発
予定通り7時前に家を出発。最寄り駅まで行くが、すでに電車が近づいており、折り畳んでいる時間がない。
しょうがないので折り畳まずにそのまま自転車を持って電車に乗る。まあニューヨークの地下鉄は自転車をそのまま持ち込んでOKなので折り畳む必要はないのだが、せっかくなので乗車後に折り畳む。
本来なら125丁目、135丁目が常に停まる駅、145丁目はラッシュアワー以外は停まる駅なのだが、125丁目の次は135丁目を飛ばしていきなり145丁目に。これだからニューヨーク地下鉄は・・・。と思いつつも、アナウンスを聞いていたので間違わずに145丁目で下車。ブロンプトンを組んでジョージワシントンブリッジに向けて北上する。
と、途中でダウンジャケットの左ポケットに入れていたウォーターボトルを落としてしまう。後ろから来る車に踏まれないように大きく手を上げて合図しながら、落ちたウォーターボトルを戻って回収する。そう、ブロンプトンにはボトルケージがないので、左ポケットに入れていたのだが、ダウンジャケットのチャックを閉じると、ちょうど左ポケットがペダリング時の左足の上に来て、ペダリングと干渉、落ちてしまうのだった。
しょうがないのでダウンジャケットのチャックを閉じずに走る。体は風を直に受けて寒いが、これでウォーターボトルが落ちる心配はなくなった。
そうこうしていると、いつの間にか185丁目。
行き過ぎてしまったので戻って178丁目にあるジョージワシントンブリッジへ。
横目にハドソンリバーを見ると所々凍っている。
ハドソンリバーを渡ってニュージャージー州のFort Leeに入る。
ニューヨーカーのローディーにとっては、このままハドソンテラスを北上して9Wを走るか、Edgewater方面に南下するかというハドソンリバー沿いのライドが定番なのだが、今回はそのままMain Streetを西へ直進する。Android携帯の音声ナビ機能をONにしてダウンジャケットの左胸ポケットに入れて道順に進んでいく。
が、AndroidのGPSナビもここまでは予想できなかったのか・・・。
橋がクローズしていて通行不能・・・。
しょうがないのでGoogle Mapで現在地付近を出して迂回して進む。
■異変
が、しばらくして携帯の電源が切れていることに気付く。
出発前にフル充電しておいたので残量的には問題ないはずだが、音声ナビは電池の消費量が激しいのかと不安になりながら電源を入れる。
しかし電源が入ると同時に自動的にシャットダウンする。
起動→シャットダウンを繰り返す携帯。
今回は温度が計れるGarmin Edge 500を付けており、地図&ナビ付きのGarmin Edge 705は置いてきている。つまり、携帯がなければ経路もわからなかえれば地図も見れず、知らない町で路頭に迷ってしまう。
壊れてしまったのかと不安になりながらも藁にもすがる思いで起動を繰り返すがその度にむなしくシャットダウン。
そうこうしているうちに、起動の繰り返しで一気にバッテリーを消費してしまったのか、バッテリーも空になり起動すらしなくなる。
最後の手段で、キャンプ場に自動車で集まる他の友人に、途中でピックアップしてもらうというのもあるのだが、そもそも携帯が起動しないので電話ができず、電話番号も電話帳に登録しているだけで覚えてはいない。つまり、携帯が使用不能になったため、GPSも、地図も、電話も、電話番号の確認すらできないという詰んだ状態になってしまった。
ちなみにもちろん写真も撮れなくなったので、ここから先は写真なしでお送りする。
■中東の友
まずはなにわともあれ現状把握である。
とりあえず一般家屋しかない場所だったので、デリを探しながらペダルを回す。
電源が切れてから10分ほど走ったところで、デリではないが、キオスクのような、新聞やお菓子、雑誌、宝くじを売っているような店を見つけたので中に入る。
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幸い地図が置いてあったので、現在地を中東系の主人に聞いて、Bergen Countyの地図を購入。その場で現在地に丸をつけてもらう。
さらにその場で頼み込んでネットで目的地の住所(キャンプ場の名前から検索)とGoogle MapでDirectionを検索させてもらう。
最初はインターネットが使えないと拒否姿勢を見せていたおっちゃんも、こちらの切迫状態に同情してくれたのか、ノートパソコンを持ち出してネットにつなげて検索してくれる。
感謝として10ドルをチップで渡す。
こんなとき、チップという文化のありがたみを感じる。
普段は感謝してもないのに、15%~20%のチップを出すというふざけた慣習に疑問を感じながらも、こういうときは感謝の気持ちを直接現金で伝えられる文化があるというのは良いものである。異文化、異人種交わる中では、結局現金が一番直接的に感謝を表現できるし、粗利が数ドルにしかならないであろう地図を買うよりは、100%フトコロに入れてもらえるチップの方が向こうとしても何倍も嬉しいであろう。
あとからやってきた、主人の息子とおぼしき若い男性もやってきて、「どこから来たんだ?」「ニューヨークから」「こんな真冬に自転車でやってきたのかっ、なんてこったい!」というような、去年も同じような会話をしたなぁと思いながらCueを書き写していく。
その他にも「あの自転車は電動じゃないのか」とか、「元々の出身は?」と聞かれ、「日本だ」と応えたら、「なるほどー」と。なんか日本人は無茶なことをするのが好きなイメージがあるのかもしれない。
そのうち、お昼が過ぎて上がりなのか、その主人は息子と思われる男性と交代して店を出て行った。後の息子もよくしてくれて、椅子に座ってゆっくり書き写せと言ってくれたり、自前のiPhoneで他のルートを調べてくれたりもした。
最後にはトイレも貸してもらって、チップ10ドルにして、簡易休憩所&インターネット喫茶状態で心からの御礼を言って店を出る。
■快進撃
キューシートさえ作れればあとはお手の物。
これまで様々なイベントライドやら、ブルベやらでやってきたライドである。
ポケットにキューシートを忍ばせつつ、キュー間の走行距離をチェックしながらキュー通りに進んでいく。
デリで1時間近く時間をロスしてしまったため、既に12時は過ぎてしまったが、1時過ぎには着けそうな感じだった。
が、しかし。
最後のキューで左折し、あとは山の中の道を3.2マイル進むだけという状況でそれが立ち塞がった。
■雪山行軍
残り2マイルというところで、道が砂利の荒れた道になって走りにくくなっていく。
と、ついに道ではなく、「雪」になってしまった。
以下の写真は二日目に撮ったもの。
さすがにこうなると走行ができず、押して歩くしかない。恐れていた「除雪されていない」という状態が、最後の2マイルに来て現実化してしまった。
残り2マイルだが、このまま雪の中を歩いていくと1時間近くかかる。
とはいえ、他に道はないのでひたすら押して歩いていく。
SPDシューズを履いたことのある人なら想像が付くと思うが、SPDシューズで雪の坂道を自転車を押して上るというのは激しく無謀で、足の裏が凍り付き、足の感覚もなくなっていく。
唯一車の車輪の跡が、ここが道であることを教えてくれるが、本当に道があってるのか不安になる。もはやこれはライドではなく、たった独りの行軍である・・・。
■到着
そのまま押して歩いて行くこと30分近く、やっと雪道が終わりブロンプトンを走らせてキャンプ場に到着。
結局5時間半もかかってしまった。
キャンプ場にあったウォーターサーバーで水をいっぱいに飲む。
と、あとから水を入れたボトルを見てみると、赤い繊維のようなものが浮いている。
他の友人もそれに気付き、スタッフの人に言って代えてもらう。
実はこのキャンプサイト、ウォーターサーバーの巨大ボトルを使いつつも、中には水道水を入れていたようで、さらにさきほど飲んだ水は井戸水か何か知らないがかなり汚染されていたらしい。
まさかこの時飲んだ水であんなことになるとは、このときは思いも寄らなかった・・・。
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